「インディ・ジョーンズ」ファンの現役指揮者が徹底解説！「レイダース・マーチ」を聴くとなぜ人は元気になるのか？

巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督と、「スター・ウォーズ」シリーズのルーカスフィルムによって生みだされた大ヒットアドベンチャー・シリーズ「インディ・ジョーンズ」。その5作目であり、インディ・ジョーンズ最後の冒険とされる『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(公開中)では、監督はジェームズ・マンゴールドにバトンタッチ。日本の累計興行収入が20億円を突破した本作では、当初数曲のみ手掛けるつもりだったが、映像を観ているうちにアイデアがあふれ出し、結局は全編を作曲することになったというジョン・ウィリアムズがこれまでどおり音楽を担当している。

御年91歳のウィリアムズは、これまでアカデミー賞に53度ノミネートされ、5度受賞した映画音楽界における紛れもない巨匠。そんな彼の活力に満ちあふれたシリーズ完結編となる本作のオリジナル・サウンドトラックの魅力と聴きどころについて、昨年「『インディ・ジョーンズ』in コンサートレイダース/失われたアーク《聖櫃》」で指揮を取り、シリーズの大ファンでもある指揮者の栗田博文に語ってもらった。

すべての写真を見る(30件)

「メインテーマの『レイダース・マーチ』も一度聴いたら覚えてしまう」

『インディ・ジョーンズ　最後の聖戦』(89)公開時、ヨーロッパに滞在していたという栗田は、フィレンツェでインディ役のハリソン・フォードが着ていた革のジャケットを探し求め、ロンドンではトレードマークのフェルトハットを購入したこともあるほど「インディ・ジョーンズ」を愛して止まないそう。最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』は、公開されるや否や立て続けに3度も鑑賞したと興奮気味に語る。

おなじみのフェルトハットとムチを持って再び冒険へ！[c]2023 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved. 『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』大ヒット上映中

「このシリーズを最初から(劇場で)触れてきたファンにとっては、インディ・ジョーンズ＝ハリソン・フォードなんですよね。シリーズと共に生きてきた世代で、アクションのみならず泣かせる部分やロマンスもちゃんとあるところに込み上げてくるものを感じました。人が年齢を重ねていくというのは、やはりすてきなことだなあ、と思わせる、最後にふさわしい作品です。もちろん、『スター・ウォーズ』も1作目から大好きでしたし、インディの第1作『レイダース失われたアーク《聖櫃》』もすぐに夢中になりました。当時は音楽大学に通っていたころでしたね。映画館で観て外に出てきた時には、多くの人がメインテーマの『レイダース・マーチ』のメロディを口ずさんでいました。歌詞があるわけでもないのに、覚えやすくて。それこそ、ヴェルディやプッチーニのオペラにしても、当時、劇場から出てきた時聴衆が『名アリア』を口ずさんでいたというエピソードのよう。つまり娯楽性が高いんですよ。『インディ・ジョーンズ』シリーズ自体も初見で引き込まれる痛快さがありますが、一度聴いたら覚えてしまう『レイダース・マーチ』も、イントロからワクワクさせられます！」。

「レイダース・マーチ」が老若男女に愛される理由とは？

■栗田博文
指揮者。1988年第23回東京国際音楽コンクール指揮部門において優勝。1989年イタリアにおいて第1回アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクールに入賞し国際的な評価を確立。1995年フィンランドにて第1回シベリウス国際指揮者コンクールの最高位に輝く。国内外の活発な指揮活動と共に、国立音楽大学客員教授を務め、後進の指導にも力を注いでいる。クラシック音楽の古典から現代作品まで幅広いレパートリーを持つほか、映画、ゲーム、アニメなど様々なジャンルとのコラボレーションも積極的に行う。2023年8月には「銀河鉄道999シネマ・コンサート」の公演も控える。
・公式サイト：https://www.musicachiara.com/kurita-hirofumi