錦戸亮&松田龍平、“探り探り”築いた男の友情「最初は少し戸惑った」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
錦戸亮&松田龍平、“探り探り”築いた男の友情「最初は少し戸惑った」

インタビュー

錦戸亮&松田龍平、“探り探り”築いた男の友情「最初は少し戸惑った」

吉田大八監督が山上たつひこといがらしみきおによる同名漫画を映画化した『羊の木』(2月3日公開)で、錦戸亮と松田龍平が初共演を果たした。不穏な空気が満ちる世界で“友情”とも思える関係性を築いていく役どころを演じた2人にお互いの印象を直撃。壮絶シーンの秘話までを語り合ってもらった。

舞台は、国家の極秘プロジェクトとして、仮釈放された元受刑者たちを受け入れた架空の町・魚深。市役所に務める月末(錦戸)に迎えられた元受刑者たちも町に溶け込もうとしていたある日、事件が起きる…。

松田をはじめ、個性派キャスト陣が一癖も二癖もある元殺人犯役を存在感たっぷりに演じている。そのなかで、彼らに翻弄されていく主人公を担った錦戸は「あまりプレッシャーは感じませんでした。もし6人を引っ張っていく役だったら、もっとプレッシャーを感じていたかもしれないですね。月末は巻き込まれていく役なので、“どうなるんだろう”と楽しみな気持ちで飛び込みました」とワクワクとした思いとともに撮影に臨んだそう。

元受刑者のなかで唯一、月末が「心を通わせられそうだ」と親近感を感じるのが、松田演じる宮腰だ。月末と宮腰のやり取りが本作の大きな見どころとなるが、錦戸は「会ってみないとわからないと思いました。月末と宮腰のように、探り探り、ちょっとずつ言葉を交わして近づいていった」と松田との共演を述懐。松田も「一緒です」とうなずく。

2人の撮影では、月末と宮腰の出会いのシーンからスタートすることができたそうで、松田は「月末が宮腰を車で迎えにきて魚を食べに行くシーンでは、台本にあまり台詞がなく、その場で決めていったところがあって。錦戸くんが月末を演じる上で持ってきたものと、僕が宮腰を演じる上で持ってきたものが、あまりにもムードが違ったので最初はやっぱり少し戸惑いました。でもそれがとてもおもしろくて。その雰囲気が2人の関係性につながる部分があるなと思いました」と“戸惑い”が見事にキャラクターの関係性に反映したという。錦戸も「僕もずっと戸惑っていた」と楽しそうに同じキーワードを口にする。

撮影中には、ロケ地となった富山で食事やお酒を交わすことで、距離を縮めていったという2人。「飲んでいるうちに、龍平!錦戸!と呼び合ったりして」とお互いに語るなど、すっかり打ち解けた様子だが、錦戸は改めてその演技力に舌を巻いたそう。「宮腰と対峙しているときは、『この人、なにを考えているんだろう』と思わせられることがよくあって。初めて2人が崖に行くシーンでも、宮腰がジョークなのか真面目なのかわからない雰囲気を出しますよね。普通のことを言っていても、すごく含みを感じる。完成作を観て、すごいなと思いました」と松田の体現した“不穏さ”にすっかり魅了されていた。

松田は「錦戸くんは、話してみるとすごくおもしろい人だった」と率直な印象を語る。「優しいムードを持っていてすごく気を使ってくれたりするのに、ツッコミが鋭い。ピシャッと鋭く突っ込んでくれるので。そのギャップがいいなと思いました」と楽しそうに語り、「あと、色気がすごい(笑)」と告白する一幕も。「僕自身、宮腰がなにを考えているか、どうしてこのような行動をとるのかなど、理解するのが難しかったんです。でも錦戸くんと芝居を重ねていくことで、自分なりにいろいろなことを考えられた。吉田監督のイメージする宮腰や、錦戸くんとの掛け合い、魚津市のムードなどいろいろな力を借りることができました」と信頼関係を築きながら、難役を演じきったという。

クライマックスは、気迫感あふれるシーンとなった。松田は「クライマックス特に、錦戸くんのお芝居からすごく感じるものがありました。エキサイティングしたものが感覚としてあった。出会いからクライマックスに向かって、ボルテージを高めていけた」と熱を帯びた撮影を回顧。錦戸も「翻弄される主人公を演じるのは刺激的な体験でした」と充実感をみなぎらせていた。

取材・文/成田 おり枝

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