宮野真守&櫻井孝宏&瀬下寛之監督、『アニゴジ』完結に「さみしい」と感慨|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
宮野真守&櫻井孝宏&瀬下寛之監督、『アニゴジ』完結に「さみしい」と感慨

インタビュー

宮野真守&櫻井孝宏&瀬下寛之監督、『アニゴジ』完結に「さみしい」と感慨

全三部作で制作されたアニメーション映画『GODZILLA』(通称:アニゴジ)シリーズが、11月9日(金)より公開となる『GODZILLA 星を喰う者』で、ついに最終章を迎える。日本が誇る「ゴジラ」シリーズを初めてアニメ映画化するという大プロジェクトに挑み、静野孔文監督と共に壮絶なクライマックスまで走り抜けた瀬下寛之監督は「さみしいです」と正直な胸の内を吐露する。シリーズを通して主人公のハルオを演じた宮野真守、ハルオと対立することになる異星人・メトフィエスを演じた櫻井孝宏と共に、最終章にたどり着いた感慨を語ってもらった。

アニメーション映画『GODZILLA』シリーズは、二万年後の地球を舞台に、ゴジラとそれに抗う人類の戦いを描く物語。『星を喰う者』では、虚空の神・ギドラと、破壊の王・ゴジラが激突。天地を揺るがす超次元の戦いがはじまるなか、ハルオが目にする未来を映しだす。

ーー『GODZILLA 怪獣惑星』(17)、『GODZILLA 決戦機動増殖都市』(18)を経て、いよいよ完結編の『GODZILLA 星を喰う者』が公開となります。ここまでたどり着いた感想を教えてください。

瀬下「この4年間は、ほかの作品をやりながらも、ずっと本シリーズを作り続けてきましたので、ちょっとさみしいんです。僕も静野さんも、きっと脚本の虚淵(玄)さんも、ハルオやメトフィエスと離れるのが残念です。濃いキャラクターばかりが出てきますので、やっぱりそういったちょっと拗らせたような人たちには、愛着が湧いてしまうものなんです」

宮野「“ゴジロス”ですね(笑)!僕らにとっても長い期間、携わらせていただく作品になりました。一番はじめのプレスコ(先に声を録音して、その演技に合わせてアニメーションを作る手法)から、静野監督と瀬下監督、虚淵さんのチームワークがすばらしくて。お三方の関係性、チームワークがより強いものとして築き上がっていく様も見ていました。静野さん、虚淵さん、瀬下さんの愛情と共にお仕事をできたのが、すごく楽しかったです」。

ーー今作では、主人公のハルオと異星人・メトフィエスのある種、対立構造とも見える関係性が物語の鍵を握っています。宮野さん、櫻井さんにとって、ハルオとメトフィエスを演じられたことはどんな経験となりましたか?

瀬下「ポスターのビジュアルを見ると、ハルオとメトフィエスは“ピエタ”的な構図になっているんです。ピエタというのは、“キリストを抱いている聖母マリア”という伝統的な構図のことなんですが、今回はそれをポスターで表現しています」

宮野「そう、今作ではハルオとメトフィエスにおけるある種の愛情が描かれるんですよね。僕としては、ここ数年はどこかでずっとハルオのことを考えていたし、監督たちとも密にやり取りをさせていただきました。ハルオの精神性というのは、この物語にとって大きな軸となるもの。役を演じる時にはいつも、“僕がどう感じるか”という想いは大事にしたいと思っているので、自分が誰よりもハルオを理解して、僕はこう思っていますということを、きちんと監督にも提示できなければダメだなと思いながら、演じさせていただきました」

櫻井「瀬下監督から『ピエタをモチーフにしている』というお話がありましたが、またそれが作品に大きな意味を持たせていますよね。このポスタービジュアルは、僕にとっても強烈でした。この姿を見て、改めて『メトフィエス役に選んでもらえてよかった』と思えたんです。宗教家のような佇まいの彼はとても奥深いキャラクターで、挑みがいがありましたね。僕のなかでも比重の大きい仕事でした」

ーーおっしゃる通り、ハルオもメトフィエスもとても魅力的なキャラクターでした。完成作をご覧になった印象はいかがでしたか。

瀬下「宮野さんも櫻井さんも、とても入り込んで演じてくださいました。本当に感謝しています。ハルオとメトフィエスの最後のシーンの演技をプレスコ収録した際に、僕と静野さん、虚淵さんは本当に固唾を飲んで見入ってしまって。思わずOKを出すのを忘れてしまったほどです(笑)。それはそれは、すごかったですよ」

宮野「種族間の違いやそれぞれの価値観、対話、共存などがテーマとして盛り込まれているのが、本作のすばらしいところだと思います。でも最終的に伝えたかったのは、やはり“ハルオがどう生きたのか”だったのではないかと思っています。僕はその渦中にいられて、とても幸せでした。スタート当初から『ハルオの人生をまっとうしよう』という想いで進んで行ったけれど、最後のハルオの姿を観て、僕はすごく納得することができた。『彼の生き様はこうだけれど、あなたたちはどう生きますか?』と問いかける映画なのではないかと思いました」。

櫻井「僕も、この三部作はハルオの物語だと思いました。メトフィエスは何度も『ハルオ』と呼ぶんです。そこは意識しました。繰り返し、繰り返し呼びかけるのは、メトフィエスの愛情表現だったんだと思います。声優として、アニメーションの『GODZILLA』に参加させていただけたことに喜びを感じました。アニメーションならではの表現方法、スケールで『GODZILLA』を作れたことがとてもうれしかったです」

彼らの語る“愛”とはどんなものなのか。ハルオとメトフィエスのたどり着くクライマックスを、ぜひスクリーンで目撃してほしい。

取材・文/成田 おり枝

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