ロビン・ウィリアムズの神対応と“マジジュマンジ”のコピー誕生秘話…『ジュマンジ』2作の宣伝マンが語る!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
ロビン・ウィリアムズの神対応と“マジジュマンジ”のコピー誕生秘話…『ジュマンジ』2作の宣伝マンが語る!

インタビュー

ロビン・ウィリアムズの神対応と“マジジュマンジ”のコピー誕生秘話…『ジュマンジ』2作の宣伝マンが語る!

ドウェイン・ジョンソン主演の体感型アトラクションアドベンチャー映画『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』が4月6日に公開され、週末興行ランキングで実写映画ナンバー1のスタートを切った。GW向けのファミリー向けの映画を含め、アニメーション映画が次々と公開されるなか、本作は「ラストで泣いた」「感動できる傑作」とSNSでの観客の評価も高い。前作『ジュマンジ』(95)と本作の宣伝に携わったソニー・ピクチャーズの吉久保裕之氏に、いまだから話せる宣伝の裏話を聞いた。

前作『ジュマンジ』は、子どもたちがプレイしたボードゲーム“ジュマンジ”の内容が、現実世界で起こってしまうという奇想天外な物語だった。今回は古いテレビゲーム“ジュマンジ”が登場。4人の高校生がゲームの中に吸い込まれ、自分とは外見や性質がまったく異なるゲームのキャラクターとなり、ジャングルで命懸けの冒険を繰り広げていく。

『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』は、全米で昨年12月に公開され『スパイダーマン』シリーズ全作品の興行成績を抜き、ソニー・ピクチャーズ独自製作/配給作品として歴代1位の数字をマーク!当然ながら、宣伝部も気合十分に宣伝プランを立て、“マジジュマンジ”というキャッチーなコピーや、本物そっくりのゾウとゾウ使いによる“ジュマンジ隊”が全国行脚をするなど、ひとひねりある遊び心たっぷりのプロモーションを展開した。

――“マジジュマンジ”というコピーは、イベント取材時に初めて耳にしました。

「女子高生の流行語だった“マジマンジ”から“マジジュマンジ”にするか、それとも“マジマンジ、ジュマンジ”にするかと、宣伝部で話し合った結果“マジジュマンジ”に落ち着きました。

最初から使いたかったのですが、ちゃんと定義付けせずに言葉だけが1人歩きしちゃうのはよくないねと。だから全米公開3週目で『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(17)の数字を抜いた時点で、予想のナナメ上ゆくことという意味で、まさしく“マジジュマンジ”と呼べる大ヒットとなったので、そこから使い始めました。

映画がおもしろいのでヒットはすると思ったけど、まさか『スパイダーマン』シリーズを抜くようなメガヒットになることは誰も予想していませんでした。びっくりです!」。

――前作『ジュマンジ』も日本で興行収入18億円の大ヒットでした。当時はゾウが車を踏みつぶすというCMがインパクト大でしたね。

「当時SFXオタクだった僕は、あのゾウのシーンに『おお!すげえ!』と目を見張りました。まだ宣伝部に入りたてのころでしたが、『好きにやっていいよ。責任は俺が全部取るから』という男前の上司がいてくれたんです。

ILM(インダストリアル・ライト&マジック)のSFXで、ゾウやサイ、ライオン、サルなどいろいろと出てくるんですが、すごくクオリティにバラつきがあって(苦笑)。サルなんて毛がほとんど生えてなかったりするけど、ゾウとライオンだけはすごく力が入っていました。ライオンは毛を1本1本生やしたそうです。

普通は、ロビン・ウィリアムズなど俳優のシーンをメインカットに使うところを、日本では『ゾウが車を踏むカットでいかせてくれ』とお願いしました。あと、『ジュマンジ~』というサウンドロゴも作り『変な映画だな』という感じに演出しました(笑)」。

――キャンペーンで来日したロビン・ウィリアムズのアテンドもされたそうですね。

「当時は、宣伝部が6、7人しかいなくて、偉い人たちの付き添いもなかったんです。僕が入社する前に『トッツィー』(82)でダスティン・ホフマンが来日したらしいんですが、話によると『とにかくおもてなしをしろ。アタッシュケースに1000万を入れておき、彼が欲しいものはなんでも買え』と言われていたらしい。まあ、そういう時代です(笑)」。

――ロビン・ウィリアムズのお人柄はいかがでしたか?

「荷物を持つと、きちんと『Thank you!』とお礼を言ってくれました。カラオケに行きたいと言うので連れて行ったら、いきなり『BORN IN THE U.S.A.』からのマイクパフォーマンスが始まったのには驚きました(笑)。向こうのロックを中心にガンガン歌ってくれて、サービス精神たっぷりに僕たちを心から楽しませてくれたんです。やっぱりスタンダップコメディアンは違うなあと感動しましたね」。

――まさに神対応とはこのことですね。

「いま振り返っても、ロビンほど周りのスタッフに気を遣ってくれる人はいなかったなと。その日だけじゃ歌い足りないからと、翌日は広尾にあった100人くらい入れるスタジアム形式のカラオケパブにも行きました」。

――そういう場合、貸し切りにするんですか?

「いや、貸し切りではなく、一般客といっしょに歌うんです。司会の人から『次はロビン・ウィリアムズ!』と紹介されて、みんな冗談だと思っていたら、本人が登場したので『おお!』とどよめきが上がりました。また『BORN IN THE U.S.A.』から歌い出したら、オールスタンディングです。みんなとハグし合ったりしながら、おおいに盛り上がりました」。

――ロビンのお人柄が偲ばれるエピソードですね。

「だから、空港で見送る時もハグし合うし、泣けてくるわけです。当然『お前のために命懸けでこの映画を当ててやる』という熱い思いがこみ上げてきました。

いまはどんなにいい人でも、パブリシストやセキュリティがうるさかったりしますが、当時はまるで親戚や肉親のような気持ちで出迎え、送り出していたという記憶があります。本当にいい時代でしたね」。

――『ジュマンジ』と『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』も、ゲームをモチーフとしていて、時空を超えた愛の物語や少年や少女たちが成長していく冒険譚に仕上がっているという共通点がありますね。

「そうなんです。時系列を超えてみんなで一緒に戦っていく。さらに時代に引き離され、また再会を果たすという点も同じ。両作とも僕は号泣しました」。

――登場人物それぞれがコンプレックスを抱えていて、それを克服しようとする展開も感慨深いです。

「2作ともアドベンチャー映画だけど、結局は人と人とのつながりを描いています。だから観終わったあとすごく感動するし、気持ちがいいんです。今回は公開前にIMAX試写会をやったんですが、観た方々がSNSですごく盛り上がってくれました。

内容も良かったからだとは思いますが、ものすごい勢いで皆さんがつぶやいてくれました。Twitterのトレンドに連日入ったりしましたし。本当に大勢の方に観ていただきたい映画です」。

取材・文/山崎 伸子

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