第36回東京国際映画祭のラインナップが明らかに!フェスティバル・ナビゲーター抜てきの安藤桃子監督は「ぶっ飛ぶほど光栄」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
第36回東京国際映画祭のラインナップが明らかに!フェスティバル・ナビゲーター抜てきの安藤桃子監督は「ぶっ飛ぶほど光栄」

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第36回東京国際映画祭のラインナップが明らかに!フェスティバル・ナビゲーター抜てきの安藤桃子監督は「ぶっ飛ぶほど光栄」

10月23日(月)~11月1日(水)に開催される第36回東京国際映画祭(TIFF)のラインナップ発表記者会見が9月27日に東京都内で開催され、「コンペティション」部門を始め、全上映作品が発表となった。また本年度フェスティバル・ナビゲーターを務める安藤桃子監督、「コンペティション」部門に選ばれた小辻陽平監督(『曖昧な楽園』)、富名哲也監督(『わたくしどもは。』)も出席し、映画祭への想いを語った。

映画祭の顔となるコンペティション部門の審査委員長は、『ベルリン・天使の詩』や『PERFECT DAYS』のヴィム・ヴェンダースが務める
映画祭の顔となるコンペティション部門の審査委員長は、『ベルリン・天使の詩』や『PERFECT DAYS』のヴィム・ヴェンダースが務める

東京国際映画祭は世界中から優れた映画が集まる、アジア最大級の映画の祭典。今年の「コンペティション」部門には114の国と地域から1942本がエントリー。厳正な審査を経た15本が期間中に上映され、クロージングセレモニーで各賞が決定する。映画祭の顔となるコンペティション部門の審査委員長は、ドイツの映画監督ヴィム・ヴェンダースが務める。会見には、安藤裕康(東京国際映画祭チェアマン)、市山尚三(プログラミング・ディレクター)、石坂健治(シニア・プログラマー)、藤津亮太(「アニメーション部門」 プログラミング・アドバイザー)も出席した。

本年度フェスティバル・ナビゲーターを務める安藤桃子監督
本年度フェスティバル・ナビゲーターを務める安藤桃子監督

今年の本映画祭のナビゲーターには、2014年には自ら書き下ろした長編小説を実妹の安藤サクラを主演に迎えて映画化した『0.5ミリ』(14)などで知られる安藤桃子監督が就任。これまで「アンバサダー」という形で俳優や女優が就任していたが、今年は映画祭をより楽しんでもらうための案内人として、映画監督であり、高知で映画館の代表も務め、自身で映画祭も企画するなど様々な形で映画にコミットしている安藤に「アンバサダー」改め「ナビゲーター」として白羽の矢が立ったという。

会見に姿を現した安藤監督は、「ぶっ飛ぶほどに光栄に感じました」と大きな笑顔。「ナビゲーター」という役割について、「コロナがあって、世界中から映画監督やゲストをお迎えすることができなかった。それを経て、これから先、私たちはどこへ向かっていきたいのか。その道を示していくことが、ナビゲーションだと思っています」と責任をかみ締めた。また「映画は我々の未来、一人一人の人生を導いてくれるようなメディア」と力を込め、「数年ぶりに世界中からゲストの方がいらっしゃいます。いまの世の中のこと。そしてこれから先、私たちはどこに向かいたいかということを、ぜひとも直接!肌で語り合いたいなと思います」と映画祭での出会い、そして対話に期待を寄せていた。

安藤桃子監督、父・奥田瑛二と並んだポスターと一緒に笑顔でフォトセッション
安藤桃子監督、父・奥田瑛二と並んだポスターと一緒に笑顔でフォトセッション


映画祭の開催に向けて、安藤監督と父親で俳優の奥田瑛二が並んだビジュアルのポスターが撮り下ろされた。今年は生誕120年となる小津安二郎監督の特集が行われることもあり、ポスターは小津監督の代表作の一つである『東京物語』(53)にオマージュを捧げるようなイメージに仕上げられている。安藤監督は「“父から受け継いでいくこと”ということを、父も意識する年齢になった。私は、俳優として長年映画界に身を置いてきた父の姿を見てきた。ポスターの撮影をしながら、2人で並びながら、これまでに出会わせていただいた先人や先輩の想いや、志してきたこと、どういう映画界にしていってほしいというメッセージのようなものを感じて、見えないバトンがつながっていく気持ちで。大変光栄であり、胸がいっぱいになるような想いもした」と特別な時間となった父とのポスター撮影の時間を振り返っていた。

「コンペティション」部門に選ばれた小辻陽平監督(『曖昧な楽園』)
「コンペティション」部門に選ばれた小辻陽平監督(『曖昧な楽園』)

コンペティション部門に選出された『曖昧な楽園』は、生と死をめぐる二つの物語をSF映画のような雰囲気をまとった独自の手法で映しだしたもの。小辻監督は、「祖父が亡くなった時の、最期の時間をもとにして映画を作りました。実際の人生は複雑であったり、漠然としているもの。そのような感覚に近い映画になればと思って作りました」と映画に込めた想いを吐露。「スタッフ、俳優全員の力とアイデアで作られた映画。小さなチームで作ったんですが、すばらしい俳優、スタッフが関わってくれた。東京国際映画祭という大きな舞台で、彼らのことをより多くの方に知っていただけたら」と願いを込めていた。

「コンペティション」部門に選ばれた富名哲也監督(『わたくしどもは。』)
「コンペティション」部門に選ばれた富名哲也監督(『わたくしどもは。』)

富名監督による『わたくしどもは。』は、過去の記憶をなくした女が、同じく過去の記憶を持たない男と出会い恋に落ちる物語。小松菜奈と松田龍平が共演を果たしている。「佐渡島で撮った」という富名監督は、「プロデューサーは、妻が務めている。夫婦で作った作品です。俳優の方は豪華ですが、小さな作品で、クルーもすごく小さかった。撮影期間も短かったんですが、コロナのなか、スタッフ、クルー、豪華な俳優陣の方に参加していただいた作品。この機会にワールドプレミアを迎えられて、みんなに観てもらえてよかったなと思います」と映画祭への参加を喜んでいた。

東京国際映画祭チェアマンの安藤裕康
東京国際映画祭チェアマンの安藤裕康

安藤裕康チェアマンは、「コロナ禍を超えて、さらなる飛躍を目指す」というスローガンを掲げた。上映作品数は昨年から約25パーセント増、海外からのゲストの数も大幅に増え、「量的拡大」を図るという。さらに「国際交流を強化したい。ヴィム・ヴェンダースさんやチャン・イーモウさん、トラン・アン・ユンさん、トニー・レオンさん、ジャ・ジャンクーさんなど、多彩な顔ぶれの方に来日していただける」とコメント。また祝祭感を盛り上げるために、レッドカーペットや関連イベントの充実を目指しつつ、アジアとの連携強化も達成したいと語っていた。

第36回東京国際映画祭は、10月23日(月)~11月1日(水)まで、日比谷、有楽町、丸の内、銀座地区にて開催。改めて小津安二郎監督の作品に光を当てる小津安二郎生誕120年記念企画「SHOULDERS OF GIANTS」や、香港を代表する俳優のトニー・レオンが『2046』(2004)上映後に行うマスタークラス、屋外上映会など、映画と人をつなぐあらゆる企画が予定されている。

映画の力で世界をカラフルに!「第36回東京国際映画祭」特集
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