枝優花と松本花奈、20代女性監督2人が語る“自分の居場所” について - 2ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
枝優花と松本花奈、20代女性監督2人が語る“自分の居場所” について

コラム

枝優花と松本花奈、20代女性監督2人が語る“自分の居場所” について

「自分のために頑張るってこんなに大変なんだなって」

【写真を見る】「喫茶 宝石箱」にて行われた、枝優花監督と松本花奈監督の対談。2人の対談風景をチェック
【写真を見る】「喫茶 宝石箱」にて行われた、枝優花監督と松本花奈監督の対談。2人の対談風景をチェック撮影/加藤孔士朗

松本「枝ちゃんは『装苑』で連載を持っていますよね。連載タイトル『主人公になれない私たちへ』という言葉に私はグサッと刺さったのですが、どういう想いが込められているのですか?」

枝「『少女邂逅』を撮ってから同世代の子たちからメッセージを頂く機会が増えたんです。そのメッセージを読んでいると、一体誰の人生の話をしているんだろう?って思うくらいみんな自分の人生に他人事だなあと感じて。自分のことなのに、誰かのせいにして安心する感じ。例えば、相談で『お母さんが反対しているから東京に行けません。本当は行きたいのに』とかいうメッセージが来るのですが、『え?』っていう。お母さんに責任転嫁しているけど、お母さんはきっとあなたが死ぬまで支えてくれないよ?と。あなたが30歳や40歳になって、少女ではなくなった時にも夢を諦めたことを誰かのせいにし続けるの?と思います。誰の人生なの?あなたの人生でしょ、と強く言いたい」

松本「きっとそういうことを聞く子たちって、もう自分の中で答えは決まっていて、でもあと一歩が踏み出せないから、誰かに背中を押して欲しいでしょうね」

枝「そう。でも、これも演技のレッスンの先生から言われた言葉ですごく心に残っているのですが、『この世界、誰も応援してくれないから』って。確かに(俳優部の場合)ファンとかは出来るかもしれないけど、でもそんなのお前の人生のきっと1パーにも満たないことで、だからお前はお前自身が応援しないといけないし、自分の全ては自分で尻を持たないといけないっていう。

私は、映画を撮って一時期は全財産が無くなったり、職が無くなったりしたんです。でも今までの保身がなくなったことで、責任も自分で持たなきゃいけないし、自分の居場所は自分で見つけなきゃいけないなって改めて感じました。確かに私が映像やめようがどうしようが誰も死なないし、何も起こらないんだから。私がやりたいからやってるんだ、という気持ちが大切」

松本「先生、名言連発ですね」

枝「(笑)。(吉野源三郎著の)『君たちはどう生きるか』を読んで、確かにここに書かれている発想って現代に必要だと思いました。私がいま考えていることとも近い要素があったりして、そういう話を装苑の方としている中でタイトルは生まれてきました」

松本「なるほど」

枝「自分のために頑張るってこんなに大変なんだなって…。誰かのために頑張るのってまだ楽じゃないですか。でもそうじゃなくて、私たちは常に自分の人生のための決断をするべきだと思うんです」

枝監督お勧めのクリームソーダは、「宝石箱」の名物だ
枝監督お勧めのクリームソーダは、「宝石箱」の名物だ撮影/加藤孔士朗

松本「クリームソーダ美味しいですね」

枝「絶品。宝石箱さんのクリームソーダは定番の6種類に加え季節限定の味も登場したりと、とにかく種類が豊富」

松本「枝ちゃんお墨付きのクリームソーダ!」

枝「(笑)」

『少女邂逅』は「香港国際映画祭」に正式招待されたほか、「MOOSIC LAB 2017」で観客賞を受賞した
『少女邂逅』は「香港国際映画祭」に正式招待されたほか、「MOOSIC LAB 2017」で観客賞を受賞した撮影/加藤孔士朗

松本「そしてそして1月16日、映画『少女邂逅』DVD発売おめでとうございます!」

枝「ありがとうございます」

松本「『少女邂逅』は色々語りたいことはあるのですが、とにかくミユリ(穂志もえか)と紬(モトーラ世里奈)の芝居に私はただただ圧巻されました…」

枝「ミユリにも紬にも私自身の要素は入っていて、というか、私をちょうど二分割した感じかなと思っています。穂志とモトーラは性格が違いすぎて、演出するのが楽しかったです。モトーラはお芝居初挑戦ということもあって、すぐに不安がるから沢山褒めていて、逆に穂志は褒めないことで『何でモトーラは褒めるのに私は褒めないの!?』と闘争心に火が点き、それが芝居に好影響を与えるので極力放置していました(笑)」

松本「可愛い。DVDは全国のTSUTAYAに置かれるんですよね」

枝「はい。もちろん一番は劇場で見て欲しい気持ちがありますが、私は地元が田舎で映画館とかも近くになかったので、幼少期はTSUTAYAさまさまでした。なので、全国で置いてくれることがすごく嬉しいですね」

撮影/加藤孔士朗

●枝優花プロフィール

1994年生まれ、群馬県出身。大学時代から映画制作の現場に従事、『オーバー・フェンス』(16)特典映像の撮影&編集などを担当。『少女邂逅』が長編初監督作。

『少女邂逅』は、Blu-ray&DVD発売中だ
『少女邂逅』は、Blu-ray&DVD発売中だ[c]2017「少女邂逅」フィルムパートナーズ

「喫茶 宝石箱」

所在地:東京都世田谷区南烏山4-18-18 小山マンション102

営業時間:12:00~18:30(水曜日定休)

『少女邂逅』
Blu-ray&DVD発売中
<Blu-ray>【監督・枝優花 完全監修パッケージ仕様】
価格:¥5,800+税 /枚数:Blu-ray1枚組 /品番:PCXP.50618
<DVD>
価格:¥3,800+税 /DVD1枚組 /品番:PCBP.53868
[収録時間]本編約101分+映像特典
※映像特典はBlu-rayのみ
[Blu-ray限定特典]
・仕様:アウターケース
・封入特典:特製52Pフォトブック
・映像特典:メイキング
発売・販売元:ポニーキャニオン

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