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『リトル・マーメイド』“実写版アリエル”ハリー・ベイリーが語る、水中撮影の舞台裏

インタビュー

『リトル・マーメイド』“実写版アリエル”ハリー・ベイリーが語る、水中撮影の舞台裏

今年創立100周年を迎えるウォルト・ディズニーが放つ、名作アニメーションを実写化したミュージカル映画『リトル・マーメイド』(公開中)で、主人公のアリエル役に大抜擢された新人女優のハリー・ベイリー。グラミー賞にノミネートされたR&Bデュオ、クロイ&ハリーのメンバーであり、歌姫ビヨンセが自身のアルバムやツアーにも出演させたほどの逸材で、本作で披露した歌声や演技に称賛の声があふれている。

主人公は、海の王女アリエル(ハリー・ベイリー)
主人公は、海の王女アリエル(ハリー・ベイリー)[c] 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

好奇心旺盛な海の王国に暮らすマーメイドの王女、アリエルは、嵐に遭った人間の王子エリック(ジョナ・ハウアー=キング)を救ったことをきっかけに、人間の世界に行ってみたいという気持ちが抑えきれなくなってしまう。彼女は、海の魔女アースラ(メリッサ・マッカーシー)のもとへ行き、美しい声と引き換えに、3日間だけ人間の姿に変えてもらうという取引に応じてしまう。

アリエルほど象徴的な役柄にベイリーを起用したことは、監督のロブ・マーシャルにとって、考えるまでもない当然のことだったそうだ。「私たちは単にこの役にベストな人材を探していただけ、それだけのことです。あらゆるタイプの、あらゆる人種の候補者に会いました。そこに意図はまったくありませんでした。監督として一番望ましいのは、(オーディションに)やってきた役者が『これは私のための役だ』と主張しているかのようにピッタリとハマることですが、ハリーの場合がまさにそれでしたね」とまさに納得のキャスティングだったよう。

『リトル・マーメイド』のワールドプレミアでのフォトセッション
『リトル・マーメイド』のワールドプレミアでのフォトセッション[c] 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

「アニメーションの『リトル・マーメイド』を観ていたころのことを覚えていて、アリエルになったつもりで泳いだり歌ったりしていたけれど、彼女を本当に演じられる日が来るなんてまるっきり考えたことすらなかったです」と、抜擢された当初、大喜びをしたというハリー。

アリエルは、嵐に遭った王子エリック(ジョナ・ハウアー=キング)を救い、恋に落ちる
アリエルは、嵐に遭った王子エリック(ジョナ・ハウアー=キング)を救い、恋に落ちる[c] 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

「人魚になるというのは、神話と、美しい生き物と、正真正銘の自分自身が混在しているから特別感があるし、だからこそあれほど多くの子どもたちがこのキャラクターに反応しているんだと思います。『よし、私も自分自身でいれば、こういうマジカルな存在になれるんだ。いまの私自身が特別なんだ』という感じに。私はそこに強く共感しました」。

アリエルというキャラクターについて、ハリーは次のように説明している。「アリエルは情熱的で、ものすごく知恵をもっているし、あの年齢にそぐわないほど賢いです。彼女は自分がなにを欲しているのかわかっているし、決して引き下がろうとはしません。このストーリーと私自身にはとても似たものを感じています。私たちはどちらも似たような人生をたどっているし、私は彼女からものすごいインスピレーションをもらいました。彼女のおかげで、物おじせずに、自分の考えを言えるようにもなりました」。

【写真を見る】海中シーンはどうやって撮られた?ハリー・ベイリーが明かす秘話
【写真を見る】海中シーンはどうやって撮られた?ハリー・ベイリーが明かす秘話[c] 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

海のなかを自由に泳ぎまわるベイリーの姿は、まさにマーメイドそのものだ。これらのシーンは水中撮影ではなく、ドライ・フォー・ウェットという撮影技術を駆使して行なわれた。ワイヤー、シーソー、チューニング・フォークを含む最新鋭のリグを装着した演者たちを、ブルースクリーンが張られた空間で撮っていく。すなわちベイリーたちは、背中側に平衡錘が据えられたハーネスを装着して吊るされ、水中で動いているような動きを再現したのだ。

「アクションのトレーニングはものすごく難しかったけれど、とても楽しかったです」とベイリーは言う。「リハーサルを繰り返して身体が慣れれば慣れるほど、特にリグを付けている時は、アリエルが海中でやっているように飛んだり回転したりする感覚を得ることができるようになっていきました」。

劇中を彩るのは、ディズニーの伝統的なミュージカル・ナンバーや新しく書き下ろされた名曲たち。アニメーション版に続いて参加した巨匠アラン・メンケンと、ブロードウェイでの活躍をはじめ、『モアナと伝説の海』(16)、『ミラベルと魔法だらけの家』(21)などで、新たなディズニー音楽の担い手であるヒットメイカー、リン=マニュエル・ミランダが参加し、実写版ならではのコラボレーションを実現させた。

劇中では、エリックが歌う「まだ見ぬ世界へ」、アリエルが歌う「何もかも初めて」、スカットルとセバスチャンが歌う「スカットル・スクープ!!」、そして新たにリメイクされたアリエルの「パート・オブ・ユア・ワールド」という、メンケンとミランダが作った3曲の新しい歌と1曲のリメイクソングがフィーチャーされている。


『リトル・マーメイド』は公開中
『リトル・マーメイド』は公開中[c] 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

「この映画の音楽が大好きです」とベイリーは語る。「アニメーション映画の象徴的な歌の数々はとにかくもう伝説的で永遠に残るものだし、そんな曲に関われるなんて本当にワクワクします。それにアリエルには『何もかも初めて』という新曲があります。陸に上がり、いろいろな新しいものを発見しながら歌います。恐れと興奮が入り混じった感覚かと。とても見事な追加曲になっていますし、実を言えば、これが私の一番のお気に入りの歌かもしれないです。この曲と『パート・オブ・ユア・ワールド』が」。

6月9日に公開され、すでに日本興行収入は14億円を突破、観客動員数も100万人に迫る勢いの『リトル・マーメイド』。まだ未見の方は、ぜひベイリーの美しい歌声とパフォーマンスを映画館で体感してほしい。

文/山崎伸子

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