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“死屍累々”なフルCGアニメの制作現場とは?『スターシップ・トゥルーパーズ』の作り方を公開

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“死屍累々”なフルCGアニメの制作現場とは?『スターシップ・トゥルーパーズ』の作り方を公開

1月27日、Apple銀座で行われたトークイベント「Perspectives」に映画『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット』(2月10日公開)の共同監督を務めた荒牧伸志と松本勝、コンセプトアートを担当する臼井伸二が登壇。フルCGアニメーションの制作工程について詳細に解説した。

本作は「スターシップ・トゥルーパーズ」シリーズ第5弾となるアニメーション映画。知能を持った昆虫型生命体バグと地球連邦軍の戦いを描く。『APPLESEED』で知られるフルCGアニメーションのトップランナー、荒牧伸志監督率いるSOLA DIGITAL ARTSが前作に続いて制作に当たった。

シナリオ、コンセプトアート、絵コンテの作成から、モーションキャプチャーの撮影など数々の工程を経て完成した本作。荒牧監督によると「シナリオを進めながら、このシーンを絵にしてみて」と臼井にコンセプトアートを作ってもらうそうで、「臼井さんにも制限をかけずに、アイデアを膨らませてもらう」と信頼を寄せる。

舞台となる火星をはじめ、あらゆるリサーチを重ねながらコンセプトアートを描き、それにそって約400ページにもわたる絵コンテやデザインが作られた。「SFだとすべてゼロから作るしかない。ワンシーン、ワンシーン、膨大なデザインを起こす。大変だけど楽しいんですよね」と荒牧監督が語りかけると、臼井も「楽しい」とニンマリ。

しかしながら、荒牧監督が「映画って100くらいアイデアを出して、20くらい使えたらいいほう」と言うようにもちろん使えずに省かれていく案も大量に存在し、「死屍累々ですよ。今回だったら、大群のバグが出てくることなど、“必ずこれをやろう”と思っていたことをどのように守っていくかが大事」とブレない柱を持ち続けることがポイントだと語っていた。

観客からは「テクニカルな面で新しい試みは?」との質問が上がる一幕も。荒牧監督は「カメラの画像認識ですぐに表情を撮るシステムを使っている」とモーションキャプチャーの進化について触れ、さらに「大量のバグのシーンのためにGolaemというソフトを使った。これも今回のポイント。バグ、特盛りです」と完成作に胸を張った。

たくさんの労力と時間のかけられた工程を聞いていた客席の少年から、「お金ってどれくらいかかるんですか?」と直球の質問も。荒牧監督は「アメリカの大作映画に比べると10分の1以下。でも日本の普通のアニメ映画よりは少しかかっているかも」とタジタジとなりながら語り、会場の笑いを誘っていた。

取材・文/成田 おり枝