映画ニュース 2018/12/20 21:00

キングギドラは俳優3人が演じた!? ハリウッド版『ゴジラ』続編の監督が明かすこだわり

ハリウッド版“キングギドラ”の秘密とは？[c]2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

既に公開されている予告編からもわかるとおり、今回はゴジラ以外にも、キングギドラ、モスラ、ラドンといったシリーズでもお馴染みの怪獣が登場する。「どの怪獣も個性を持ったユニークな存在として描き、それぞれに獰猛さを感じさせることに気を配った。そして、リアルに見えるよう努めたよ。実在する生物の生態をリサーチして、自然界で目にしたことがある、そういう雰囲気が出るよう心がけた。とくに飛ぶクリーチャーに関しては、飛翔の自然さが大事だった」。

物語は、この怪獣たちのバトルを軸に置きながら、人類の危機を描いている。都市破壊のスケールも前作以上になるようだ。「確かに今回はスペクタクルのハードルが上がっている。破壊を引き起こす元凶はキングギドラだ。大気を操る力を持っており、嵐を起こすこともできる。つまり地球上の環境を変化させることができるんだ。それに、付け加えると、ここでは4体以外の怪獣の存在も示唆されるんだ」

3つの首を持つ凶暴なキングギドラは、日本版のシリーズでも悪役としてファンの熱烈な支持を受けている。この怪獣をリアルに見せるため、監督は3人の俳優をパフォーマンスキャプチャー撮影に起用し、3つの首を演じさせた。「キングギドラの3つの首は、それぞれに違う個性を持っている…と僕は考えた。三人の兄弟が同じ体に存在しているようなものだ。真ん中が長男でリーダー格、両脇の首は弟たちだ。それらの個性の違いを出すために、3人の俳優が必要だった。あるひとつの状況に対して、3つの首が異なる反応をするんだよ。たとえばゴジラと対峙するときは、直視する首もあれば他の首を覗き込む首もある。首同士でケンカすることもあるよ(笑)。撮影時は3人の俳優を横並びにして、足をひとつにくくりつけて演技をしてもらった。彼らのボディランゲージや表情はパフォーマンスキャプチャーでキングギドラに取り込まれているんだ」。

しかし、怪獣の大暴れだけが『ゴジラ』の魅力ではないと、ドハティ監督は語る。日本の『ゴジラ』シリーズには環境破壊という大きなテーマがあった。僕にとって、それを本作に組み込むのは、とても重要なことだった。メッセージがあるからこそ、ゴジラ映画は長きに渡って観客に愛されてきたんだ。ただ、メッセージを押し出し過ぎて説教くさくなってはいけない。娯楽性とメッセージ性のバランスを取ることは、つねに考えたよ。食べておいしいものであり、なおかつ栄養もある、そんな映画にしたかったんだ」。

本作の製作にあたり、ドハティは『GODZILLA ゴジラ』のギャレス・エドワーズや、『キングコング：髑髏島の巨神』のジョーダン・ヴォート=ロバーツらモンスターバースの監督たちと連絡をとり、製作の参考にしたという。「電話で何度も話したよ。彼らは製作時の自身の体験をシェアしてくれたので、僕としても助かった。それとは別に、彼らや次作『ゴジラvsコング』のアダム・ウィンガード監督と一緒に、遊びで集まったことがある。怪獣クラブさ(笑)。すごくオタクな会で楽しかったよ」。

並々ならぬゴジラ愛を武器にして、大仕事に取り組んだドハティ監督。映画はいまだ多くの謎に包まれているが、とてつもない熱量のエンタテインメントとなっていることに疑問の余地はない。公開を楽しみに待とう。