山下智久&新木優子『SEE HEAR LOVE』から受け取った愛と勇気。俳優業は「情熱をかけるに値する職業」 - 2ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
山下智久&新木優子『SEE HEAR LOVE』から受け取った愛と勇気。俳優業は「情熱をかけるに値する職業」

インタビュー

山下智久&新木優子『SEE HEAR LOVE』から受け取った愛と勇気。俳優業は「情熱をかけるに値する職業」

「山下さんの柔らかな存在感と優しさが、現場を包み込んでいた」(新木)

――真治は響の姿を見ることができないけれど、彼女のことを深く愛していきます。一方の響も、彼の声を聞くことはできないけれど、彼の心の声に耳を傾けるようにしながら、二人は強い絆で結ばれていきます。彼らの愛情が伝わるような場面で、お気に入りのシーンについて教えてください。

病に倒れ、視力を失ってしまった真治は、響の愛に救われていく
病に倒れ、視力を失ってしまった真治は、響の愛に救われていく[c]2023「SHL」partners

山下「僕は、響が泣きながら『まだしてあげたいことがたくさんあるんです』と訴えるシーン。あそこは、どうしても泣いてしまいます(笑)。あとは響が真治を探して、一生懸命に走っているシーンも印象的。そういった、“一緒にはいないけれど、お互いのことを想っている”という場面に、彼らの愛の強さを感じました」

新木「たしかにそうですね。完成作を観て『響が目の前にいなくても、真治はこんなにも彼女のことを想っていてくれたんだ』と感じて、とても温かな気持ちになりました。二人一緒にいるシーンだと、彼らの表情からも、お互いを想っていることが伝わってきますよね。朝起きるシーンなど、二人が何気ない日常を過ごしている空気感もとても好きです」

――お2人の共演は、『劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(18)以来のこととなります。お互いからご覧になって、それぞれの役にぴったりだったなと感じることはどのようなことでしょうか。

【写真を見る】笑顔でインタビューに応じた山下智久と新木優子
【写真を見る】笑顔でインタビューに応じた山下智久と新木優子

山下「前回共演させてもらった時は、役としても距離があるキャラクターだったんですが、今回は、より近くで共演させていただいて、新木さんの努力家な一面が強く見えてきて。新木さんの持っているまっすぐさ、そして溌剌としたエネルギーが、ものすごく響という役柄とリンクしていました。新木さんは今回の撮影のために、4か月ほど、1日2時間のピアノ練習をされたそうなんです。そうやって一つのことにひたむきな情熱を傾けられるところも、響と重なります」

新木優子、山下智久に感謝!
新木優子、山下智久に感謝!

新木「山下さんには現場を包み込むような優しさ、誰にも緊張感を与えない柔らかな存在感があって、そんな山下さんだからこそ、今回の真治が生まれたんだなと感じています。誰に対しても分け隔てなく、スタッフさんにも共演者の皆さんにも気を遣ってくださる山下さんに、みんなが助けられていました。最初に共演させていただいた時は、まだまだ新人のような気持ちがあったんですが、こうやって同じ視点に立ってお芝居をする日がくるなんて本当に光栄です」

――真治と響を通して、“真実の愛”について発見したこと、考えたことがあれば教えてください。

山下「真治と響は、視覚、聴覚と、それぞれ失っているものがあるけれど、すべてのエネルギーをかけて、相手を愛そうとしている。見えない分、もっと見ようとするし、聞こえない分、もっと聞こうとする。全力で愛そうとする気持ちが伝わるからこそ、心を動かされるんだと思います。また、いまの世の中、デジタルでなんでもできてしまって、誰かの声が聞こえて、抱きしめられるということを、当たり前にできなくなっている時代になってきているのかなと思うこともあって。この作品を通して、自分が直接会える人がいることに感謝を忘れずに、一度の人生、この映画のように情熱的に生きてみたいなと思いました」

強く惹かれ合っていく真治と響。彼らの辿る運命を通して、“真実の愛”が描かれる
強く惹かれ合っていく真治と響。彼らの辿る運命を通して、“真実の愛”が描かれる[c]2023「SHL」partners

新木「自分が愛情を持って相手に接したことは、きっと無駄にならないんだなと思うことができました。世の中にはうまくいく恋もあれば、うまくいかない恋もありますが、誰かを愛したことによって、自分も変わることができる。そして自分が変わることによって、愛を引き寄せることだってできる。愛によって変化していく真治と響を見ていると、そんなふうに感じました。


それは恋人関係だけではなく、友人や家族、初めて会った人であったとしても、感謝の気持ちや尊敬、愛を持って接すれば、きっとすばらしい明日につながるはず。韓国の上映で観客の方々の表情を見ていても、そういった普遍的な愛が伝わったのではないかなと思っています。私自身、愛情を持ち続けて相手に接することができる人になりたいなと、改めて感じました」

取材・文/成田おり枝

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