日本アカデミー賞授賞式、面白コメントを集めてみた|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
日本アカデミー賞授賞式、面白コメントを集めてみた

映画ニュース

日本アカデミー賞授賞式、面白コメントを集めてみた

3月5日、東京・品川のホテルで日本アカデミー賞授賞式が開催され、日本の映画監督、出演者、スタッフほか関係者が集った。とかく形式的になりがちな日本の授賞式だが、そんな中から面白コメントをセレクトしてみた。

●笑福亭鶴瓶/『ディア・ドクター』

式の序盤、テーブルに並ぶ食事とシャンパンを前に、「いつシャンパンに手をつけたら良いのか(分からないですよね)。誰も食べないんですよ。僕が率先して食べたんですけど、皆さん食べてくださいね」と授賞式の雰囲気を象徴するようなコメント。ちょっと恐縮気味で声のトーンも低いけれど、場を少しでも和ませようと気遣いを見せた。

●木村大作監督/『劔岳 点の記』

一流の撮影監督として映画界にその名をとどろかせる木村監督は、今回かなり目立っていた。同作の関係者が壇上にそろって上がるときも率先して声を出して指示を出し、マイクの前では作品を猛プッシュ。撮影賞・照明賞受賞時には、「これ獲れなかったら、帰るよ!」とオフマイクでも聞こえる大声で冗談を飛ばし、「本当はね、撮影賞なんかじゃ我慢できません! 渡辺謙さん、鶴瓶さん、すみませんが、俳優さんと作品賞獲りたくて。もう(受賞作品は)決まってるんだよね。封筒開けると書いてあんだよ。あれをね、マジックで『劔岳 点の記』と書きたいくらいだよ。えー以上!(会場笑)」と会場を盛り上げた。

●また、木村監督は授賞式について、「ここの会場に僕は今日で21回来ているんですよ。いつもこの会場に来るとね、嫌なのは何かシーンとしちゃうんだよね。お祭りなんだからワーッとね」と提言。今回は、ムードメーカー的存在でもあっただけに、授賞式のあり方を会場にいる関係者に考えさせた。

●小山薫堂/脚本賞プレゼンター

脚本賞プレゼンターの小山氏は、「いつかプレゼンターをやってみたい。そういう願いを込めまして(前回受賞作を)『おくりびと』と名付けました」と語り、一瞬会場を翻弄した後、「なんちゃって」とおどける前置きをし、ウィットに富んだプレゼンを見せた。

●関根勤/司会者

最優秀助演女優賞候補の中谷美紀にマイクを向ける関根。『ゼロの焦点』で中谷の目力による演技についてやり取りした後、「最優秀まばたきしないで賞」とネーミングした賞を贈り、本人と作品を絶妙にマッチングさせ笑いを誘っていた。

●西田敏行/『釣りバカ日誌』シリーズ

『釣りバカ日誌』シリーズを22年に渡って世に送り、会長功労賞を三國連太郎と共に受賞した西田敏行。「功労賞というと、もう後は引退するしかないのかなというような気持ちではございますが、まだまだ現役の俳優です(会場笑)。やっぱり映画のタイトルっていうのは大事だなと。『釣りバカ日誌』というのはどうも作品賞という感じにはなりにくいのかなぁと……、まぁ『おっぱいバレー』も同様ですけれども」とスピーチし、拍手を浴びていた。

●香川照之/『劔岳 点の記』

『空気人形』で最優秀主演女優賞候補となったペ・ドゥナが、日本の共演したい俳優について聞かれ、照れながら「香川照之さん」と答えた。それに対して香川は、真面目な顔で「一緒に山に登ろう!」と一言。『劔岳 点の記』で超過酷極寒ロケを耐えただけに、笑いを誘い、重みのあるナイスなコメントだった。

アカデミー賞と言うと、本家アメリカのアカデミー賞とどうしても比べてしまう。アメリカの真似をしろというわけではないが、木村監督の指摘のように、“お祭り”を意識しようとするアプローチは今後考えるべきポイントのようにも思える。授賞式のメイン露出はテレビ放送。「内に閉じている」と思われても仕方ない。“慎ましさが日本人の美徳”とはいえ、映画関係者が率先して、一般の人々を巻き込んで業界全体を盛り上げていく必要があるのではないだろうか。【Movie Walker/堀田正幸】

作品情報へ

関連作品

  • 沈まぬ太陽

    4.0
    6
    渡辺謙主演、若松節朗監督で、山崎豊子の社会派小説を映画化
    Amazon Prime Video U-NEXT