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集団パニック、少女同士の殺人…都市ボーイズがA24最大ヒットホラーに見る、オカルトとの付き合い方

インタビュー

集団パニック、少女同士の殺人…都市ボーイズがA24最大ヒットホラーに見る、オカルトとの付き合い方

「ルールを重んじないと大変なことが起きるというのは、世界共通です」(岸本)

90秒以内に手を離さなければ、霊に支配されてしまう
90秒以内に手を離さなければ、霊に支配されてしまう[c]2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

はやせ「本作の“憑依チャレンジ”って、これまで映画で描かれてきた降霊術のなかでも一番簡単なんですよね。あの“手”さえあれば、握って言葉を発するだけで降霊できるという手軽さ(笑)。だからこそ、興味本位でこういう遊びに手を出す若者への注意喚起にもなるのかな」

岸本「SNSで拡散されていることを真似して悲劇が起こるというのは、実際に起きていますね。今年の春にコロンビアで女子学生がウィジャボード(コックリさんに似た、欧米でポピュラーな降霊術に用いる文字盤)で招霊術を行って、集団パニックに陥って28人もの学生が病院に運ばれる事件がありましたし、去年にはウィジャボードが原因と見られる殺人事件も起きています。

それは17歳の少年が何者かによって殺された事件なんですけど、捜査を進めていくうちに、その被害者と友だちが遊んでいたウィジャボードに『その男の子を殺せ』と指示が出たという証言があったという。ウィジャボードに参加していたほかの子たちに事情聴取しても言っていることがめちゃくちゃで、ドラッグの可能性も指摘されましたがなにも出てこなかった。事件から1年以上経過しても誰が殺したのかはわからないままだそうです。

本作でも、ルールを破ってしまったがために呪いが発動したままになっているという危険さが描かれています。僕らのところにもルール通りに終わらせなかった結果、変なことが起きたというお便りが届くことがある。儀式をやるうえで手順を重んじないと大変なことが起きるというのは、世界共通で言われていることです」


ルールを破ったミアに、恐ろしい出来事が降りかかる
ルールを破ったミアに、恐ろしい出来事が降りかかる[c]2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

はやせ「中国で大流行した、“筆仙(ピーシエン)”という降霊術がそのいい例ですね。中国のコックリさんとも言われているんですが、アルファベットなどが書かれた紙のうえで2人が手を握ってその間にペンを挟む。それで決まったフレーズを言うと、そこに死者が降りてくるというものです。これも最後に頭を下げて別れないといけない、12時以降にやってはいけない、“死”について触れてはいけないなど色々なルールが決められています。

20年ほど前にこの筆仙にまつわる事件がありまして、これをやっていた女子学生の一人が『亡くなったお父さんに会いたい』とお願いしてしまった。本作でのミアとまったく同じシチュエーションですね。つまりそれは、死について触れてはいけないルールを破ることになる。すると筆仙が隣の女の子を殺すように彼女に命じて、結果的に本当に殺してしまったのだそうです。事件の真相は不明ですが、これがきっかけで中国国内では一気に筆仙の人気が出てしまって、映画や小説、ゲームまで作られるようになりました。

その後、2014年にもある学校で大きな事件がありました。発端は筆仙をやっていた生徒が恐怖のあまり飛び降り自殺をしたという話がネット掲示板に書き込まれたことでした。のちのち、本当は錯乱状態で病院に運ばれただけだったとわかるのですが、書き込みから数日後には生徒400人以上が怖がって登校しなかったというんです。中国では、人は亡くなると鬼になると言われています。つまり、筆仙をちゃんと終えていなかったから、学校に鬼がうろついているんじゃないかという噂だったんです」

生々しい若者たちの心情表現は、時代を見つめるYouTuberならでは
生々しい若者たちの心情表現は、時代を見つめるYouTuberならでは[c]2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

岸本「大昔にはラジオドラマの影響でパニックが起こったという話もありましたが、わずか10年前というのが怖いですよね…。やはりSNSの影響というのが少なからずあるのではないかと思っています」


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