【今週の☆☆☆】鬼才監督の問題作『ハウス・ジャック・ビルト』、こじらせ女子の青春『さよなら、退屈なレオニー』など週末観るならこの3本!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
【今週の☆☆☆】鬼才監督の問題作『ハウス・ジャック・ビルト』、こじらせ女子の青春『さよなら、退屈なレオニー』など週末観るならこの3本!

コラム

【今週の☆☆☆】鬼才監督の問題作『ハウス・ジャック・ビルト』、こじらせ女子の青春『さよなら、退屈なレオニー』など週末観るならこの3本!

Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、6月14日(金)から今週末にかけての公開作品から、鬼才ラース・フォン・トリアー監督の最新作、17歳の少女の日常を描く青春映画、教師とかつての教え子との再会が涙を誘う人間ドラマなど、バラエティ豊かな3作品をピックアップ!

週末に観てほしい映像作品3本を、MovieWalkerに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MovieWalkerに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

観た者同士で語り合いたくなる刺激的な知的ゲーム『ハウス・ジャック・ビルト』(6月14日公開)

連続殺人鬼の12年に及ぶ凶行を描く『ハウス・ジャック・ビルト』
連続殺人鬼の12年に及ぶ凶行を描く『ハウス・ジャック・ビルト』[c]2018 ZENTROPA ENTERTAINMENTS31, ZENTROPA SWEDEN, SLOT MACHINE, ZENTROPA FRANCE, ZENTROPA KÖLN

観る人の神経を逆なでするような人でなしの作風にも関わらず、独自の哲学性と捻じれたユーモアで中毒性のある魅力を醸すデンマークの鬼才監督ラース・フォン・トリアーが、「自分に近い人物を描こうと思った」と選んだ最新作の主人公はなんと連続殺人鬼!本作は、マット・ディロン扮するシリアルキラーのジャックが、まるで自慢話のように数々の凶行を語って聞かせるというセンセーショナルなブラックコメディだ。トリアーの凄みは、主人公ジャックのやることなすこと不快でしかないはずなのに、彼の回りくどい自己弁護みたいなトークになぜか惹き込まれてしまうこと。人類の歴史や、自分たちの身近にある暴力など、ジャックは興味深いトピックを次々とブッ込み、さらにトリアーはアートやポップカルチャーを引用しながら全体をポップに見せることに成功しているのだ。不謹慎な内容だけに誰にでもおススメできるわけではないが、観た者同士で大いに語り合いたくなる刺激的な知的ゲームとしておススメしたい。(映画ライター・村山章)

何も起こらないレオニーの“宙ぶらりんの時間”を収めた青春映画『さよなら、退屈なレオニー』(6月15日公開)

【写真を見る】青春映画にありがちなトラブルも起きない不思議なストーリー(『さよなら、退屈なレオニー』)
【写真を見る】青春映画にありがちなトラブルも起きない不思議なストーリー(『さよなら、退屈なレオニー』)[c]CORPORATION ACPAV INC. 2018

刺激も変化もない毎日に不満がいっぱい。それなのに自分が何をしたいのかわからず、今の居場所さえも見つからない……。そんな社会に出る前の若者なら誰もが経験するであろう曖昧で退屈な“停滞期”を描く本作は、カナダ・ケベックに住む17歳の少女レオニーを主人公にした青春映画。高校卒業を間近に控えた彼女が、暇つぶし気分でギターに挑戦したり、夜の野球場でバイトをしたりと、あてどなくさまよえる日々を映し出す。青春ものにありがちなセックスやドラッグなどのエピソードをあえて描かず、何も起こらないレオニーの“宙ぶらりんの時間”をカメラに収め、その移ろいゆく一瞬一瞬の美しさ、愛おしさを映像化。等身大の生意気こじらせ女子を体現した主演女優、カレル・トレンブレイのみずみずしい魅力を“見つめる”ことの至福も味わってほしい。(映画ライター・高橋諭治)

クライマックスに感涙必死のヒューマン・ムービー『泣くな赤鬼』(6月14日公開)

直木賞作家・重松清が教師と生徒の関係を描いた短編集の1作を映画化した『泣くな赤鬼』
直木賞作家・重松清が教師と生徒の関係を描いた短編集の1作を映画化した『泣くな赤鬼』[c]2019「泣くな赤鬼」製作委員会

重松清の短編集「せんせい。」所収の同名小説を映画化した本作は、その熱血指導から“赤鬼”と恐れられていた教師が野球の才能がありながらもドロップアウトしてしまったかつての教え子“ゴルゴ”と10年ぶりに再会し、ガンで余命半年の彼のために奔走する姿を描いた感動のヒューマン・ムービー。“赤鬼”に扮した堤真一、“ゴルゴ”役の柳楽優弥、その妻を演じた川栄李奈らがそれぞれのキャラクターになりきり、高校時代の“ゴルゴ”役に抜擢された注目の若手俳優・堀家一希が好演!原作に新たな物語を加え、映画ならではの視覚的な表現を駆使した兼重淳監督(『キセキ −あの日のソビト−』)のウェルメイドな演出も鮮やかで、“赤鬼”と“ゴルゴ”が初めて真っ直ぐに向き合うクライマックスでは自然と感涙してしまうだろう。(映画ライター・イソガイマサト)



週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!

構成/トライワークス

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