本物の駆逐艦から書き割りまで!CGに頼らない“アナログすぎる”ノーラン伝説
先日、およそ7年ぶりに4度目の来日を果たしたハリウッドを代表する鬼才クリストファー・ノーラン。彼の監督最新作『ダンケルク』(9月9日公開)がまもなく公開となる。
ノーランといえば、『ダークナイト』(08)でトレーラー横転シーンを撮るために本物の巨大トレーラーを用意して回転させたり、アカデミー賞作品賞ノミネート作『インセプション』(10)では、360度回転する廊下のセットを作り、そこで実際にアクションシーンを撮影するなど、極力CGに頼らない撮影手法で知られている。またハリウッドをはじめ、世界中で映画がデジタル撮影に移行していく昨今において、かたくなにフィルム撮影にこだわる姿勢も含めて、まさに“アナログ愛”あふれる映画監督でもある。
そんなノーランの“伝説”は『ダンケルク』でも健在。第二次世界大戦真っ只中のイギリス・フランス連合軍とドイツ軍の戦いを完璧に再現するために、1940年当時に活躍した仏の駆逐艦マイレ・ブルゼを使用した。本作の撮影のために、博物館に展示されていたこの艦船が現場に用意されたという。また、5億円以上の予算をつぎ込んで、当時の英空軍の戦闘機スピットファイアのレプリカを制作。映画のために本物の戦闘機を現場の空に飛ばしたのだ。
極め付けは大人数の軍隊の撮影方法。フランスの港町ダンケルクに取り残された40万人もの英・仏連合軍兵士を、1000人以上のエキストラと、風景などを描いた“書き割り”と呼ばれる大道具のパネルで表現。“極力CGは使わない”こだわりを追求するあまり、21世紀とは思えない超アナログな手法をためらいもなく使うあたり、さすが鬼才ノーラン。こだわりもここまでくればアッパレだ。
時に“ノーラン伝説”と呼ばれるアナログな逸話の数々。世界的に大ヒットを記録している『ダンケルク』では、特にその伝説が冴え渡っていると言えるかも。臨場感とリアルな質感にこだわったノーランならではの映像美を、大スクリーンでしっかり堪能しよう!【トライワークス】