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『二十歳に還りたい。』赤羽博監督&田中宏明&三浦理香子が明かす現場の雰囲気と作品にかけた想い「誰かを愛することで人生は変わっていく」

インタビュー

『二十歳に還りたい。』赤羽博監督&田中宏明&三浦理香子が明かす現場の雰囲気と作品にかけた想い「誰かを愛することで人生は変わっていく」

「津嘉山さんの姿から、たくさんの刺激を受けました」(田中)

――本日はいらっしゃらないのですが、老年期の寺沢を演じた津嘉山さんから、田中さんと三浦さんに向けて、「現場で赤羽監督ともよく話していたのですが、若い方たちは、あまり作りこんだ芝居をせずに、素直ないい演技をされていました。田中さんと三浦さんという若い俳優たちが生き生きと演じていたので、私は見守っているという感じでした」とのコメントをいただいています。この津嘉山さんからの言葉を、どのように感じましたか?

老年期の一徳に扮した津嘉山正種。味わい深い演技を披露している
老年期の一徳に扮した津嘉山正種。味わい深い演技を披露している[c] 2023 IRH Press

田中「僕は、津嘉山さんと同じ寺沢という役を演じていたので、『津嘉山さんは、青年期の寺沢をどう思っているのだろうか』とずっと気になっていたんです。そんなふうに言っていただけて、ホッとしましたし、とてもうれしいです。衣装合わせの時に津嘉山さんとお話をさせていただいたんですが、津嘉山さんが20歳のころのお写真を持ってきてくださって。監督からは僕と当時の津嘉山さんが似ていると言われました。津嘉山さんは『20歳のころは劇団に入りたてで、なんでもやろうという気持ちだった』と当時の気持ちを教えてくれました。映画が完成したあとの試写会でも、『初心を思いだした。そのままの純粋な感じでお芝居をやっていってくださいね』と声をかけてくださって、本当にありがたかったです」

――劇中では、寺沢が俳優の道に進む場面もありましたが、今後、田中さんが役者業を邁進していくうえでも、津嘉山さんからの言葉が力になりそうですね。

田中「本当にそう思います。津嘉山さんは現場でも、本番直前までいろいろなパターンでセリフの言い方を考えられたり、繰り返し練習をされたり、監督に相談をされたりと、研究をし続けていらっしゃいました。経験を重ねられても、その役をどこまでも突き詰めている姿を拝見して、とても刺激を受けました」

三浦「津嘉山さんからそういった言葉をいただき、私もとてもうれしいです。津嘉山さんは、心が広く、器の大きい方だなと感じています。車椅子を押しながら話すシーンでは、津嘉山さんにたくさん引っ張っていただきました。気取らず、どっしりと構えて現場に佇んでいる姿を拝見して、ものすごく勉強になりました」


 寺沢は、俳優の道へと突き進んでいく
寺沢は、俳優の道へと突き進んでいく[c] 2023 IRH Press

――寺沢の数奇な人生を通して、本当の成功や幸せについて考えさせられる映画です。皆さんは本作を通して、どのようなメッセージを受け取りましたか。

赤羽「本作を観ると、人生を歩むうえでも一度立ち止まって、足元を見つめてみようという気持ちになるのではないかと思っています。向かい風か追い風かはわからないけれど、いま自分にどんな風が吹いているのか。その風を感じながら人生を振り返れば、過去には反省すべきことが見え、前を向けば、夢や志が見えてくる。地平線の向こうに、きっとなにかが見えてくるはず。皆さんにもぜひ、自分を見つめ直す機会にしてほしいです」

田中「若い時には、早いうちにお金や仕事の成功をゲットできたら幸せだと考えがちなものですが、僕は本作を通して、人のためになにかをすること、無償の愛を注ぐことこそが大事で、誰かを愛することで人生は変わっていくものなんだと思いました。僕自身、役作りにおいてもそうですが、映画の物語からも人間として成長することをたくさん勉強させていただきました。すばらしい作品に関われて本当によかったなと思っています。ご覧になる方にも、物語としてのおもしろさと共に、愛や人生について感じていただければうれしいです」

三浦「私は、本作を通して、たとえ失敗があったとしても、後悔しないような生き方をしたいと思いました。寺沢さんは20歳に戻りましたが、誰しもが人生は一度しかないものなので、自分できちんと選択して、責任を持って行動をしていけば、何があっても『後悔はない』と思えるはずだし、それこそが幸せな人生なのかなと思っています」

取材・文/成田おり枝

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