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「ザ・グローリー」「ムービング」大ヒットの反面、映画界は不況に!韓国映画&ドラマの2023年を振り返る

コラム

「ザ・グローリー」「ムービング」大ヒットの反面、映画界は不況に!韓国映画&ドラマの2023年を振り返る

ベテラン女優主演ドラマ「イルタ・スキャンダル」「医師チャ・ジョンスク」が大ヒット

韓国で#MeToo運動が広まったのは2018年だったが、その少し前、チョン・ドヨンが「出演する作品がない」と嘆いているのを聞いてびっくりした。チョン・ドヨンと言えばイ・チャンドン監督の『シークレット・サンシャイン』(07)でカンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞した、韓国を代表する女優だ。だが、確かに#MeToo以前は中年以上の女優が主演の映画やドラマが非常に少なかった。ところが近年、ベテラン女優の活躍が目覚ましい。特に今年はチョン・ドヨン主演の「イルタ・スキャンダル 〜恋は特訓コースで〜」、オム・ジョンファ主演の「医師チャ・ジョンスク」が立て続けにヒットした。2人とも50代だ。

惣菜店を営むシングルマザーと摂食障害に悩む数学講師が織りなすラブコメディ「イルタ・スキャンダル ~恋は特訓コースで~」(Netflixで独占配信中)
惣菜店を営むシングルマザーと摂食障害に悩む数学講師が織りなすラブコメディ「イルタ・スキャンダル ~恋は特訓コースで~」(Netflixで独占配信中)[c]tvN

ドヨン演じる「イルタ・スキャンダル」の主人公ヘンソンは、総菜屋を切り盛りしながら高校生の姪を育てているが、姪に数学を教えるスター講師(チョン・ギョンホ)とスキャンダルになる。出演前から「50代でラブコメに挑戦?」と話題になったが、初回4%台だった視聴率はぐんぐん伸びて、最終回は17%を超えた。「医師チャ・ジョンスク」でオム・ジョンファが演じたチャ・ジョンスクは医学部出身だが、若くして妊娠し、専業主婦として家族を支える生活を送ってきた。自身の病気をきっかけに一念発起し、研修医として働き始める。歌手兼俳優のオム・ジョンファは近年は出演が減って「往年のトップスター」という雰囲気だったが、今年は主演ドラマヒットに続き歌手としても活動を再開し、「第二の全盛期」を迎えている。

「ザ・グローリー」「ムービング」が世界を席巻!

イム・ジヨンの悪女ぶりも話題になった「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」(Netflixで独占配信中)
イム・ジヨンの悪女ぶりも話題になった「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」(Netflixで独占配信中)[c]Netflix

動画配信サービスのドラマが増え、もはや視聴率だけで人気を語れなくなっているが、今年韓国内外で最も話題を集めた韓国ドラマはNetflixオリジナルの「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」とディズニープラスオリジナルの「ムービング」だろう。「ザ・グローリー」は「太陽の末裔 Love Under The Sun」「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」など数々の大ヒット作を生んできたキム・ウンスクが脚本を手掛け、ソン・ヘギョが主演した。主人公ドンウンは高校時代に深刻ないじめを受け、長い時間をかけて周到に準備して復讐を果たしていく。上半期の視聴時間集計では6億2280万時間を記録し、Netflix全作品中3位にランクイン。百想芸術大賞で作品賞と最優秀演技賞(ソン・ヘギョ)、助演賞(イム・ジヨン)を受賞したのをはじめ、評価も高かった。ドラマをきっかけに校内暴力に関心が高まるなど社会的にも大きな影響を与えた。

超能力を持つ親子のドラマとスリリングな諜報戦が描かれる「ムービング」(ディズニープラス スターで独占配信中)
超能力を持つ親子のドラマとスリリングな諜報戦が描かれる「ムービング」(ディズニープラス スターで独占配信中)[c]2023 Disney and its related entities

「ムービング」は人気ウェブトゥーンが原作で、リュ・スンリョンチョ・インソンハン・ヒョジュが主演。超能力を持ち、過去に秘密を抱える親たちと、親と同じ能力を持つ子どもたちが悪と戦うヒューマンアクション。空飛ぶチョ・インソンは現実離れしていても、南北分断など現代史が絡んだストーリーで、絶妙なバランスが保たれた。韓国内では低調だったディズニープラスが、「ムービング」の大ヒットで一気に加入者が増え、アジアコンテンツ&グローバルOTTアワードでは最優秀クリエイティブ賞をはじめ6部門で受賞する快挙を成し遂げた。


文/成川 彩


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