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チェッカーズの伝説のライブフィルムは圧巻だった…楽曲と藤井郁弥のMCにファンは涙する!

コラム

チェッカーズの伝説のライブフィルムは圧巻だった…楽曲と藤井郁弥のMCにファンは涙する!

チェッカーズの燦然たる輝きに酔いしれる…

藤井郁弥のキレキレのダンス!
藤井郁弥のキレキレのダンス![c]THREE STAR PRO/COM [c]PONY CANYON INC.

ほかにも今回のセットリストに注目してほしい。「NANA」を歌う前に披露するのは、その対極にあるような清純派のナンバー「MY GRADUATION」である。余談だが、このタイトルを聞いて、SPEEDの「my graduation」を思い浮かべるかどうかで、チェッカーズのファンかどうかがわかる(笑)。「MY GRADUATION」を歌い終えたあと、郁弥のMCによるメンバー紹介が始まるが、それらはメンバーたちへの底しれぬ愛にあふれていて、ファンとしては涙を禁じ得ない。

「MY GRADUATION」では“制服のボタン”という卒業モチーフの青春マストアイテムが登場するが、歌い終えたあと、MCを務めた郁弥が「この曲はプラトニックな物語ですが、16、17、18のころ自分たちは、ろくなもんじゃなかった」と、“ちっちゃなころから悪ガキ”だった自分たちを引き合いに出して苦笑い。その後、幼稚園からのつきあいだという高杢を「幼稚園のころからひげがあった」とジョークを飛ばしたあとで、武内のあだ名が“先輩”だったこと、大土井が矢沢永吉かぶれだったこと、鶴久たちと紙コップでカンパイしたことなど、愛あるイジリが続き、会場は和やかなムードに包まれる。

また、最後に半ば強引に勧誘したという徳永について郁弥は「うちのバンドに入らんやったら山に埋めるぞ」と脅したという、いまでは笑い草となっているエピソードも披露し、会場は大爆笑となる。続けて、郁弥いわく「クロベエは、いまではメンバーのなかで一番の危険人物になりました」と言われ、満面の笑みを浮かべる徳永の姿にも泣ける。そこからダンスパーティーで知り合ったという彼らのルーツを感じさせるダンスパフォーマンスと共に「NANA」を歌い上げるという計算された流れが胸アツだった。

その後も多くの楽曲が披露され、観ている側のボルテージもさらにアップ。アンコールは秋元康、Michael Kenner作詞、Michael Kenner作曲「NEXT GENERATION」に始まり、大ヒット曲「ジュリアに傷心」「ギザギザハートの子守唄」「I Love you, SAYONARA」という王道のラインナップで締めくくられた。

あのころの輝きがスクリーンで蘇る
あのころの輝きがスクリーンで蘇る[c]THREE STAR PRO/COM [c]PONY CANYON INC.

チェッカーズは1992年に解散したが、それをきっかけにメンバー間でいろんなすったもんだが続いたのは周知のとおりだ。本映像で郁弥が「デビューして4年、7人ともわがままで欲ばり」と楽しそうに言ったあと、自分たちについて「ポリシーは楽しけりゃそれでいい」とも言っていた。しかし彼らがビッグアーティストとして活動していくなかで、メンバーそれぞれがその胸にいろんな想いを抱いてきたことは容易に想像できる。

もともとチェッカーズは福岡県久留米市という同じ地元出身のメンバーたちで組まれたバンドで、上京してからもきっと多くの困難や喜びを分かち合ってきたかけがえのない仲間たちだ。事あるごとにいろんな報道もされていたが、その真実をうかがい知ることはできない。でも、少なくとも本作に収められているチェッカーズの燦然たる輝きも、まぎれもない真実のひとつだ。彼らは、選ばれたアーティストのみがまとうことを許されるオーラに満ちあふれているし、楽曲たちはいまもなお、多くの人々に愛され続けている。


映画化に際し、4K画質相当の映像アップグレーディング、Dolby ATMOSの音声という最新鋭の技術によって蘇った伝説のライブ。昭和、平成生まれのチェッカーズのどんぴしゃ世代が本作を観れば、きっと自分がまだ青かった時代に引き戻され、無心になって入り込めそう。でも、個人的には令和世代にも、一時代を一世風靡した人気バンド、チェッカーズの唯一無二なパフォーマンスをぜひこの機会に大スクリーンでご覧いただきたい。

文/山崎伸子

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