栗田貫一、モノマネから始まったルパン「死に物狂いだった」24年の変化と葛藤を告白|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
栗田貫一、モノマネから始まったルパン「死に物狂いだった」24年の変化と葛藤を告白

インタビュー

栗田貫一、モノマネから始まったルパン「死に物狂いだった」24年の変化と葛藤を告白

栗田貫一、モノマネからのスタートを述懐!
栗田貫一、モノマネからのスタートを述懐!

「ものすごく大事に預けられた役柄。ずっと死に物狂いでやってきた」。そう語るのは、1995年公開の劇場映画『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』からルパン役を演じている栗田貫一。ルパン役の“先代”山田康雄が急逝し、かねてよりルパンのモノマネをしていた栗田が「できるわけがない」という戸惑いのなかで大役を受け取った。「当初は声優の勉強もしたことがなかった」と振り返るが、今年でルパンを演じ続けて24年。「だんだん山田康雄さんのルパンのマネではなく、ルパンを演じればいいんだと思えるようになった」とルパンファミリーの先輩声優の支えや、海外ドラマ「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」など声優経験を積むなかで、変化が生まれたと明かす。シリーズ最新作『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』も本日より公開されたなか、ルパン役への想いを聞いた。

【写真を見る】セクシー&キュートな峰不二子!新たな魅力が炸裂する
【写真を見る】セクシー&キュートな峰不二子!新たな魅力が炸裂する原作:モンキー・パンチ [C]TMS

『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』は、スタイリッシュかつハードボイルドなタッチで人気を博した小池健監督による『LUPIN THE IIIRD』シリーズの第3弾。セクシーでキュートな「ルパン三世」シリーズのミューズ、不二子が絶体絶命の危機に陥る姿を描く。栗田は「不二子はスパイ的な女だけれど、今回はそんな彼女が、“真実の愛”に弱い部分を見せる。不二子の心の揺れが出た作品」と本作の魅力を分析する。

「沢城みゆきは、あっという間に不二子になった」

2011年には、石川五ェ門役が浪川大輔、銭形警部役が山寺宏一、峰不二子役が沢城みゆきへと声優陣が一新された。本作のメインキャラクターとなる不二子役の沢城については「沢城みゆきという人は、あっという間に不二子になってしまった。増山(江威子)さんの不二子とはまったく違うんだけれど、不二子として成立している。これが沢城みゆきという人のすごいところ」と大絶賛で、「浪川くんも、山ちゃんもそう。あっという間にそのキャラクターになった。やっぱりこの3人は、いまの時代の超レジェンドたちなんだなと思う。新しい家族でスタートしている気がしてね。ファミリーっていいなと思う」とメンバーに厚い信頼感を寄せる。

「山田さんにはどうしたって追いつけないし、追い越せない」
「山田さんにはどうしたって追いつけないし、追い越せない」

「ずっと、死に物狂いでやってきた」

栗田がルパン役を受け取ったのは1995年のこと。ルパン役を演じるうえでは「ものすごく変わった」と24年間で意識の変化があったという。「突然、山田さんが他界されて。『2時間の作品なんてできるわけがない』というところから始まった。声優としての勉強もしていないし、やり方もわからない。モノマネしかやっていないから」と戸惑いのなかでスタート。それ以降もテレビスペシャルが年に一度、放送されていたが「15年間くらいは『山田さんだったらこうやるだろうな』というルパンをやっていた。だってそれしか知らないわけですから」と山田のルパンを追いかけていたという。

「ちょっとずつしかうまくなれないし、山田さんにはどうしたって追いつけないし、追い越せない。僕は僕なりに、ずっと死に物狂いでやってきました」と道のりを述懐し、そのなかでの変化について、こう語る。「ある時、(銭形警部役の)納谷悟朗さんが『これはお前の作品だから。俺たちはお前についていく』と言っていただいたことがあって。重い言葉をいただいたなと、ドーンと責任を感じてね。皆さんが座長に祭りあげてくださった」と先輩声優の言葉に感謝しきり。さらに「新しくレギュラーシリーズが始まったりして、こうやればいいんだとわかったり、『バーン・ノーティス 元スパイの逆襲』という海外ドラマで、声優としての声の当て方を勉強できたりもして。山田さんのことを一度考えるのではなく、『ルパンを演じればいいんだ』と思えるようになった」。

ルパンと次元のやり取りにも注目!
ルパンと次元のやり取りにも注目!原作:モンキー・パンチ [C]TMS

「もちろんベースにあるのは、山田さんの作ってこられたルパン。『不〜二子ちゃん』というイントネーションは『不〜二子ちゃん』のままだしね。山田さんが作ったルパンは、ずっと生き続けている」と山田の魂を受け継ぎ、ルパンを演じる覚悟を確かなものとしてきた栗田。しかし、「山田さんの代わりにやり始めたころは、『モノマネベタベタでやりやがって』『台無しにしやがって』とか言われて」と批判もあったという。「確かにそうだなと思うし、僕自身、情けなかった。でもモノマネチックにしかできなかったし、着地の仕方がわからなかった。いまでも最初のころの作品を録り直させてくれないかなあと思う」と告白。そんな栗田もいまでは新たなチームの先輩格となり、「もともとプロの声優である浪川くんや山ちゃん、沢城さんには、レジェンドから役を受け取ることに、僕よりももっとプレッシャーがあったはず。だから『変な緊張はやめよう』という意味を込めて、みんなで集まって飲んだんだよ」と激励と共に、新たなファミリーを迎えたという。

「ルパンは止まらず走り続ける。こっちも追いかけていかないとね」

4月11日には原作者のモンキー・パンチが逝去。しかし「ルパン三世」ファンは、これからもきっと増え続けるはずだ。『LUPIN THE IIIRD』はシリーズの魅力の奥深さを実感できる作品だそうで、「いろいろな方が、いろいろなルパンを作ってくださっている。『LUPIN THE IIIRD』は、ピアノの鍵盤でいうと、『これまでは軽やかに高いほうの鍵盤を弾いていたけれど、こっち側もあったな』と低いほうの鍵盤も叩いたようなシリーズ。大人でダークな感じでね。いろいろなルパンを演じるには、鍵盤の隅々まで弾かなきゃいけない」とニッコリ。「ルパンの世界は果てしなく広がっていくんだなと思う。宮崎駿さんの『カリオストロの城』のようなルパンもあれば、劇画タッチのルパンもあるんだから。ルパンが止まらず走り続けるから、こっちも追いかけていかないとね」とルパンの存在が自らの原動力にもなっている様子だった。

『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』は公開中
『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』は公開中

取材・文/成田 おり枝

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