福田己津央監督が語る、20年越しの完全新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に込めた愛情「ゆくゆくは今作が一番好きになる」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
福田己津央監督が語る、20年越しの完全新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に込めた愛情「ゆくゆくは今作が一番好きになる」

インタビュー

福田己津央監督が語る、20年越しの完全新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に込めた愛情「ゆくゆくは今作が一番好きになる」

「『ガンダム』の映画だと思って観ないでほしい」。21世紀最初の「ガンダム」シリーズとして2002年に放送がスタートしたテレビアニメ「機動戦士ガンダムSEED」と、その続編「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」を手掛けてきた福田己津央監督は、約20年ぶりの完全新作映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(1月26日公開)に込めた想いを語りはじめる。

「『ガンダムSEED』を一番好きなのは多分僕だと思う」

本作の舞台は前作から2年後のC.E.75。独立運動やブルーコスモスによる侵攻などの事態を鎮静化するべく、ラクス・クライン(声:田中理恵)を初代総統とする世界平和監視機構コンパスが創設。キラ・ヤマト(声:保志総一朗)たちはその一員として各地の戦闘に介入していく。そんな折、新興国ファウンデーションから、ブルーコスモス本拠地への合同作戦を提案されることに。

21世紀最初の「ガンダム」シリーズ、20年越しの完全新作劇場版が降臨!
21世紀最初の「ガンダム」シリーズ、20年越しの完全新作劇場版が降臨![c]創通・サンライズ

「誰でもリラックスして観られる“普通の映画”として楽しんでいただけたらうれしいです。僕が監督としてなにをやっているのか言われたら、“僕が観たいものをつくってもらうためにみんなを誘導している”としか言いようがないんです。そういう意味では『SEED』と『DESTINY』はとても上手くいったと思うし、いまでも好きな作品です。でも新しい作品の方がより好きになるので、ゆくゆくは今作が一番好きになると思います」。

元々はテレビシリーズの終了直後に制作される予定だった「ガンダムSEED」の劇場版。しかしそのタイミングで実現には至らず、20年もの年月が過ぎることに。満を持して動きだした劇場版プロジェクトに際し、福田監督は「どうすればシリーズのファンが楽しめる新作を作りだせるのか」と模索を続けていたという。

当初は「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の終了直後に劇場版の制作が予定されていた
当初は「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の終了直後に劇場版の制作が予定されていた[c]創通・サンライズ

「皆さんに作品を好きになってもらえるように、たくさんのことを考えてつくりました。事前にテレビシリーズやスペシャルエディションを観ていただければ最大限に楽しめる映像とストーリーを用意したつもりです。あれこれ考えずストレートに『あのラストから2年後なんだな』とだけ思って観てほしい。当時のテイストは全部残っているはずですし、『ガンダムSEED』を一番好きなのは多分僕だと思うので、そこは信用していただければ(笑)」と自信をのぞかせた。

「満たされない飢餓感が次の作品に繋がっていく」

従来のアナログ技術と最新のデジタル技術が融合し、「ガンダムSEED」の世界がさらにパワーアップ
従来のアナログ技術と最新のデジタル技術が融合し、「ガンダムSEED」の世界がさらにパワーアップ[c]創通・サンライズ

昨年7月に劇場版の公開決定が報じられた際、「アナログから3Dデジタルへの移行と新しい表現のかたちが模索されるなか、私たち旧スタッフは過去の自分の技術と感性に向き合う日々です」とコメントしていた福田監督。やはり20年ぶりの新作となると、制作手段やスタッフの顔ぶれが変化していくことは避けられないところ。

現場では世代の異なるスタッフとのやり取りに苦労していたようで、特に作品づくりに対する温度感やこだわりの部分にギャップがあったという。「僕らは自分たちの仕事に対してそれほど満足していないし、これが正解だとも思っていない。常に新しいものをつくりたいと思っているのですが、若い人たちからすると『でも「SEED」を作りたいんですよね?』となってしまう」と、それぞれのスタッフが持つ“SEEDらしさ”の擦り合わせに難しさを感じたことを明かす。

アスラン・ザラはどんな活躍をするのか…?
アスラン・ザラはどんな活躍をするのか…?[c]創通・サンライズ

それでも「若い世代が持つデジタルスキルや知見は本当にすばらしいし、デジタルでつくる部分にはその特性を存分に活かしてどんどん挑戦してほしい」と称賛と期待の言葉を贈る。「デジタル化が進み過ぎると、一切が似たようなものに塗りつぶされてしまう危険性があります。もしそうなった際、アニメーションにおいてはクリエイター個人の持つ独創性がやはり重要になってくると思います」と業界全体が抱える課題についても言及した。

これまで数々の人気作を世に送りだしてきた福田監督だが、「やり残したことがない作品などひとつもないんです。全部やり残しています」と語る。「これで良いし満足という気持ちだと、次をつくるパワーが生まれない。やったらやった分だけ、また新たなやり残しが出てくる気がします。満たされない飢餓感のようなものがすべて次の作品に繋がっていくし、作品づくりとはそういうものだと思うんです」。

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【写真を見る】“不沈艦"のアークエンジェルが…新キャラや新モビルスーツも盛りだくさん![c]創通・サンライズ


誰よりも「ガンダムSEED」を愛し、あくなき探究心を原動力として完全新作づくりに挑んだ福田監督が無事に完成させた『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』。是非とも映画館のスクリーンで、キラ・ヤマトをはじめとした登場人物たちと20年ぶりの再会を果たしてほしい。

構成・文/久保田 和馬

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