宇宙飛行士の野口聡一が『デューン 砂の惑星PART2』の魅力を熱弁！「サンドワームとの冒険も必見」

3月1日に北米を含む72の国と地域で公開を迎え、初日から3日間で全世界1億7850万ドルを超える大ヒットスタート。北米でも前作『DUNE/デューン 砂の惑星』(21)を倍近く上回るオープニング成績を叩きだした『デューン 砂の惑星PART2』(3月15日公開)。そのトーク付き試写会イベントが3月4日に丸の内ピカデリー ドルビーシネマにて開催され、宇宙飛行士で東京大学および立命館大学特任教授の野口聡一が登壇した。

フランク・ハーバートの伝説的SF小説を、『メッセージ』(16)や『ブレードランナー2049』(17)のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化した本作。過酷な砂の惑星“デューン”で、ハルコンネン家の策略によって一族全員を殺されたアトレイデス家。唯一生き残った後継者のポール(ティモシー・シャラメ)は砂漠の民フレメンのチャニ(ゼンデイヤ)らと共に、全宇宙を巻き込む最終決戦に挑んでいく。

2005年と2009年、2020年の3度宇宙飛行に成功し、宇宙滞在期間344日間にものぼる野口は「砂の惑星からやってまいりました！」と笑顔で登場。ひと足先に鑑賞したという本作について、「本当にすばらしい映画。古くはギリシャ神話、近年だと『ゲーム・オブ・スローンズ』の世界観や『王様ランキング』にも近しいものがある。ヒーローものの系譜を大事にしつつ、現代社会が持つ問題もしっかり押さえたすばらしい作品だと思います」と賛辞を送る。

そして本作の魅力について「現代にも通じる普遍的なテーマが描かれていること」と話し、「映画で描かれる惑星デューンの“スパイス”という重要な地下資源をめぐる大国の争いは、石油をめぐる大国間の争いにもつながっている。ほかにも“ベネ・ゲセリット”という宗教集団が裏で大きな力を持っていたり。資源をめぐる争い、経済安全保障の問題、宗教と権力の癒着など、とても普遍的な題材が描かれていて興味深いです」と熱弁。

また、「デューンのような星はこの世界に存在するのか？」とMCから質問された野口は「SF的な観点からいうと『スター・ウォーズ』の惑星タトゥイーンが近いかなと。砂漠の民のような“サンドピープル”が出てきたり、サンドワームのような危険生物も出てくる。でも『デューン』にインスパイアされたのが『スター・ウォーズ』なので、そういう意味では近い星と言えるのかなと思います」と、ハーバートの原作が多くのSF作品に影響を与えてきたことに言及。

さらに劇中でポールたちが着用する“保水スーツ”について「SFのSFたる一番いい例です。体内の水分を回収できるという技術がある前提で描かれていて、とってもかっこいい。僕の船外活動の時にほしかったです！」と語ったり、「人間の非常に豊かな想像力を自由に羽ばたかせる舞台装置としての宇宙には、すごく意味がある。それを仕事にしている我々は、そこをしっかりと守っていかないといけない」と宇宙の魅力について語るなど、宇宙に関わる者としての熱い想いを次々とあらわにしていった。

そして最後に「ガジェットの数々も魅力的ですが、僕は全編を通して砂漠の美しさが強烈に印象に残りました。この作品はいろんな宇宙ものの映画よりも『アラビアのロレンス』に近いような気がします。『デューン』の科学技術もとておもしろいのですが、厳しい環境でありつつ美しい砂漠を舞台に、そこに生きるサンドワームとの冒険も必見です。砂漠の美しさをぜひ大スクリーンでご堪能いただければと思います！」と呼びかけていた。

文/久保田 和馬