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中野量太監督が「僕には撮れない映画」と嫉妬する若き才能も!「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023」クロージング・セレモニーが開催

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中野量太監督が「僕には撮れない映画」と嫉妬する若き才能も!「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023」クロージング・セレモニーが開催

7月15日より開催されていた「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 2023」のクロージング・セレモニー(表彰式)が23日、SKIPシティ映像ホールにて開催され、各賞の発表が行われた。

【写真を見る】国内コンペティション部門、審査員長を務めた映画監督の中野量太は「才能に嫉妬」とコメントも。
【写真を見る】国内コンペティション部門、審査員長を務めた映画監督の中野量太は「才能に嫉妬」とコメントも。

冒頭の挨拶で堀光敦史埼玉県副知事は、映画祭開催地である川口市や映画祭開催に向け協力してくれた企業や団体、そして審査を引き受けた方々へ感謝の言葉を伝え、「SKIPシティ映画祭からは、これまで(国内コンペティション審査員)審査員長を務めた中野量太監督をはじめとする映画界を牽引する監督が巣立っていきました。今回の参加をきっかけにお互いに切磋琢磨して将来の映画界を担ってください」と大野元裕埼玉県知事のメッセージを代読。映画祭総合プロデューサーの八木信忠は「第1回からずっと(映画祭に)関係しています。20回目となる今回(の開催期間中)でも最も気温が高い日の閉会式になって…」と少々暑さにグッタリとした様子を見せながらも、無事に閉会式が迎えられたことに感謝し、本映画祭から若い才能が羽ばたき続けていくことに期待していると呼びかけた。

長編部門にて観客賞を受賞した『ヒエロファニー』のマキタカズオミ監督
長編部門にて観客賞を受賞した『ヒエロファニー』のマキタカズオミ監督

表彰式では国内コンペティションから受賞作品を発表。審査委員長を中野量太監督、審査員は俳優の和田光沙、ジャパンタイムズ映画評論家でVariety日本特派員のマーク・シリングが務めた。短編部門で観客賞を受賞した『勝手に死ぬな』の天野大地監督は「(受賞により)爪痕を残させたと思います。賞の重みをしっかり受け止めてこれからも映画を作っていきたいです」と笑顔を浮かべた。長編部門で観客賞を受賞した『ヒエロファニー』のマキタカズオミ監督は「びっくりしすぎて言葉が出ない」と緊張気味にコメントしつつも、観客賞は「映画を観ていただいた人から選んでいただいた感がある!」と笑顔を見せ、深々とお辞儀をした。


短編部門の優秀作品賞発表前には和田が「熱いものが伝わってくる作品ばかりで、うれしい悲鳴を上げながら選びました」と審査を振り返る。審査は難航したそうで中野の提案により優秀作品のほかに賞を追加することが決定したことを報告。追加されたスペシャル・メンションを受賞した『ミミック』の高濱章裕監督は「頭が真っ白です。異例の枠ですごくありがたいです」と喜びを噛み締め、「作品に関わったみんなに贈ってもらった(賞)とありがたく受け止め、これを励みに頑張りたいと思います」と今後の創作への意欲を口にした。

短編部門優秀作品賞は池本陽海監督『猟果』
短編部門優秀作品賞は池本陽海監督『猟果』

短編部門の優秀作品賞は『猟果』の池本陽海監督が受賞。本作について和田は「柔軟な発想、緻密に作り込まれた脚本、ユーモアのある演出、計算されたユニークな構図。全てに無駄がありません。巧妙な作品で監督の手腕に唸らされました」と大絶賛。このコメントを受け、池本監督は「光栄な賞をありがとうございます」とニッコリ。「賞金をもらえる前提で、最近金遣いが荒かったので助かりました」と話し、笑いを誘った池本監督。「この時代に映画を作る意味を考えながら作っています。この先も、映画を作っていこうと思います」と力強く宣言し、大きな拍手を浴びていた。

長編部門の優秀作品賞は松本佳樹監督の『地球星人(エイリアン)は空想する』が受賞
長編部門の優秀作品賞は松本佳樹監督の『地球星人(エイリアン)は空想する』が受賞

長編部門の優秀作品賞は松本佳樹監督の『地球星人(エイリアン)は空想する』が受賞。プレゼンターのシリングはSFをオリジナルで作るのは難しいとコメント。それはスティーヴン・スピルバーグも例外ではないとし、松本監督の作品は「うれしい驚きだった」と指摘。「典型的なSFのテンプレートにはまらない、めくるめく映像と豊かなイマジネーションで新鮮な映画を完成させました。この作品を世界中に発信できることを誇りに思います」と賛辞を贈っていた。松本監督は、目標としていた自分でおもしろいと思える作品を作ることはクリアしていたとし、「そのうえ、賞までいただいて、トロフィーの重さを実感しています。応援してもらって背中を押してもらったと思って進んでいきたいと思います。今後も応援をよろしくお願いいたします」と深々とお辞儀をした。

中野監督大絶賛!松本佳樹監督『地球星人(エイリアン)は空想する』に注目
中野監督大絶賛!松本佳樹監督『地球星人(エイリアン)は空想する』に注目

松本監督は、国内作品を対象に、今後の長編映画制作に可能性を感じる監督に対して授与される「SKPシティアワード」も受賞。中野監督は「僕には撮れない映画」と話し、「新しい才能、新しい監督、新しい表現をする人が出てきたことに、驚いたし、うれしかったし、嫉妬もしました」と素直な感想を伝える。続けて「映画祭はいろいろな人に賞をあげたいから分けることがあります」と説明。しかしこの「SKPシティアワード」に関しては「この映画際が排出した監督として、(松本監督に授与することで)絶対に誇りになるからと主張して、受け入れてもらいました」と決定までの経緯を明かす。

「イマジネーションに驚きました。この映画祭が発見した松本監督を覚えてもらいたいです!」と取材陣に呼びかけ、松本監督には「SKIPシティ出身って(言っていくように)約束して!もし約束しないなら賞を返してください(笑)」と笑顔を見せつつ、類稀な才能に惜しみない拍手を贈っていた。

このコメントに「パニックです」と答えた松本監督は、「(受賞の)コメントは1回分しか準備してこなかったので…」としつつも「重みが二倍になりました。より気を引き締めて頑張っていかなきゃいけないと思っています」と話し、スタッフ、キャストに改めて感謝の言葉を伝えていた。

若手クリエイターにエールを送った中野監督
若手クリエイターにエールを送った中野監督

国内コンペティション総評で中野は「11年前はそちらの席にいました」と受賞者席を見つめ、「監督がなにを考え、なにを表現したかったのかを丁寧に考えながら審査しました」と振り返る。「答えのないものに答えを出そうとしている姿を思い浮かべただけで、涙が出そうになります」と自身も監督という同じ立場だからこそ理解できることが多とし、「映画祭は同年代の仲間たちがどんなものを作っているのかを考え、自分の位置を知ることに役立ちます。今回は審査員である僕自身も勇気をもらいました。映画祭の意味を実感しました。すべての映画を自分のなかでは解釈しているので、感想を聞きたい人は聞きにきて下さい」と若手クリエイターたちにエールを贈っていた。


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