川栄李奈の“謙虚”の秘密「大杉漣さんや光石研さんとの出会いは大きい」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
川栄李奈の“謙虚”の秘密「大杉漣さんや光石研さんとの出会いは大きい」

インタビュー

川栄李奈の“謙虚”の秘密「大杉漣さんや光石研さんとの出会いは大きい」

【写真を見る】女優街道を邁進中!川栄李奈が見た、名バイプレイヤーたちの姿とは?
【写真を見る】女優街道を邁進中!川栄李奈が見た、名バイプレイヤーたちの姿とは?撮影/黒羽政士

AKB48卒業後、女優として目覚ましい活躍を見せている川栄李奈。「謙虚に」をモットーに邁進している彼女だが、「女優はたくさんの出会いがあるお仕事。変化や刺激があってとても楽しい」と、いまはその道の醍醐味を実感する日々だという。なかでも川栄が「自分の新しい道が見えたような、大きな経験」と話すのが、「大杉漣さんや光石研さんとの出会い」。川栄の初主演作で、大杉漣の遺作となった『恋のしずく』(10月20日公開)の撮影秘話と共に、名バイプレイヤーたちがくれた刺激について語ってもらった。

本作の主人公となるのは、東京の農大に通う“日本酒嫌い”の詩織(川栄)。研修生として日本酒の酒造を訪れた詩織が、土地の人々や日本酒造りを通して、いままでにない喜びを見出していく姿を描く。川栄にとって初主演映画となったが、「もちろんうれしかったですが、私が主演なんて『誰も観てくれなかったらどうしよう』と思って…」とオファーを受けた時の素直すぎる心境を吐露。

土地の人々や日本酒造りを通して、いままでにない喜びを見出していく女性を演じた
土地の人々や日本酒造りを通して、いままでにない喜びを見出していく女性を演じた撮影/黒羽政士

しかしながら、やるとなれば必要以上に気負いすぎないのが、彼女の一つの武器。「『真ん中に立つんだ』と強く意識することもなかった」そうで、「私はすごい人見知りで、現場に入っても、なかなかうまく話すことができないこともあって。でも今回は、皆さんとすごく仲よくなれたんです。撮影に貸していただいた酒蔵のご自宅が控え室だったので、撮影初日から、こたつを囲んでみんなでお昼ご飯を食べたりして。毎日、お正月に親戚が集まっているような雰囲気(笑)。家族のような時間を過ごして、現場の皆さんが私の緊張をほぐしてくれました」と演じた詩織と同じく、人々と触れ合うことで環境に馴染んでいったという。

日本三大酒処の一つ、広島県東広島市・西条で撮影が敢行され、日本酒造りの工程や、そこにかける人々の想いが丁寧に映しだされる。杜氏の仕事を目の当たりにした川栄は「一滴のお酒にも、たくさんの愛情がこもっているんだということを知りました。実際にやってみると、ものすごい力仕事」と酒造りの大変さに舌を巻きつつ、「みんなで『これは大変だ!』と言いながら重たい桶をかついだり、そういった作業もとても新鮮で楽しかったです」と笑顔を見せる。「杜氏の方も『西条のお酒のためなら』とお酒のよさを伝えるために、すごい熱を込めて指導してくださって。スクリーンを通して、そのよさが伝わればすごくうれしいです」。

日本酒が人々の想いを繋いでいく
日本酒が人々の想いを繋いでいく[c]2018「恋のしずく」製作委員会

詩織が訪れる酒蔵の蔵元役として、今年2月に亡くなった大杉漣が出演している。「待ち時間に縁側でひなたぼっこをしながら、いろんなことをお話しした」という。川栄は「大杉さんのお知り合いの方が『私のファンだ』と言ってらっしゃったそうで、『一緒に写真撮ってくれる?』と写真を撮ってくださったり。クランクアップの日、『川栄さんとはまた共演すると思う』と言ってくださったのが、ものすごくうれしかったです」と目を細める。

現場での佇まいや、芝居への姿勢も惚れ惚れとする瞬間ばかりだったそう。「テストから、緊張感が走るくらいの熱量で演じられる。監督ともたくさん意見を交わし合っていらっしゃって、すばらしいなと思いました。大先輩なので『壁があるのかな?』と思っていたんですが、まったくない。みんなに同じように接してくれるんです」と述懐。大杉の見せた背中からたくさんのものを受け取ったというが、詩織が日本酒を通して自分の新たな道を見つけていくように、自身にとって「新しい道を見つけられたと思うような出会い」について聞いてみると、「大杉さんもそうですし、私にとって光石研さんとお芝居ができたことはものすごくありがたく、大きな経験になっています」と明かす。

大杉漣の背中からたくさんのものを受け取った
大杉漣の背中からたくさんのものを受け取った[c]2018「恋のしずく」製作委員会

「バイプレイヤーと言われる方々は、なぜこんなにたくさんの映画やドラマに出演されているんだろうと考えた時に、もちろんお芝居もすばらしいけれど、なにより人に対しての挨拶や礼儀など、人間としてすばらしいからだと思って。私も『そういう人でありたい』と思いました」。彼女の誠実で謙虚な姿勢の原点は、名バイプレイヤーたちとの出会いが大きく関わっていたようだ。

AKB48在籍時から女優への憧れを強くしていたという彼女。主役・脇役に限らず「どんな役でもやってみたい」そうで、「いまはお芝居ができれば、とにかく楽しいんです。女優になりたいと思ったころよりも、その気持ちは大きくなっています」と夢を現実のものとしたいま、充実感いっぱいの表情を見せる。「いろいろな人に会えることが、一番楽しいです。女優のお仕事は、ご縁でつながっていくもの。たくさんの人に出会って、刺激を受けて、吸収もできる。ありがたいことに、今年はたくさんの作品に出させていただいて。同時進行で作品が重なることもありますが、私はAKBのころからパッと切り替えることができるタイプなので、大丈夫です」となんともパワフル。「今回は主役でセリフ量も多くて…。セリフを覚えるコツは特にないですが、ひたすら脚本を読むこと。お風呂に持ち込んで読む時もありますよ!」と教えてくれた。

「いまはお芝居ができれば、とにかく楽しい」と語る
「いまはお芝居ができれば、とにかく楽しい」と語る撮影/黒羽政士

取材・文/成田 おり枝

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