満を持して「クレヨンしんちゃん」3DCG化!アニメーション初挑戦となった大根仁監督の歩みを振り返る|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
満を持して「クレヨンしんちゃん」3DCG化!アニメーション初挑戦となった大根仁監督の歩みを振り返る

コラム

満を持して「クレヨンしんちゃん」3DCG化!アニメーション初挑戦となった大根仁監督の歩みを振り返る

人気テレビアニメ「クレヨンしんちゃん」の劇場版最新作『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦~とべとべ手巻き寿司~』が、シリーズ初の3DCG作品として現在公開中だ。そんな記念すべき作品で監督を務めたのは、映画『バクマン。』(15)やドラマ「エルピス —希望、あるいは災い—」などのヒットメーカー、大根仁。大根は本作でアニメーション監督に初挑戦している。そこで本稿では、過去作を振り返りながら大根作品の魅力を解説していく。

数々のヒット作を生みだす“大根仁”

多くの話題作を世に送りだしてきた大根は、深夜ドラマやカラオケビデオ、ミュージックビデオなどの制作で磨いたスキルと、バラエティの世界も熟知したジャーナリスティックな視点で、作品にふさわしい世界観を作り上げるのが上手いクリエイター。過去の名作映画や名作ドラマへのリスペクトも強く、それらの素晴らしさを現代に伝える作品も多数発表しており、映画監督よりも、“エンタメ請負人”という呼び名のほうが近いのではないだろうか。

『クレしん』最新作にも通じる?超能力モノ「TRICK」「サイコメトラーEIJI」

大根監督の初期の代表作といえば、放送から20年以上経ったいまでもたびたび話題に上がる人気ドラマ「TRICK」。「お前のやったことは全部まるっとお見通しだ!」が口癖の自称超売れっ子天才美人マジシャンの山田奈緒子(仲間由紀恵)と、物理学教授の上田次郎(阿部寛)が、超常現象を装った難事件や奇怪な事件の真相を暴いていくミステリードラマ。本作で大根は、師匠でもある堤幸彦監督のもと第1シリーズの第6話と第7話を監督した。

当時から、すでに持ち前のコメディセンスとギャグ、バラエティ感覚を炸裂。人や物の記憶を読み取るサイコメトラーの少年、明日真映児(松岡昌宏)が主人公の「サイコメトラーEIJI」(第2期の第8話を担当)と共に、これらで培った超能力の知識は「クレヨンしんちゃん」の最新作で活かされているだろう。

『モテキ』『バクマン。』など個性派キャラを一人一人活かした群像劇

大根監督は群像劇を撮るのも上手い。大ヒットドラマの劇場版『モテキ』(11)では突然モテ期が訪れた29歳の藤本幸世(森山未來)の恋と成長を、長澤まさみ、麻生久美子、仲里依紗、真木よう子との共演にミュージカルシーンも絡めて活写。『バクマン。』では、プロの漫画家を目指す秋人(神木隆之介)と最高(佐藤健)の奮闘と葛藤のドラマを、クセのある業界人との出会いや、プロジェクションマッピングを駆使した斬新な漫画執筆シーンを通してダイナミックに視覚化した。

奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(17)でも、奥田民生に憧れる雑誌編集者コーロキ(妻夫木聡)と彼がひと目惚れした美女、あかり(水原希子)をめぐる恋模様が描かれたが、ここでも雑誌業界に詳しい大根だからこそ描ける、奇抜な業界人やリアルな生態が話題に。NHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」では、そんな群像劇の演出に長けた大根監督のスキルが遺憾なく発揮されていたのも記憶に新しい。


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