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中島健人が見せる役者としての新たなフェーズ!骨太の社会派サスペンスで政治家秘書役を熱演

コラム

中島健人が見せる役者としての新たなフェーズ!骨太の社会派サスペンスで政治家秘書役を熱演

ターニングポイントとなった『ラーゲリより愛を込めて』

そして、中島のターニングポイントとなった作品が、二宮和也主演×瀬々敬久監督作『ラーゲリより愛を込めて』だ。この作品は、第二次世界大戦終戦後、シベリアの強制収容所(ラーゲリ)に不当抑留された日本人捕虜たちを励まし続けた、実在の人物である山本幡男(二宮)を主人公とする物語。

中島は生まれつき足が不自由なため徴兵されなかったにも関わらず、漁の最中に連行されてしまう新谷健雄役を演じている。いつも故郷の兄弟を心配し、食料が乏しいなかでも子犬に分け与えるような心優しき青年だ。常に明るく、丁寧にハキハキと話す健雄。中島はこれまでのイメージとはまったく異なるキャラクターを演じるにあたり、人生初の丸刈り姿に。二宮をはじめ松坂桃李、桐谷健太、安田顕ら実力派俳優との共演のなか、確かな存在感を見せつけた。

健雄の明るさは仲間たちを勇気づける(『ラーゲリより愛を込めて』)
健雄の明るさは仲間たちを勇気づける(『ラーゲリより愛を込めて』)[c] 2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 [c] 1989清水香子

そんな中島の最新作が、政治家一族に起きた誘拐事件をきっかけに、警察、マスコミ、国民も巻き込む大事件へと発展していくタイムリミットサスペンス『おまえの罪を自白しろ』だ。

地位と権力のために、最初は口を閉ざす清治郎(『おまえの罪を自白しろ』)
地位と権力のために、最初は口を閉ざす清治郎(『おまえの罪を自白しろ』)[c] 2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会

政治スキャンダルの渦中にいる国会議員の宇田清治郎(堤)の孫娘が誘拐された。幼い娘の母親であり、宇田家の長女の麻由美(池田)が呆然自失となるなか、誘拐犯は身代金ではなく清治郎に「お前の罪を自白しろ」と要求する。宇田家の次男で、清治郎の秘書を務める晄司(中島)は、清治郎に全ての罪を記者会見で話すよう強く訴えるのだが…。

宇田家の長女である麻由美を池田エライザが熱演!『おまえの罪を自白しろ』)
宇田家の長女である麻由美を池田エライザが熱演!『おまえの罪を自白しろ』)[c] 2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会

かつて建築会社を設立するも倒産させたことで自分に自信が持てなくなっている晄司は、複雑な心境を抱えながらも、清治郎の秘書として誘拐事件の解決に奔走する。中島は晄司について「正義感にあふれているように見えて、実は狡猾なところがある」と分析しているが、晄司のポテンシャルの高さを瞬発力ある演技で表現。幼い命を救おうとする気迫みなぎる姿勢や、清治郎も認めるタフな一面を感情豊かに描きだした。


晄司の政治家としてのセンスは清治郎譲り?(『おまえの罪を自白しろ』)
晄司の政治家としてのセンスは清治郎譲り?(『おまえの罪を自白しろ』)[c] 2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会

近年の彼は、大人の恋愛劇での胸に染みる演技のみならず、一筋縄ではいかない難しい役柄も、入念な役作りを行い魅力的なキャラクターへと昇華させている。骨太の社会派ドラマながらスリリングな展開から目が離せない『おまえの罪を自白しろ』、本作で役者として新たなフェーズに入った中島の熱演を堪能してほしい。


文/足立美由紀

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