【今週の☆☆☆】オスカー作品賞受賞の『グリーンブック』、前時代的な文明で埋め尽くされたSF『移動都市/モータル・エンジン』など週末観るならこの3本!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
【今週の☆☆☆】オスカー作品賞受賞の『グリーンブック』、前時代的な文明で埋め尽くされたSF『移動都市/モータル・エンジン』など週末観るならこの3本!

コラム

【今週の☆☆☆】オスカー作品賞受賞の『グリーンブック』、前時代的な文明で埋め尽くされたSF『移動都市/モータル・エンジン』など週末観るならこの3本!

Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。3月1日(金)から今週末へかけてチェックしておきたい、本年度アカデミー賞の作品賞受賞作に、魅惑的な映像が織りなすドラマ、奇抜なアイデア満載のSFなど、バラエティに富んだ作品をピックアップ!

週末に観てほしい映像作品3本を、MovieWalkerに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MovieWalkerに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

いかに“愛される力”を持っているかをオスカーで証明した『グリーンブック』(3月1日公開)

見事アカデミー賞作品賞を獲得した『グリーンブック』
見事アカデミー賞作品賞を獲得した『グリーンブック』[c]2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.

映画の良し悪しに明確な基準はないし、賞を獲ったからといって絶対に傑作だとは限らない。しかし『グリーンブック』がアカデミー賞作品賞(助演男優賞、脚本賞も)に輝いたことは、この映画がいかに“愛される力”を持っているかの証明ではないだろうか。黒人差別が酷かった1962年のアメリカ南部を舞台に、白人の上流階級を相手にコンサートツアーをして回る黒人ピアニストと、運転手として雇われたがさつな白人男性の間に生まれる友情を描いた本作は、ある意味で非常にバランスがいい。社会派なメッセージ性とエンタメ感あふれるユーモアのバランス。凸凹コンビっぷりが愉快な主人公ふたりのバランス。そして何よりも、誰も突き放すことのない間口の広さが素晴らしい。今も続く差別問題を描くという点では甘口な仕上げではあるが、“ハッピーなクリスマス映画”というカテゴリーの作品として、今後も繰り返し、世代を超えて観られていく映画になるはずだ。(映画ライター・村山章)

幾重ものミステリーがマジカルに織りなされる『天国でまた会おう』(3月1日公開)

その語り口の優雅さ、映像の魅惑に引き込まれること間違いなし!(『天国でまた会おう』)
その語り口の優雅さ、映像の魅惑に引き込まれること間違いなし!(『天国でまた会おう』)[c] 2017 STADENN PROD. – MANCHESTER FILMS – GAUMONT – France 2 CINEMA ©Jérôme Prébois / ADCB Films

戦争のせいですべてを失った青年と中年男が、戦争中に自分たちを陥れた悪徳上官、そして国を相手に復讐のための壮大な詐欺を仕掛ける——。エキセントリックなイメージを勝手に持っていたアルベール・デュポンテルが、こんなにも監督としての才能(本作では監督・主演)も素晴らしかったとは!復讐と詐欺のミステリーを軸に、顔に傷を負った青年が自分の生存を家族にさえ隠す事情、そこから家族の物語をミステリアスにひも解いていく。大きな時代のうねりの中、美術家を目指していた青年が自分のために作る数々の妖艶な仮面が象徴するように、幾重ものミステリーがマジカルに織りなされる。その語り口の優雅さ、映像の魅惑的なこと!思わず落涙しつつ、感無量の思いに包まれる。(映画ライター・折田千鶴子)

異世界にどっぷり浸れる映画らしい映画『移動都市/モータル・エンジン』(3月1日公開)

ピーター・ジャクソンが製作総指揮の『移動都市/モータルエンジン』
ピーター・ジャクソンが製作総指揮の『移動都市/モータルエンジン』[c]Universal Pictures

ピーター・ジャクソンが製作、脚本を手がけたスペクタクル大作。最終戦争で荒野と化した未来の世界、生き残った人々は移動型都市で弱肉強食の死闘を繰り広げていた——。心と顔に傷を負い復讐を誓った少女が大冒険を繰り広げる本作は、圧倒されるのがその世界観。巨大な車輪とエンジンにより、もうもうと黒煙を吐きながら大地を揺るがし都市が爆走するという荒々しいイメージが凄まじい。舞台は遠い未来だが、テクノロジーが崩壊し、蒸気機関など前時代的な文明で埋め尽くされたビジュアルは、ジャクソンがもっとも得意とするファンタジーそのもの。128分間、異世界にどっぷり浸れる映画らしい映画である。(映画ライター・神武団四郎)



週末に映画が観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!

構成/トライワークス

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