『私の優しくない先輩』で川島海荷とはんにゃ・金田哲のキスシーンが感動的な理由は?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『私の優しくない先輩』で川島海荷とはんにゃ・金田哲のキスシーンが感動的な理由は?

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『私の優しくない先輩』で川島海荷とはんにゃ・金田哲のキスシーンが感動的な理由は?

川島海荷×はんにゃ・金田哲共演の青春ラブコメディ『私の優しくない先輩』(公開中)の胸キュンのキスシーンに注目。情熱的というよりはとても静かなシーンだが、ぐっと胸にこみ上げてくる。それは、役柄のふたりの色気もへったくれもない凸凹な関係性とのギャップが大きいからだろう。

原作は、日日日(あきら)の同名青春小説。川島海荷扮するヒロイン・西表耶麻子(いりおもてやまこ)は、心臓疾患を抱えながらも明るくて妄想癖のある少女だ。はんにゃ・金田哲が扮するのは、ウザイ、キモイ、クサイの3拍子そろった、不破風和(ふわふうわ)先輩。ある日、耶麻子が南先輩(入江甚儀)に恋をしているのを知った不破は、彼女を応援すべく勝手に「告白大作戦」を開始する。

川島のキュートなコメディエンヌぶりはもちろん、金田の暑苦しさ全開のハジケっぷりがいい。よしもとのイケメンお笑い芸人として名を馳せる金田だから、きっとモテ役もハマるんだろうが、ここではウザさをとことん極めている。

繰り返すが、耶麻子が好きなのは、あくまでも爽やかな南先輩だ。しかも不破とは決して仲のいい後輩と先輩コンビではなく、会う度に小競り合いを繰り返し、どちらかというと犬猿の仲に近い。途中までマイナス要素ばかりが目立ち、ふたりの間でドキドキムードは皆無。ところが、後半で起死回生(!?)の展開を迎えるのだ。

もちろん途中から、耶麻子に対して常に体当たりで接していく不破の真剣さがちょっぴり心にひっかかってくる。不破が暑苦しければ暑苦しいほど、何か見えない大切なものが積み重ねられていく。一見、積もっていくものはマイナス要素に思えるのだが、クライマックスのキスシーンにおいて、オセロの黒が全部白にひっくり返るがごとく、なんとも切なくハッピーな色に変わるのだ。

メガホンをとったのは、人気アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」(06)や「らき☆すた」(07)を手がけた、通称“ヤマカン”こと山本寛監督。初の実写版劇場用映画で川島と金田の新たな魅力を引き出し、最後に胸躍る化学反応を起こしたのだからあっぱれ。

『私の優しくない先輩』は通常のラブコメではなく、ミュージカルシーンあり、ぶっとびの妄想シーンありの変わり種の作品だ。でもヤマカンのアグレッシブな演出と、役者として株を上げた川島海荷&金田哲の熱演は一見の価値ありだろう。【Movie Walker/山崎伸子】

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