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日本人初!是枝監督『真実』がヴェネチア国際映画祭で堂々上映、世界が見守る観客の反応は?

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日本人初!是枝監督『真実』がヴェネチア国際映画祭で堂々上映、世界が見守る観客の反応は?

 是枝監督『真実』がヴェネチアで上映
是枝監督『真実』がヴェネチアで上映[c]Getty Images

10月11日(金)より公開となる是枝裕和監督最新作『真実』が、現在開催されている第76回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門オープニング作品に選出。現地時間28日にカトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、リュディヴィーヌ・サニエ、クレモンティーヌ・グルニエ、マノン・クラヴェル、そして是枝裕和監督が記者会見とフォトコールに参加した。

フォトコールには、レースがあしらわれた優雅なプラダのドレスで登場したカトリーヌ・ドヌーヴ。赤を基調としたグッチのジャケットスタイルで登場したジュリエット・ビノシュ。プラダのシャツスタイルで爽やかな装いのマノン・クラヴェル。ミュウミュウの白いブラウスで登場したリュディヴィーヌ・サニエ。キラキラと光沢感のあるグリーンのディオールのドレスに身を包んだクレモンティーヌ・グルニエ。そして、是枝裕和監督が記者会見場に登場。面々が現れるなり、満員の会見場からは歓声と拍手が。昨年『万引き家族』(18)でカンヌ国際映画祭パルムドール賞を受賞し、いまや世界中で注目を集める是枝監督の最新作への注目度の高さが感じられた。

【写真を見る】日本初の快挙!オープニングを飾った『真実』のヴェネチア国際映画祭の様子<写真16点>
【写真を見る】日本初の快挙!オープニングを飾った『真実』のヴェネチア国際映画祭の様子<写真16点>[c]Getty Images

元々は、楽屋のシーンだけで出来上がる舞台を考えていたという是枝監督。ジュリエット・ビノシュから映画製作の提案を受けたことがきっかけでフランスでの映画化を思いついたそう。「戯曲の主人公はその国の映画史を代表する女優だったので、そのような女優さんを撮るチャンスが生まれるのではと思ったんです。そこで、大幅に戯曲を書き直して、母と娘の話に仕上げました。脚本が完全に固まる前の段階で、何度もお2人にお会いして、インタビューをさせていただき、女優という人生を送られている方の生の言葉を、どのように脚本に落としていくかという作業を、数年にわたって行ったものがこの『真実』です」。

大勢の記者からの質問に答える是枝監督
大勢の記者からの質問に答える是枝監督[c]Getty Images

『真実』は、ある国民的女優が出版した自伝本をめぐって巻き起こる愛憎うずまく物語。主人公の大女優ファビエンヌ役を演じたドヌーヴは、「私が映画で演じる時は、どうしても自分が入ります。でもこの人物は私とはかけ離れていて、娘との関係も、私のとは非常に異なります。ですから演じるのは興味深くてとても愉快な経験でした」とコメント。

ファビエンヌの娘、リュミール役を演じたビノシュはかねてより是枝監督と仕事をすることが夢だったそうで「是枝監督の映画に出ることは、役者が監督に対して抱く夢を実現することです」と喜びを表し、「カトリーヌとの共演も光栄で夢のようです。それに未来の頼もしい才能に出会うこともできました。私にとってとても鮮烈で、貴重な経験でした」と本作を振り返る。

ファビエンヌの共演女優役のサニエは「私も是枝監督の映画に出ることは夢の実現でした」と述べた上で、自身の役柄について「自分とが似ているとは思いませんが、演じるのは楽しいものでした。本物らしさを追求したからです」と語っており、本作の自然な“本物”感に期待が寄せられる

是枝作品といえばやはり子役が魅力的な作品が多い。今回リュミールの娘役に抜擢されたグルニエちゃんについて監督は「オーディションで会ったとき、とても自由奔放で、彼女なら、おばあちゃん(ファビエンヌ)の性格が隔世遺伝で孫に伝わっているという設定に出来るなと思いました。そこで彼女に合わせて、キャラクターを書き直しました」とキャラクター設定に影響を与えたことを明かす。演出については「日本での撮影と同じように、事前に台本を渡さずに、おばあちゃんの家に遊びに行く話だよと言うことだけ伝えて、口伝えで台詞を渡すというやり方で全編撮影しました。女性キャスト陣のアンサンブルの一角をちゃんと担ってくれたなと思っています。本当に感謝しています」とコメントした。

これを受けてグルニエちゃんは、「撮影した時、最初は言われたことがよく分からなかったけど、途中から何を求められているか分かってきました。どこに立って、何を言えばいいかも。最初は、どこで何を言えばいいか、間違ってばかりだけど、途中から成長して、うまくなりました」と素直でかわいらしいコメント。

待望のオープニング上映では、主人公の毒舌に笑いが巻き起こったり、母と娘の愛憎渦巻くドラマに涙したりと、観客もすっかり魅了された様子。上映終了後は、そんな作品の温かさを反映するように6分にも及ぶスタンディングオベーションが続き、是枝監督やドヌーヴ、・ビノシュらは、満面の笑みを見せながら、割れんばかりの歓声を全身で受け止めていた。

 母と娘の愛憎渦巻くドラマが描かれる
母と娘の愛憎渦巻くドラマが描かれるPhoto L. Champoussin [c]3B-分福-Mi Movies-France 3 Cinéma

是枝監督がヴェネチア国際映画祭に参加するのはこれが3度目で、日本人監督が手がける作品が同映画祭のオープニングを飾るのはこれが初めてのこと。ヴェネチアの観客から本作が愛されたことがひしひしと伝わり、オープニングを飾るに相応しいワールドプレミアとなった。

文/編集部

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