『名前のない少年、脚のない少女』、インターネットで映画と現実がリンクする新しい試み|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『名前のない少年、脚のない少女』、インターネットで映画と現実がリンクする新しい試み

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『名前のない少年、脚のない少女』、インターネットで映画と現実がリンクする新しい試み

ブラジルの超新星エズミール・フィーリョ監督の最新作『名前のない少年、脚のない少女』が、2011年2月より公開される。インターネットにのめり込む思春期の少年を主人公に、10代特有の不安や哀しみ、反抗心や孤独を鮮やかに写し撮った本作は、短編映画で数々の賞を受賞したエズミール・フィーリョ監督の長編デビュー作だ。南ブラジルのドイツ系移民の町を舞台に、誰もが体験したことのある思春期の不確かさを鮮やかに描きながら、劇中の登場人物が実在し、その人物が更新し続ける写真や映像をインターネットで見ることができるという面白い手法を用いているのが大きな特徴だ。

10月9日に開催されたブラジル映画祭でのQAセッションに登壇した監督は、本作に登場する少女(JJingleJangle)について、「実際に存在し、YouTubeや写真の投稿をしているのを見て、バーチャルな世界に生きている彼女の世界観を映画の世界に反映させたいと思ったのが制作の第一歩になった」と本制作のきっかけを振り返った。「少女のYouTubeや写真は、今でも更新され続けている。他の作品と違って、映画を見て終わるのではなく、家に帰ってからも物語の中にもう一度アクセスできる」と本作と現実が、インターネットによってリンクする実験的な取り組みについて語った。最後に監督は、作品に度々登場するブログやチャットなど、ネット上のコミュニケーションツールについて、「僕自身、インターネットなしでは生きていけないくらいだし、きっとみんながその恩恵に預かっている。バーチャルな世界はあるけれど、一番大切なのは人と人とのつながりや温かみ。誰かを近くに感じるというのは、必ずしも物理的な距離ではないということを映画を通して伝えたかった」とコメントした。

エズミール・フィーリョ監督の『名前のない少年、脚のない少女』は、来年2月より全国順次公開。公開に先駆け、10月14日(木)にはブラジル映画祭にて再度先行上映される。【MovieWalker】

■映画の中に登場する映像・写真
・YouTube JJingleJangle
http://www.youtube.com/user/JJingleJangle

・flickr J. Jingle Jangle's photostream
http://www.flickr.com/photos/uncolortv/

■ブラジル映画祭2010
http://2010.cinemabrasil.info/

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