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平均年齢73歳!あの”ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ”がキューバ音楽の火を再び灯す

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平均年齢73歳!あの”ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ”がキューバ音楽の火を再び灯す

彼らの音楽と魂は、現在のクラブシーンに繋がっている

メンバーの音楽的ルーツに迫るシーンでは、彼らの意外な過去が明かされるほか、キューバの歴史に黒い影を落とす植民地時代にも話が及ぶ。長きにわたる植民地時代、チェ・ゲバラによるキューバ革命、東西の狭間で常に不安定な政治状態にあったことは知られているキューバ。そんな歴史の中で、コンガ(打楽器)の使用が禁止されていた時代があったと言うのは、何とも驚きのエピソードだ。ただそんな国家情勢であってもキューバ人が底抜けに明るいのは、きっとラテンの血とソンがあったからだろう。

老いてなお力強く陽気!それがブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
老いてなお力強く陽気!それがブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ[c] 2017 Broad Green Pictures LLC

現在の世界の音楽シーンでは、ヒップホップやR&Bといったジャンルが、ラテンのリズムや楽器構成と融合して、当たり前のようにヒットチャートを賑わせている。作中では「欧米文化とアフロキューバンの融合で生まれたのがキューバの伝統音楽“ソン”で、すべてのラテン音楽のルーツだ」と紹介されるシーンがある。であるならば、現代のクラブ/ダンスミュージックを志す者にとっては、学びの多い貴重な記録映像とも言えるだろう。18年前に灯されたラテンの火と、キューバのベテランミュージシャンの誇りが、現役として今の音楽に根付いていることが、端々から伝わってくる映画だ。

文/榑林史章

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