『モンガに散る』でブレイクしたイケメン2人が語る、台湾での“社会現象”と日本の文化|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『モンガに散る』でブレイクしたイケメン2人が語る、台湾での“社会現象”と日本の文化

インタビュー

『モンガに散る』でブレイクしたイケメン2人が語る、台湾での“社会現象”と日本の文化

台湾映画の2010年度最高動員記録を樹立し、第83回アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた話題作『モンガに散る』(12月18日公開)で、主演のイーサン・ルアンとマーク・チャオが来日。本作でドラマ界だけではなく映画界でも人気を決定づけたふたりに、今の心境を語ってもらった。

1980年代の台北一の歓楽街・モンガを舞台に、極道の世界で生きていく若者たちの友情の絆や葛藤を力強く活写した本作。マークは本作のオファーをもらった時の感想をこうふり返る。「最初に脚本を読んだ時、本当に感動して涙が出たよ。こんな作品に出られたら最高に幸せだと思ったから、主役でも脇役でもいいからやらせてもらえないかとお願いしたんだ」。

本作は、もともと台湾のトップスター、ジェイ・チョウのための企画だったとか。イーサンは主演を射止めるまでの経緯から話してくれた。「最初は僕なんて出る幕がなくて、オーディションで『小さな役でもいいから下さい』と頼んだけど、その時は残念ながら役をもらえなかった。その後、ジェイ・チョウの話が頓挫し、新たに義兄弟の絆を結んだ5人の話として脚本が書き直され、そこで初めて僕にチャンスが回ってきたんだ。初めはリーダーのドラゴン役をもらったんだけど、ある日監督から『違う役にチャレンジしてみないか。もしもうまくいったらひと皮むけて成長できるから』と言われて。それがモンク役だった」。

義兄弟5人組の影のリーダー、モンク役を演じたイーサン・ルアンは、エッジのきいた演技を見せ、第47回台湾金馬奨で主演男優賞を受賞。マーク・チャオも新入りのモスキート役に扮し、ナイーブで鮮烈な印象を与えた。

大ヒットした本作は社会現象をも巻き起こし、ふたりの人気に拍車をかけた。マークは本作の注目度の高さについてこう話す。「劇中の言葉遣いやセリフが若者たちの間ですごく流行ったし、男気、友情、男同士の絆などの価値観も広がった。何より嬉しかったのは、映画が公開後、中学生くらいの子がよってきて『僕は将来、ヤクザの世界に絶対入らないように、今から真面目に勉強します』と言ってくれたことかな」。

イーサンは良かった面と残念な面の両方を教えてくれた。「僕は、演じたキャラクターが少しずつ残っていくタイプ。今回のモンク役の場合、義兄弟の契りの大事さはいまだに強く僕の中に残っている。残念なのは、何かもめ事など起きると、本作の影響を受けたと言われたりするところ。僕らが伝えたかったのは、不本意ながら極道の世界に入ってしまったがゆえに、その代償はとても大きかったということなのに」。

劇中では初代ウォークマン、ファミコン、中森明菜などのタレントなど、当時の日本の文化がフィーチャーされている点も興味深い。マークは当時と今を比べて冷静にこう語った。「台湾は以前日本の植民地だったので、特に80年代当時は日本の文化から絶大的な影響を受けていた。僕も小さい時はサムライに非常に憧れていたし、ゲームや漫画でもいろんなものが入っていた。チャンネルが日本しかなかった時代だから。でも今はインターネットが発達した情報社会になり、日本の文化も入ってくるけど、若者のライフスタイルは多チャンネルになったかなと」。

イーサンは「僕も小さい頃は『ドラゴンボール』や『スラムダンク』を見て育ったから、日本の物にはすごく影響された。今は彼が言うとおり、いろんなチャンネルを通して吸収できるから昔とは少し違うけど、日本の影響は大きいと思う」と語ってくれた。

いろんな意味で注目度の高い『モンガに散る』は、ジョン・ウー監督などアジアで名を馳せる映画人たちも絶賛している。日本でも熱い視線を浴びそうなイーサン・ルアンとマーク・チャオなど旬な若手スターから、台湾新世代の勢いを感じたい。【Movie Walker/山崎伸子】

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