17歳の注目女優・南沙良が明かした、等身大の“いま”「映画に出られることが、嬉しくて仕方ない」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
17歳の注目女優・南沙良が明かした、等身大の“いま”「映画に出られることが、嬉しくて仕方ない」

インタビュー

17歳の注目女優・南沙良が明かした、等身大の“いま”「映画に出られることが、嬉しくて仕方ない」

注目の女優・南沙良、即興芝居で挑んだ主演作を語る
注目の女優・南沙良、即興芝居で挑んだ主演作を語る撮影/野崎 航正

お盆の弟』(15)の大崎章監督が、シンガーソングライターの西山小雨の楽曲「未来へ」を原案に、台本なしの即興芝居で紡いだ『無限ファンデーション』が、いよいよ8月24日(土)より公開となる。このたび、本作で主演を務めた17歳の注目女優、南沙良を取材し、撮影の裏話はもちろん、等身大の“いま”の気持ちを尋ねた。

人付き合いが苦手な女子高生の未来(南)は、服飾デザイナーになる夢を胸に秘め、誰にも打ち明けることなく退屈な日々を過ごしていた。ある日の帰り道、リサイクル施設から聴こえる澄んだ歌声に導かれ、ウクレレを弾きながら歌う不思議な少女、小雨(西山)と出会う。さらには未来が描いた洋服のデザイン画を目にした演劇部のナノカ(原菜乃華)たちに誘われ、舞台の衣装スタッフとして入部することになる。戸惑いつつも小雨やナノカたちに心を開いていく未来だったが、彼女たちの一夏はやがて思いがけない方向へと走りだしていく…。

台本も着地点もない「即興劇」

『無限ファンデーション』より
『無限ファンデーション』より[c]2018「無限ファンデーション」製作委員会

――本作は即興劇によって作られたということですが、台本もなかったんですか?

「なかったです。事前に監督から全体の流れを説明していただいて、リハーサルを1、2回やっただけ。あとは現場で、ひたすら順撮りで撮っていきました。複数台のカメラを構えて、全シーンほぼ一発撮り。前日に準備ができないので、すごく緊張して撮影に挑みました」

――台本がないということは、各シーンの「着地点」は監督から説明されないんでしょうか。

「はい。だからお芝居していても、どこでカットがかかるかわからないんです。毎回、『あ、そこなんだ』って(笑)。そのうえ監督からは、事前に決めた流れから違う方向に行くかもしれません、とまで言われていました。例えば、ナノカがオーディションの一次面接に失敗して演劇部に戻りたいと言ってくるシーン。当初は部員たちがそれを受け入れられない方向性だったんですけど、実際にカメラを回して部員同士が話し合っていくうち、ナノカを受け入れる方向に変わっていったんです」

「準備ができないので、すごく緊張して撮影に挑みました」
「準備ができないので、すごく緊張して撮影に挑みました」撮影/野崎 航正

――あのシーンはものすごい緊張感に満ちていました。徐々に場の空気が変わっていくのがとてもリアルで。

「そのシーンに限りませんが、すべてがセリフの決まっていない即興演技なので、会話のなかに変な間ができたり、2人以上が同時にセリフを言ってかぶったりも、あえてそのまま。そんな意味でもリアルでしたね」

――共演者の方と、事前に打ち合わせたりはしなかったんですか。

「ええ。あえて全然話しませんでした。実は、私も含めた共演者の皆さんは、撮影中ずっと『この映画、本当にできあがるのかな?』って不安だったんです(笑)。だけど完成した作品を観たらちゃんとつながっていたので、安心しました。『良かったね!』って言い合って」

未来と重なる部分、重ならない部分

“即興芝居”にどう挑んだのか
“即興芝居”にどう挑んだのか撮影/野崎 航正

――南さんが演じた主人公の未来は、服飾デザイナーになる夢があるものの、非常に内向的で、その夢を積極的には外へ発信できない性格です。こういったパーソナリティ設定も、即興で決まっていったのでしょうか。

「事前にざっくりとだけ決まっていて、リハーサルの時に役になりきって自己紹介しながら固めていきましたね。そういう意味では、私も未来と同じくお洋服を作るのが好きですし、友達もなかなかできないので(笑)、自分と重なっている部分は多いかもしれません。ただ、未来ほどオドオドしていませんよ。自分の意見は一応しっかり言います」

――小雨との出会いでも、未来は異常に困惑していました。

「あれは不思議なやりとりでしたね。私、小雨さんの歌が大好きで、よくライブにもお邪魔するんですけど、小雨さん自体が劇中の小雨そのまま。妖精っぽいというか、常に内側からハッピーオーラを出している方なんです。…ところで、未来は小雨の“正体”に、いつ気づいたんでしょうね。私はいまだにわかりません(笑)」

家族とのエピソードもこぼれる
家族とのエピソードもこぼれる撮影/野崎 航正

――そんなオドオドした未来ですが、自分の作った衣装を汚された時の、泣きながらのお芝居には圧倒されました。

「監督から『未来はそれまでずっと感情をしまっていたけど、このシーンだけは爆発させてください』と言われたんです」

――いっぽう、未来とその母親(片岡礼子)とのやり取りは、まるで友達同士のように和やかでした。

「私も、母親とあんな感じですよ。ただ、未来みたいに仕事の話はなかなかしませんね。するとしても、もっと軽い感じです(笑)」

――モデルのお仕事をはじめる時、深刻な相談はしなかったんですか?

「はい、全然(笑)。私は小さい頃から『女優さんになりたい』と周りにずっと言っていたので、『ニコラ』のオーディションを受けたいと母に言ったときも『どうぞ』って。それから一貫して応援し続けてくれています。むしろ『両親の反対を押し切って芸能界入り』みたいなことをやりたかったですね。そのほうが、ドラマチックでおもしろいじゃないですか(笑)」

●南沙良 プロフィール
2002年6月11日生まれ、神奈川県出身。第18回ニコラモデルオーディションのグランプリを受賞し、同誌専属モデルに。女優としては、映画『幼な子われらに生まれ』(17)に出演し、デビュー作ながらも、報知映画賞、ブルーリボン賞・新人賞にノミネート。その後、行定勲が監督を務めたロックバンド・レベッカの17年ぶりの新曲「恋に堕ちたら」(17)のMVに主演。映画初主演作『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18)では、第43回報知映画賞、第61回ブルーリボン賞・新人賞、第33回高崎映画祭・最優秀新人女優賞、第28回日本映画批評家大賞・新人女優賞を受賞し、その演技力が高く評価される。2月8日公開の映画『21世紀の女の子』(19)、5月17日公開の映画『居眠り磐音』(19)にも出演。8月24日公開『無限ファンデーション』(19)、来春公開『もみの家』(20)の2本の主演映画が控える。1月に放送された、第30回フジテレビヤングシナリオ大賞・大賞受賞作『ココア』(フジテレビ系)ではドラマデビュー&初主演。またモデルとしても、「NYLON JAPAN」「GQ JAPAN」「ELLE Japan」「装苑」などの、数多くのファッションメディアに出演している。江崎グリコ「ポッキー」イメージキャラクター。「キリン 午後の紅茶」新イメージキャラクター。

●「わたしらしいって、最強だ。夏」篇 完全版ショートムービー

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