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“笑顔”に戦慄…話題のホラー『SMILE/スマイル』が描く、恐怖の連鎖

コラム

“笑顔”に戦慄…話題のホラー『SMILE/スマイル』が描く、恐怖の連鎖

主演は名優ケヴィン・ベーコンの一人娘!

そんな短編をベースに本作で長編デビューを飾ったのが、36歳の新鋭パーカー・フィン監督。『ローラは眠れない』でわずか11分のなかにオーソドックスなホラー映画を成立させてみせた彼は、初長編となった本作でも観客を魅了することに成功。本作のスマッシュヒットを受けたフィン監督は、新たにホラー映画を中心とした製作会社「バッド・フィーリング」を設立しており、今後もジャンル映画の世界を広げていくクリエイターの一人になることが期待される。

撮影現場でのパーカー・フィン監督とソシー・ベーコン
撮影現場でのパーカー・フィン監督とソシー・ベーコン[c]Paramount Pictures / Courtesy Everett Collection


主人公の精神科医、ローズを演じるのは31歳のソシー・ベーコン。『フットルース』(84)、『インビジブル』(00)で知られる名優ケヴィン・ベーコンと、テレビドラマ「クローザー」や『ポゼッション』(12)などのキーラ・セジウィックの一人娘である。医師として経済的にも自立しており、頼れるパートナーもいるローズが、“笑顔”に翻弄されて加速度的に蝕まれていくさまを見事に表現。映画の出演作はまだ少ないが、本作の演技にも父親譲りの表現力を感じさせる部分が多く、これからの活躍が楽しみだ。

主人公と共鳴!ホラー映画から呪いの謎を解くサスペンス映画へ

ローズは呪いの核心に迫っていくが…
ローズは呪いの核心に迫っていくが…[c]Paramount Pictures / Courtesy Everett Collection

物語後半、笑顔に追われ恐怖するローズだったが、友人の刑事ジョエルと共に行動するなかで笑顔と自殺の関係性に気づく。最初の患者ローラが絶命する前に見ていた大学教授の自死。なんとその教授もまた、別の人物の自殺を目撃していたのだ。

この連鎖していく過程は、性行為による呪いの“感染”という革新的なアイデアが話題を呼んだ傑作ホラー『イット・フォローズ』(15)を彷彿とさせる。同作では、ティーンらのやり場のない感情を克明に描いたことで観客を物語に没入させたが、『SMILE/スマイル』では“笑顔”による自殺の連鎖を主人公ローズがどのように断ち切ろうとするかに焦点が当たる。さながらホラー映画から呪いの謎を解くサスペンス映画へと変化していくわけだが、この構造ゆえにハッピーエンドを期待する多くの観客はローズと共鳴し、連鎖の物語のなかに没入してしまうはずだ。

『SMILE/スマイル』は配信中
『SMILE/スマイル』は配信中[c]Paramount Pictures / Courtesy Everett Collection

文/小泉 雄也

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