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『町田くんの世界』の実写映画に無名の新人が大抜擢!岩田剛典、高畑充希、前田敦子も参戦

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『町田くんの世界』の実写映画に無名の新人が大抜擢!岩田剛典、高畑充希、前田敦子も参戦

『舟を編む』(13)や『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17)の石井裕也監督が、安藤ゆきの少女コミックを実写映画化した『町田くんの世界』(6月7日公開予定)。気になるキャスティングが発表された。注目の主人公・町田くん役とヒロイン・猪原奈々役に、まだ無名の新人2人が大抜擢。脇には岩田剛典や高畑充希ら豪華キャストが名を連ねている。

『町田くんの世界』の主人公は、勉強も運動も苦手で、見た目も普通の町田一。彼はとにかく困った人を見つけたら見過ごすことができず、どんな時でも人助けをする心優しい人間だ。誰からも愛される町田くんだが、ある日を境に、クラスメイトである猪原奈々のことが気になりはじめ、そこから平和だった日常がひっくり返っていく!

思春期のボーイ・ミーツ・ガール的な物語の枠を超え、最後はとんでもない展開を迎える本作は、少女漫画原作の実写映画というイメージを打ち破る1作となった。

まさに光る原石!1000人越えのオーディションで選ばれた新人

本作のオーディションを勝ち抜き、町田くん役に大抜擢されたのは、フレッシュな若手スター、細田佳央太(ほそだかなた)。細田は、2014年に映画館落語 かもめ亭シリーズ『もういちど 家族落語』で俳優デビューし、ドラマにも何本か出演しているが、映画は『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』(16)と合わせても3本目で、今回が映画初主演となる。

ヒロインには、演技初挑戦の関水渚が選ばれた。関水は、グラビアアイドルとして人気を博し、CMへの出演経験はあるものの、映画やドラマの現場は未経験。本作でいきなり大役を得たシンデレラガールだ。このフレッシュな2人が、予測不能の化学反応を起こす。

石井監督は、細田について「1人だけ異彩を放っていました」とオーディション当時の印象を語る。「ある意味、映画に人生を捧げられる人だと思いました。この人と組めば間違いないと、当時16歳の子に思わされたんです。なにか強烈なものを秘めている人。現に、彼はこの映画にすべてを捧げてくれました」。

関水についても「何百人かオーディションをしたなかで、異質でした。奇妙でした」と表現する。「入ってきた時に号泣していたんです。ただ単純に混乱し、なにかにすがりつこうとしていたんだと思いますが、その感じが良かったです」。

本作を手掛けた「ちはやふる」シリーズや『22年目の告白—私が殺人犯です—』(17)の北島直明プロデューサーは、2人を抜擢した理由をこう語る。

「町田くんという特殊なキャラクターは、見ていて『そんなわけないじゃん』とツッコミが入るキャラクターなので、パブリックイメージを持っていない新人キャストのほうがいいと思いました。関水さんは、お芝居が未経験で、不器用でしたが、だからこそ、町田くんに対してのリアクションが生きるんじゃないかと思いました。彼女の華や伸びしろを感じたので、石井監督にゆだねました。逆に石井裕也じゃなかったら、彼女は怖すぎて選べなかったです」。

脇を固めた、岩田剛典、高畑充希、前田敦子などの豪華キャストたち

新人2人を囲む、錚々たる共演陣にも注目。町田くんのクラスメイト役に岩田剛典、高畑充希、前田敦子、太賀をはじめ、池松壮亮、戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉、松嶋菜々子ら実力派俳優陣が参加した。

全体のキャスティングについて「新人2人がより輝きを放つために、経験がある人を脇にもってきました。脇は、打てば響くという達者な俳優ばかりですが、主演の2人は逆にテクニカルファールがおもしろい。達者な俳優は、ある種、器用貧乏になっていますから、自分たちの技術や引き出しにはない、動物的な反応しかしない新人俳優と対峙した時、危機感みたいなものを感じるはず。きっとお互いにいい刺激をし合えたんじゃないかと。彼らの掛け合いが実にいい」と、新人2人と、演技派俳優陣との化学反応を楽しんだよう。

特筆すべき点は、クラスメイトを演じる俳優に、等身大である10代の俳優を選ばなかったことだ。「高畑さん、前田さん、池松くんはもともと仲がいいし、岩田くんと高畑さんも『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(16)で共演している。横のつながりがいろいろあるなかで、時に親しく、時に切磋琢磨し合いながらやってきた人たち。それぞれがどんどん反応していく感じで、他では見られないようなおもしろさがありました」と手応えを口にする。

また、石井監督には、新人含めたキャスト陣のグルーブ感や疾走感、予断を許さないドキドキ感を撮りこぼさないための秘策があった。現場での鮮度を最大限に収めようと、今回35mmフィルムでの撮影を決行したのだ。

「彼らの思いもよらないリズムや間、反応がおもしろい。だから今回は敢えて、デジテル時代に逆行してフィルムで撮ったんです。偶発的なものを捉えようと、ダラダラ何回も回さずに、1発で仕留めようとしました。もちろん、新人2人に関しては、撮影前までに何度も練習をして、準備万端にしました」。

主演の2人と豪華キャストコメントが到着

■細田佳央太(町田一役) (出演が決まったときは)一番最初に嬉しいっていう気持ちがあって、でもその中でもすぐ「やっていけるのかな」っていう心配や不安だったり、緊張もありました。本当にいろんな感情が混ざった状態で、でもその中でもやっぱり嬉しさとか、撮影これから楽しみだなっていうのが自分の中で強かったです。本当にあっという間の1か月間でしたけど、自分の中で楽しいことの連続で、体力的にきつくても、お芝居がこんなにも楽しいなんて、という気持ちでした。そして、監督、スタッフの皆さんにご指導を頂いて、僕は何とか町田くんになれたのかなと思っています。この映画に出演させていただき、この作品のチームの一員になれて、すごく幸せでした。この作品がたくさんの人に届いてほしいなと思います。

■関水渚(猪原奈々役) 出演が決まった実感が湧かなかったんですけど、その後からだんだんこんなに自分が大きい役をやらせて頂くんだと考えると、ずっと緊張していて。もちろんすごく嬉しかったんですけど、同じくらい大丈夫かなっていう不安がすごく大きかったですね。この役をやらせて頂けたことに本当に感謝しています。今まで生きてきた中で一番悩み、一番苦しみました。でもそういうことがあったからこそ今までで一番充実していて楽しくて幸せでした。

■岩田剛典(氷室雄役) 前回、短編映画「ファンキー」でご一緒させて頂きまして、次はがっつり長編でやろうっていう風にお話をしてくださっていたので、監督から直接のオファーでしたのですごく嬉しい気持ちでした。まあでも作品のプロットを読ませて頂いた時に、え、石井さんが少女漫画原作やるの?みたいな驚きが一番最初に来て、いやどうなるんだろうというか、石井さんテイストのその作風っていうものがあんまりこう漫画の世界感とマッチする印象がなかったので、第一印象、どうなるんだろうっていうところで衣装合わせとか撮影に入っていきました。現場に入っても、現場が終わっても、どういう仕上がりになるのかさっぱり想像がつかなかったです。

■高畑充希(高嶋さくら役) 脚本を頂いて読んで、なんだこの面白い脚本は!と思い、何回も読みました。久々に石井組に参加できてすごく楽しかったです。26歳にもなって(※撮影当時)、制服を着て高校生活ができたのも嬉しかったし、主演の2人といろんな話をしながら、彼らのピュアな美しさを近くでずっと見てられることにとてもドキドキしました。

■前田敦子(栄りら役) 石井監督の演出はおもしろかったですし、楽しかった。なんか、いきなり土足で入ってきてくれる感がみんな多分クセになるんだろうなって思いますね。すごく普通の青春なんですけど、でも今ってすぐにくっついちゃったりとかするじゃないですか。それがなかなかくっつかない、それが普通でかわいいなって思いました。

■太賀(西野亮太役) 映画での石井組の参加は念願でした。これまでもご縁はありましたが、ようやく映画に出れるんだっていう事がすごく嬉しかったです。脚本はあまりにもおもしろくて、読み終えたら興奮して熱くなっていました。現場での監督の演出も痺れる事の連続でした。改めて「青春」を体現すること、それは痛いし辛いし全然甘くない。でも監督を信じて、とにかく食らいついていく気持ちで臨みました。ほんの数日間の撮影でしたが、終わってみたら忘れられない夏になっていました。この作品の純真さは、必ず見る人の胸を打つと思います。

■池松壮亮(吉高洋平役) (脚本を読んで)とにかく素晴らしかったです。今まで石井さんは何本も映画を作られてきましたけども、色々なテーマがありつつ、更に研ぎ澄まされたものを感じました。

■戸田恵梨香(吉高葵役)) (撮影を終えて)とにかく石井さんが楽しそうだったので、凄く嬉しかったですし、石井さんの柔らかさが現場の空気になっていて、とても居心地が良かったです。

■佐藤浩市(日野役) 石井監督の作品は久しぶりでしたが、楽しく、久々にフィルムで撮っている感じが嬉しかった。演じている側にはそんなに関係無い事かもしれないけども、我々は昔から体感してきたので、やっぱりフィルムがまわっているのは嬉しかったですね。

■北村有起哉(町田あゆた役) (脚本を読んで)先ず面白かったですね。読んだことの無い世界観で、それを石井監督がメガホンを取る、何より主役の2人が新人で、オーディションで選ばれたということで、相当フレッシュで凄いまっすぐなエネルギーな映画になるだろうなと思いましたし、普通に僕も観てみたい映画になりました。

■松嶋菜々子(町田百香役) 初めて脚本を読んだ時、それぞれに愛がありました。ちょっとひねくれていそうだけれど、根底に持っている愛、優しさ、素直さ、そういうものが最後みんなに感じ取れる優しくふわぁっとした作品なので、石井監督の世界観の期待に応えられるよう向き合いました。

石井監督が、以前「人生は腕試し」と語っていたが大いに納得。監督自身の「今回は、かなり冒険的なことをやりました」という言葉どおり、初めての少女漫画原作の映画化、新人2人の起用、そして原作とは異なる後半での度肝を抜くストーリー展開も含め、かなり“攻め”の作品となった。まさに、規格外の青春映画という仕上がりなので、期待していただきたい。

取材・文/山崎 伸子

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