「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018」グランプリは23歳の新人監督!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018」グランプリは23歳の新人監督!

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「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018」グランプリは23歳の新人監督!

「ゆうばり」今年のグランプリは?
「ゆうばり」今年のグランプリは?

現在開催中の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018」で本日クロージングセレモニーと授賞式が行われ、オフシアター・コンペティション部門で、西口洸監督の『ED あるいは (君がもたらす予期せぬ勃起)』がグランプリを受賞した。

本作は、母親の裸をみて勃起したことが原因でED(勃起不全)になってしまった少年の姿を描く、トボケた味わいの青春映画。審査委員長の瀬々敬久監督は「自分の世界に近いところを描いているにも関わらず、独特でセンス切り口で人間を描いているところがよかったと思います。今回は“自分に向き合っている”描き方をしている本作をグランプリとして選びました」と評する。

【写真を見る】グランプリを受賞した『ED あるいは (君がもたらす予期せぬ勃起)』の西口洸監督
【写真を見る】グランプリを受賞した『ED あるいは (君がもたらす予期せぬ勃起)』の西口洸監督

現在23歳、初めて監督した中・長編作品でのグランプリ獲得となった西口監督は、大阪芸術大学にて映画制作を学び、昨春の卒業後も機材係として大学で働きながら映画制作を行っている。「まさかグランプリを貰えると思ってなかったです。ちょくちょく『えっ?』みたいな声もあがっていますが…」と壇上でも、不安の方が上回っているような様子を見せたが「個人的には(コンペ部門のなかでは)『ナナちゃん、Oh mein Gottしよ』が圧勝やったんです。けど、ホンマにうれしいっすね」と、最後には受賞の喜びをにじませた。

トロフィーを受け取る西口監督
トロフィーを受け取る西口監督

オフシアター・コンペティション部門の各賞では、審査員特別賞に鳴瀬聖人監督『温泉しかばね芸者』、北海道知事賞とシネガーアワード(批評家賞)に大庭功睦監督『キュクロプス』が輝いた。

『温泉しかばね芸者』で審査員特別賞を獲得した鳴瀬聖人監督
『温泉しかばね芸者』で審査員特別賞を獲得した鳴瀬聖人監督

若干22歳ながら、バカ映画制作集団「鉄ドン」で監督した短編が3年連続でゆうばりにて上映された実績を持つ鳴瀬監督は「いつかコンペ部門にと思っていたので、今回“鉄ドン長編版”のような作品で行かせていただいて、本当にありがたかったです」と喜びを語る。

『キュクロプス』で北海道知事賞とシネガーアワード(批評家賞)に輝いた大庭功睦監督
『キュクロプス』で北海道知事賞とシネガーアワード(批評家賞)に輝いた大庭功睦監督

ダブル受賞に輝いた大庭監督は、北海道知事賞の副賞である“お米10キロ”について「いま、4か月の子どもがいて家計が苦しくて…特売の5キロのお米を買うのが精いっぱいなので、お米10キロは妻も喜ぶと思います」とコメントし、会場を笑いに包んだ。

審査委員長の瀬々敬久監督により、グランプリが発表された
審査委員長の瀬々敬久監督により、グランプリが発表された

審査委員長の瀬々監督は「今回映画祭に来てとても印象的だったのは『スロータージャップ』の阪元監督たちが『僕は映画を変えます!』と言っていました。僕も18歳の時に、映画がいいなと思ったのは、大森一樹さんら若い監督が今までの既成の撮影システムを壊して、飛び越えていく世界にすごく憧れたことを覚えています。ですが、果たして映画が変わったかというと、疑問があると思います。だからこそ、変えたいという気持ちが非常に大切だと思いますので、僕自身も、ここにいるみなさんも映画に立ち向かってもらえたらと思います」と若い映画人たちを激励。

感動的なスピーチで後進を激励した入江悠監督
感動的なスピーチで後進を激励した入江悠監督

同じく審査員だった入江悠監督は「受賞を惜しくも逃した方にお伝えしたい」と切り出し、「20代に2度、ゆうばりで挫折を経験していますので皆さんの悔しさはよくわかっているつもりです。20代のころ映画が自分から離れていってしまう気がして、不安で怖くて眠れない日々があったんですが、その10年間の経験がいまに活きています。映画祭はまだ一晩ありますから、映画の感想をいろんな人に聞いて、その悔しさを持ち帰ってください。そしてまた、ゆうばりでお会いできることを願っています。お疲れ様でした!」と思いやりに満ちた口調で、“ゆうばり”に挑戦し、敗れていった後進たちを労った。

トロフィーを受け取る阪元裕吾監督と、うれし涙を見せた辻凪子監督
トロフィーを受け取る阪元裕吾監督と、うれし涙を見せた辻凪子監督

このほか、インターナショナル・ショートフィルム・コンペティション部門では、グランプリに阪元裕吾・辻凪子監督の『ぱん。』、優秀芸術賞で川中陸監督の『NO LINE』、マット・ジョンズ監督の『父の日』、ジョシュア・ディーン・タットヒル監督の『Black Dog』がそれぞれ受賞を果たした。

『ドントクライ』の高嶋友也監督
『ドントクライ』の高嶋友也監督

また、今回から新設されたアニメーション企画コンペティション部門では、アニメーション企画優秀賞に高嶋友也監督の『ドントクライ』、スポンサー特別賞に鈴木伸嘉監督の『アスファルトにも咲き誇る花』が選ばれた。

セレモニーの最後には、ゲスト全員が登壇!
セレモニーの最後には、ゲスト全員が登壇!

最後に、深津修一プロデューサーより閉会宣言がされ、15日より開催されていた映画祭は盛大な拍手と共に幕を閉じた。なお、明日19日には受賞作品上映会が開催される予定となっている。

取材・文/編集部

【ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018】
公式サイト:http://yubarifanta.com/(PC・モバイル共通)
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