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実写とアニメで描かれる「ワンダーハッチ」のドラゴンは「出水ぽすかさんの絵が“原作”」!?こだわり抜かれたデザインを探る

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実写とアニメで描かれる「ワンダーハッチ」のドラゴンは「出水ぽすかさんの絵が“原作”」!?こだわり抜かれたデザインを探る

ディズニーが実写とアニメで2つの世界を描く、日本発のオリジナルファンタジー・アドベンチャー「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」がディズニープラスにて全話独占配信中だ。本作で描かれるのは、実写で描く現実世界“横須賀”と、アニメで描く異世界“ウーパナンタ”2つの世界を舞台にした、これまでにない新しい物語。完全オリジナルな世界観は、どのようにして創り上げられたのか。アニメーション監督の大塚隆史らスタッフ陣が、その舞台裏について語った。

本作の“2人の主人公”、横須賀に住む空想好きな女子高生ナギと、ウーパナンタからやって来た落ちこぼれのドラゴン乗りの少年タイムを演じるのは、中島セナと奥平大兼。さらにタイムが憧れるドラゴン乗りの英雄アクタ役に新田真剣佑、ウーパナンタを救うため暴走するかつての英雄、柴田/スペース役に森田剛のほか、ウーパナンタを崩壊に導くジャイロの声優に津田健次郎、タイムの相棒のドラゴン、ガフィンの声を武内駿輔が演じるなど、豪華キャストが集結している。

実写版もかわいいガフィン
実写版もかわいいガフィン[c]2024 Disney

そんな本作は、全体監督を務める萩原健太郎監督の「少年漫画の主人公の多面的な成長を描く」という構想からスタートしたあと、アニメーション監督を務めた大塚と、キャラクター原案やコンセプトアートを担当した出水ぽすかによる密な連携と豊かなアイデアのもと構築されていった。

出水ぽすかによるコンセプトアートコンセプトアート:アクタ空団
出水ぽすかによるコンセプトアートコンセプトアート:アクタ空団[c]2024 Disney

出水は、マンガ「約束のネバーランド」の作画担当であり、躍動的なキャラクターや構図、細かい部分にまで描きこまれた緻密な描写が魅力の人気イラストレーターだ。実写とアニメで物語を描き上げるうえで、出水のデザインは、なくてはならないものだったと語る大塚監督。「言ってしまうと、出水さんの絵が“原作”なんです。実写サイドもそこに向けて寄せていくし、アニメサイドも出水さんの絵を動かす方向で頑張っていく。そうすればアニメも実写もちゃんと世界観が揃っていくだろうと。ズレが生じた場合は出水さんのキャラクター原案に立ち返ってすり合わせをすることで、実写とアニメ制作でのいさかいが生じることもなく、現実世界と異世界の統一感も失われることがありませんでした」と解説。

出水ぽすかによるコンセプトアート:ドラゴンたちのバトルシーン
出水ぽすかによるコンセプトアート:ドラゴンたちのバトルシーン[c]2024 Disney

本作の象徴となるドラゴンのデザインにも出水のアイデアが多く反映された。「例えば出水さんのラフに入っていたドラゴンの翼のウロコ型の柄も、手描きアニメだと確かに手間のかかる要素ではあります。実写サイドからも、これは省いてもらってもよいですよ、とも言われました。でも、あの模様が今回のドラゴンの特徴だし、それは作品の特徴でもあると思い、ちゃんと描くようにしました」と当時の制作の様子を語った。

ビーバーの要素を入れたという、タイムの相棒であるドラゴンのガフィン
ビーバーの要素を入れたという、タイムの相棒であるドラゴンのガフィン[c]2024 Disney

結果としてタイムの相棒ガフィンは、少しビーバーの要素を入れた可愛らしいデザインに、7話で実写版で再登場したアクタの相棒イグルは、戦闘力が高く、非常に賢いドラゴンとして王道感を大事にしたデザインとなった。翼の模様をみるとウロコのような造形となっているが、「これは日本特有の鯉のぼりをモチーフに作っていただきました」と、世界中のファンタジー作品で数多く登場するドラゴンの造形に、あえて東洋の竜の要素をミックスする本作ならではの出水のアイデアが活かされている。

 アニメバージョンのアクタとイグル
アニメバージョンのアクタとイグル[c]2024 Disney

さらに、ドラゴンたちにはより細かい設定が原作チームによって決められていたという。ドラゴンたちはウーパナンタで神と崇められるピュトンピュトに存在する不思議な物体“理(ことわり)”から生まれる。ドラゴンにも種類があり、攻撃力や俊敏性を持たない巨大なものや、俊敏性のある小型のものは“運搬用ドラゴン”に区分され、人や物資を運ぶため島同士の交流には欠かせない存在となった。

アクタと“戦闘用ドラゴン”である相棒のイグル
アクタと“戦闘用ドラゴン”である相棒のイグル[c]2024 Disney

一方、アクタの相棒イグルやスペースの相棒であるカタルスは“戦闘用ドラゴン”として、高い攻撃力と知性を備えた希少なドラゴンだ。そして、タイムの相棒ガフィンと、ジャイロの相棒であるボンズは、作中でもシャボン玉を使って傷を癒したり、異世界から現実世界に移動させたりと、ピュトンピュトから特別な力を授かった、ウーパナンタ最古のドラゴンである“古代種”に分類される。7話でもその能力を覚醒させ、ウーパナンタと現実世界を繋ぐ扉(ハッチ)を開く鍵となる存在として描かれた。世界観を一から創り上げるために、言語だけでなく膨大な量の設定が決められているこだわりの強さを感じられる。

アジア文化へのリスペクトも込められた衣装デザイン
アジア文化へのリスペクトも込められた衣装デザイン[c]2024 Disney

出水のデザインはドラゴンのみに限らず、キャラクターたちの衣装にもこだわりが込められている。ウーパナンタのキャラクターたちのエキゾチックな衣裳には、チャイナボタンやチベットの民族衣装が一部使用されるなど、“アジアリスペクト”がすべてにおいて貫かれている。大塚監督は「出水さんにすべてのキャラクターデザインをしてもらい、そこからアニメチームがキャラクターデザインを落とし込んでいきました。ウーパナンタの細かい設定、島のデザインなどは実写パートの美術チームがリファレンスを作り、それを基にアニメチームがデザインしていくという流れです。互いのパートが協力、共有しながら、アニメの世界にどれだけリアリティを持たせられるかを大切に考えました」と語る。


覚醒したガフィンは、ウーパナンタと現実世界を繋ぐ鍵となる
覚醒したガフィンは、ウーパナンタと現実世界を繋ぐ鍵となる[c]2024 Disney

実写とアニメ、それぞれの世界で活躍するドラゴンたち。その隠されたこだわりにも注目しながら、2つの世界の行く末を見届けていただきたい。

文/山崎伸子

「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」特集【PR】
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