『カーズ』の新作には日産GT-Rが登場？【ピクサー現地取材レポート4】

11月22日にMovieNEXがリリースされたディズニー/ピクサーの最新作『カーズ/クロスロード』。ベテランレーサーとなったライトニング・マックィーンの活躍を描く本作。圧倒的な速さを誇る次世代レーサーのジャクソン・ストームに惨敗し挫折を味わったマックィーンは、若き女性トレーナーのクルーズと引退をかけたレースへ挑むことになる。

大人から子供まで熱くなれるクルマたちの成長と絆のドラマは、まさに第1作への原点回帰な内容だ。そしてラストレースでマックィーンが自らに下したある決断は『カーズ』ファンをあっと驚かせた。そんな注目の最新作の秘密を探りに、米カリフォルニアのピクサー・アニメーション・スタジオへ潜入したMovie Walker編集部。その取材レポートの第4回は、キーマンであるブライアン・フィー監督と製作のケヴィン・レハー氏の2人に話をうかがった。

『カーズ/クロスロード』で描きたかったテーマを聞くと、フィー監督は「師弟関係だよ。若い時も年をとっても、人生には指導者が必要だ、ということを描いたんだ。誰にでも職場はもちろん、友人や家族であることでの師弟関係があるからね」と語った。

マックィーンとラミレスの師弟関係の物語は、第1作で描かれたマックィーンとドック・ハドソンのエピソードへのオマージュにもなっている。その関係性を象徴する引退をかけた最後のレース展開について聞くと、製作のレハー氏は「僕たちは常に“マックィーンは人々が熱望するようなキャラクターでなくてはならない”と考えていたんだ。そして彼は最後のチャンスを諦めることで、本当の意味での主人公になり、首位になることができたんだよ」と語り、監督はさらにこう続けた。

「彼は感情的に勝つんだ！僕はこの作品で、自分の子供たちが成功する姿を観て楽しみ、それを誇りに感じられるような内容を目指したんだ。何事においても教え子や子供たちが頑張るほうが、多くのことを得ることができるからね」。

ライバルのストーム、パートナーのクルーズ、デモリッションダービーのミス・フリッターといった新キャラが次々と登場する。そして、彼らとのさまざまなレースシーンなど映像面の豪華さも魅力だ。そのこだわりについて製作のレハー氏は「僕たちはプロダクション・デザイナーたちをノースカロライナ州に送ったんだ。実際のレーストラックはもちろん、現在廃墟になっているレーストラックもたくさんリサーチした。それらをもとに、外見や雰囲気などを限りなくリアルに再現したんだ」と語る。

そして監督は「これまでのピクサー映画よりもかなりリアルだ。僕たちは今作を臨場感あるものにしたかったんだ。観客には、キャラクターたちが旅をする町や場所を、以前行ったことがあるように感じてもらいたくてね。映像は彼らのストーリーを語るために存在しているものだから」と語った。

インタビューの最後にレハー氏に、仮に『カーズ』の次回作があるとして、日本車を出すとしたらどんな車種？と質問したところ「日産GT-Rだ。きっと500馬力でジャクソン・ストームを負かしてくれるよ！」と笑って答えてくれた。ぜひともマックィーンとクルーズの新たな活躍が観られる日が来てほしいものだ。

取材・文/Movie Walker