ティム・バートン監督が語る実写版『ダンボ』の難しさ「かなり試行錯誤した」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
ティム・バートン監督が語る実写版『ダンボ』の難しさ「かなり試行錯誤した」

インタビュー

ティム・バートン監督が語る実写版『ダンボ』の難しさ「かなり試行錯誤した」

映画『ダンボ』のティム・バートン監督にインタビュー
映画『ダンボ』のティム・バートン監督にインタビュー

ディズニーの名作アニメを、オリジナル脚本で実写映画化した『ダンボ』(3月29日公開)のティム・バートン監督が来日。サーカス団で生まれた子象のダンボが、大きな耳を翼に変えて空を飛ぶ名シーンはとてもエキサイティングで心が躍る。バートン監督を直撃し、本作の製作秘話を聞いた。

もともとアニメーションの『ダンボ』(41)が大好きだったというバートン監督。「アニメーションを現実の世界に持ち込むのはなかなか難しい。僕は、あの作品が持っている非常にシンプルなメッセージを捉えたいと思った。いま、世の中が非常に混沌としているから、より一層、そういうものを伝えたかったんだ」。

子象ダンボの世話を任されたホルト(コリン・ファレル)と子どもたち
子象ダンボの世話を任されたホルト(コリン・ファレル)と子どもたち[c]2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved

ティム・バートン監督と言えば、両手がハサミになっている人造人間の青年が少女に恋をする『シザー・ハンズ』(90)や、ハロウィンのカボチャ大王ジャック・スケリントンを主人公にした『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(93)をはじめ、ほとんどの作品で、異形の者や個性的なアウトサイダーたちを、愛すべきキャラクターとして描いてきた。だからこそ「自分自身が、ダンボのことをとてもよく理解できた」と述懐。

「周りからすれば他とは違うし、なんだかおかしいけど、その欠点を肯定的に捉えることで、美しいものとなる。そういった部分はダンボから非常にインスピレーションを受けたよ」。

主演のコリン・ファレルとは今回が初タッグとなったが、脇には、バートン監督と何度もタッグを組んできた「バットマン」シリーズのマイケル・キートンやダニー・デビート、『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』(16)のエヴァ・グリーンなどが参加している。

【写真を見る】コリン・ファレルやマイケル・キートンら豪華スターが集ったワールドプレミア
【写真を見る】コリン・ファレルやマイケル・キートンら豪華スターが集ったワールドプレミア[c]2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved

「キャスティングはとても重要だったよ。今回、約20年ぶりにマイケル・キートンと仕事ができてとてもうれしかった。また、ダニー・デビートとも、『バットマン リターンズ』や『ビッグ・フィシュ』、本作と、サーカスを描いた作品を3本も撮ってきて、ようやくサーカス三部作がコンプリートできた(笑)。また、エヴァ・グリーンもすばらしい女優だ。コリン・ファレルとは、今回初めて仕事をしたけど、以前からずっと知っていた役者だった。本作で描かれているのは奇妙な家族だけど、まさに彼らとの関係性も家族のようで、僕にとって本作は特別な作品になったよ」。

そう聞くと、監督はサーカスに思い入れがあるように思えるが「実は、子どものころからサーカスは好きじゃなかった」と言う。「ピエロは怖いものだと思っていたし、やっている芸も少し緊張感を感じていた。ただ、居場所のない人間や、異形の者たちがそこに集まってなにかをするという発想はとても魅力的だと思っていた」。

実写化されたダンボの造形については「リアルだけどファンタジーでもある。それを上手く組み合わせて作り上げなければいけなかった。かなり試行錯誤して、ようやくできあがったのがいまのとても純粋なダンボだ。動物だからかわいいけど、あまり擬人化しすぎないように気をつけた。また、感情もシンプルで、観ている人たちに伝わりやすいようにしたよ」。

『ダンボ』は3月29日(金)より全国公開
『ダンボ』は3月29日(金)より全国公開[c]2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved

本作でダンボは、羽根を鼻から吸い込むことで、空を飛ぶという奇跡を起こす。バートン監督自身も、人生においてそういうミラクルな瞬間を体験したことはあるのだろうか?

「あるよ。僕は絵を描くことが大好きだけど、なんだか自分の絵に納得できず、上手く描けない時期があった。それで『もういいや』と思い『とにかく楽しもう』と気持ちを切り替えたら、そこからなぜか自信が湧き出てきた。まさにそれが、僕が羽根を得た瞬間だったと思う。きっと、誰にでも気持ち的に羽ばたくことができたと思える瞬間があるんじゃないかな」。

「バットマン」シリーズや、『アリス・イン・ワンダーランド』(10)、本作など、原作がある実写映画を多数手掛けてきたバートン監督。その難しさとおもしろさについても聞いた。

「誰もが知っているオリジナル作品には、みんながそれぞれに自分なりの解釈を持っている。それを作り直すと、なかには『想像したものと違った』と、残念に思う人もいるだろう。だからこそ、オリジナル作品をベースに新たな作品を手掛ける時は、観る人の期待を超えるものでないといけない。いい点は、自分がもともとインスピレーションを受けた作品だから、より作品とのつながりを強く感じられるようになることだ。今回作った『ダンボ』も、観る人々の気持ちを鼓舞できるような作品になっていればうれしいよ」。

取材・文/山崎伸子

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