ルームシェアの達人、蛙亭イワクラが「ほどよい距離感が魅力」の映画『コーポ・ア・コーポ』に抱いた既視感とは? - 2ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
ルームシェアの達人、蛙亭イワクラが「ほどよい距離感が魅力」の映画『コーポ・ア・コーポ』に抱いた既視感とは?

インタビュー

ルームシェアの達人、蛙亭イワクラが「ほどよい距離感が魅力」の映画『コーポ・ア・コーポ』に抱いた既視感とは?

「だらしない人が集まって住むことが一番いいルームシェアだと思います(笑)」

距離感は保ちつつ、必要な時はお互いに支え合うことも。亡くなった人の私物を住人たちがそれぞれ持ち帰るという劇中の行動も近しいものがあるという。「ルームシェアでもモノの貸し借りはよくあります。基本みんななにも持ってないんです、お金がないので(笑)。例えば、誰かがコントで女性の役をすると言ったら、メイク道具を貸して洗面台でメイクを教えてあげたり、おもしろくなるようにみんなでアイデアを出し合うという助け合いはたくさんありました」。

イワクラは「コーポ」を「いいお家!」と話した
イワクラは「コーポ」を「いいお家!」と話した[c]ジーオーティ/岩浪れんじ

「コーポ」の住人と違い、ルームシェアでは様々なものをシェアして暮らす。快適に暮らすためのルールはあるのだろうか。「大阪で2回、東京で1回、すべて芸人とのルームシェアですが、一度もルールを決めたことはありません。ルールを決めると誰かが破った時にムカついてしまうから。ルールを決めて、誰かが破って揉める。ルームシェアをしているほかの芸人たちのそういう姿をたくさん見てきたのでルールは決めないと決めていました。お互いに誰も注意しない、だらしない人が集まって住むことが一番いいルームシェアだと思います(笑)」と、理想のルームシェアを明かしたイワクラ。役割分担もルールも決めないルームシェアをしてきたが、東京ではごく自然にそれぞれに役割ができていたという。「私は掃除担当、大鶴肥満が洗濯担当、伊藤くんがご飯担当で、なにもできない森本サイダーは『僕は汚い仕事をします!』と立候補して、ゴミ捨てとか虫を殺したりしてくれました(笑)。奇跡的に役割分担が自然にできたルームシェアでした」。


そんな東京でのルームシェアでも、イラッとすることやびっくりすることはあったそう。「トイレットペーパーを毎回ちょこっとだけ残して替えないとか…。犯人は伊藤くんか大鶴肥満だってわかってるけれど、わざわざ言わない。自分が替えれば済むだけの話なので。大鶴肥満は体重が189キロもあったからトイレの便座にヒビが入ったりするし、人より食べる量が多いのでうんちの量も動物レベル。毎朝爆発音のような音を出してうんちをしていました(笑)。最初はびっくりしたけれど、みんなその音で起きるようになって。動物園の飼育員のような気分だったので、嫌な気は全然したことなかったです。ルームシェアって不思議で、だんだん慣れてくるんですよね」と笑い飛ばす。

3度のルームシェアを経験したイワクラが思う理想のルームシェアとは?
3度のルームシェアを経験したイワクラが思う理想のルームシェアとは?[c]ジーオーティ/岩浪れんじ

「コーポ」の住人たちは、顔を合わせる度になにかと声を掛け合う。ゆるくつながりながら、互いの身に起きていることを気遣う関係が描かれるが、ルームシェアではお互いに気になることが出てきたら“家族会議”をしていたそう。「後輩から私とサイダーにと誕生日にいちごを2パックもらったことがあったのですが、翌日空になったパックを1つゴミ箱で発見して、みんなでリビングに集まって家族会議になりました。食べたのはサイダーでした。2人の誕生日にともらったのだからサイダーが食べるのは全然問題ないんです。でも、“いちごはみんなで分けて食べるモノ”だと思っていた私たち3人は、なぜ一人で食べたのかを確認したくて。話を聞いたら、これまでサイダーも家族とは分けて食べていたと。だったら、これからは分けて食べようってことに。

誰かと暮らすことについてイワクラが思うこととは
誰かと暮らすことについてイワクラが思うこととは撮影/河内彩

『こうしろ!』ではなく、みんなで考え方をすり合わせるのがルームシェアの楽しさだと思います。自分へのプレゼントを一人で食べて『なぜ?』『どうして?』といろいろ訊かれたサイダーが、途中『わからない!』とパニックになったのも含めて、楽しい時間でした。ただ、この事件はこれだけでは終わらなくて…。実は残りの1パックを私が食べずに腐らせてしまい、隠れて捨てようとしたところを目撃されて、再び家族会議が開かれました。その時にサイダーが『腐らせるより一人で美味しく食べたほうがいいじゃん!』と言っていたのがすごくおもしろかったです(笑)」と話し合うことの大切さを感じたエピソードを披露。「疑問を溜め込んでしまうのはダメ。言わなくてもわかると思わずに、少しでも『?』となったら『どうして?』と訊くのがルームシェアで快適に暮らすコツだと思います」。

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