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「インファナル・アフェア」で改めて考える!トニー・レオンが歩んだ軌跡とファンを惹きつける魅力

コラム

「インファナル・アフェア」で改めて考える!トニー・レオンが歩んだ軌跡とファンを惹きつける魅力

ウォン・カーウァイ、トラン・アン・ユン作品でかわいさ&セクシーを体現

決定打は、マイベスト1に選ぶ人も多いであろうウォン・カーウァイの『恋する惑星』(94)だ。恋人にフラれ、別の女の子(フェイ・ウォン)に思われる優しい警官役を、まさに“カッコかわいく”体現。いまとなっては“なぜ気づかない!?”とツッコミたくなるが、彼の人のよさや優しさ、大らかさ、そしてこの映画の“何気なさ”は現在もほかの追随を許さず燦然と輝いている。

優しい警官をまさに“カッコかわいく”体現した『恋する惑星』
優しい警官をまさに“カッコかわいく”体現した『恋する惑星』[c]Everett Collection/AFLO

レオンのセクシーさでベスト3を選ぶなら、『青いパパイヤの香り』(93)で一世を風靡した監督トラン・アン・ユンの『シクロ』(95)が入る。香港とは違う湿度、匂い、空気が立ち込めるベトナムの街に立つレオンが醸す色気――。白いスーツで煙草をくわえた気障なヤクザ姿が、どこか悲しげでその哀愁が胸を締め付ける。

とはいえ、やはりレオンを語るうえでカーウァイの存在は絶大だ。『ブエノスアイレス』(97)ではレスリー・チャン演じる恋人と別れてはヨリを戻す青年を、体を張って熱演。香港2大スター(途中からチャン・チェンまで参戦)の濃ゆ~い愛憎劇での競演に、世界中が湧き立った。一度はゲイの役を断ったレオンだが、カーウァイは脚本を直すと説得。しかし出来た映画はコレだった、というエピソードからもカーウァイのほうが一枚上手だったのかもしれないが、“トニーじゃないとダメなんだ”伝説の一つと言える。

一方、セクシー・ベストに必ず入る1作『花様年華』(00)での悲しいくらいに甘美な苦悩も忘れがたい。細身のチャイナドレスをエレガントに着こなすマギー・チャンと、いわゆる“され夫・され妻”として出会いながら、許されぬ恋に落ちてゆく。言葉少なに佇む2人のしっとりした姿にはいまも動悸が速まる。さらに、カーウァイ作品には『2046』(04)、『グランド・マスター』(13)と出演。歳を重ねるごとに色気も人間味も厚みを増していくレオンに、うれしさとトキメキと敬愛がないまぜでファン心理も増し増しに!

『花様年華』でカンヌ国際映画祭の男優賞を受賞した
『花様年華』でカンヌ国際映画祭の男優賞を受賞した[c]Everett Collection/AFLO

『シャン・チー』でハリウッド大作にも出演!


チャン・イーモウの『HERO』(02)における華麗なる剣さばき、セクシー3大作品の残り一つ、アン・リーによるラブサスペンス『ラスト、コーション』(07)も捨てがたい。特に『ラスト、コーション』はタン・ウェイとの絡みのシーンが“本番か”と下世話な噂が飛びだしたほど、観る者を燃え立たせた。スターになっても守りに入らないレオン、監督が求める世界観を共にとことん追求する姿勢が滅茶苦茶カッコイイ。

華麗な剣さばきにほれぼれ!(『HERO』)
華麗な剣さばきにほれぼれ!(『HERO』)[c]Everett Collection/AFLO

三国志の英雄、周瑜を演じたジョン・ウーの「レッドクリフ」二部作についても語りたいが、ついにレオンがハリウッドに進出したマーベル・スタジオの『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(21)に話を飛ばそう。レオンは主人公シャン・チー(シム・リウ)の父親で、息子の宿敵になる犯罪組織のボスを演じたが、マーベルの社長も監督もレオンのスター性に言葉を失ったという。さすが、我らがトニー・レオン!スクリーン映えするカリスマと演技力という言葉を超え、どんな役にも全霊でするっと化ける“本物の役者としての生き様”は喜ぶべきことに、これからまだまだ更新されよう。

マーベル・シネマティック・ユニバースの『シャン・チー/テン・リングスの伝説』にも出演
マーベル・シネマティック・ユニバースの『シャン・チー/テン・リングスの伝説』にも出演[c]Everett Collection/AFLO

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