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全米大ヒット!『スパイダーバース』製作&脚本家コンビが語るスタン・リーと宮崎駿の影響

インタビュー

全米大ヒット!『スパイダーバース』製作&脚本家コンビが語るスタン・リーと宮崎駿の影響

数多くのマーベル作品にカメオ出演してきたスタン・リー
数多くのマーベル作品にカメオ出演してきたスタン・リー写真:SPLASH/アフロ

アメコミ界の巨匠、スタン・リーが残した精神とは

――マーベル映画ではおなじみの、スタン・リーのカメオ出演シーンには試写会場からも大きな拍手が沸き起こりました。

フィル「あのシーンを録音したのは、もう1年以上も前のことなんだよ。スタンの健康状態はそのころからあまり優れなくて、視力と聴力がかなり弱っていたそうだ。残念ながら完成した映画は観てもらえなかったけれど、その前にお会いする機会があった。彼はとても包容力のある人だった。まるで彼のコミックのように、全ての読者を受け入れるような包容力があって、僕らはまるでコミックを読んでいた子ども時代に戻ったような感じだったよ。彼が作ったキャラクターをもとに映画を作りたいと願うクリエイターを受け入れ、そして読者の視点から意見してくれた」。

クリストファー「スタン・リーは、スパイダーマンの創生にとってとても重要な存在だ。だから彼にはスペシャルなカメオ出演をしてもらいたかった。そして物語の中で重要な役目を担ってもらいたかった。彼だったらどのシーンを演じるだろうかと考えて、カメオ出演のシーンを描いた。彼がいなくなってしまった今、そのメッセージや作品は永遠のものになった。このシーンはまだ彼が生きているときにできあがっていて、製作陣はみんなこのシーンをとても気に入ってくれた。いまはそれ以上の意味を持ってしまったけれどね」。

――スタン・リーから受け取った精神は、この「スパイダーバース」の中でどのように活かされていますか?

フィル「よく聞かれる質問が、『どうしてこの物語は人々の共感を得るのか』ということ。こんなに有名なキャラクターを使った物語なのに、どうして自分のことのように思えるのだろう?って。僕らはそのことを3年間考え続けて、これは普遍的な、みんなを勇気付けるストーリーだからだって気づいたんだ。スパイダーマンが戦う相手は、彼自身が恐怖を感じている存在だ。それは世界中の誰もが抱く恐れで、怖いものに立ち向かう勇気を持つことがテーマだと思っている。スタン・リーの貢献はここにある。『僕らはみんな一緒なんだ』と、彼はコミックを読んでいる僕ら全員に語りかけてくれて、10歳のころの僕たちは、彼が自分に直接語りかけてくれているように感じたんだ。僕らも、映画の観客に直接語りかけるような映画を作ろうと思っていた。上からの目線じゃなくてね」。

クリストファー「スパイダーマンについてまったく前知識がなくても、この映画を観て楽しむことができると思う。子どものスパイダーマンがいて、彼には家族がいて、彼が新しい友達を作る物語だから。とても普遍的な物語だと思うし、子どもも大人も、誰だって自分の映画だって思ってもらえると思うよ」。

取材・文/平井伊都子

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