漫画とは距離を置いてきた…蒼井優が『宮本から君へ』で見せた女優としての新境地|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
漫画とは距離を置いてきた…蒼井優が『宮本から君へ』で見せた女優としての新境地

コラム

漫画とは距離を置いてきた…蒼井優が『宮本から君へ』で見せた女優としての新境地

2018年にドラマ25の枠で放送されると「第56回ギャラクシー賞 テレビ部門 奨励賞」を受賞するなど大きな話題をさらった「宮本から君へ」。そのスタッフ、キャストが再集結した同名映画『宮本から君へ』が公開されている。役者たちの熱演が早くも話題を集めている本作、なかでも目を引くのが蒼井優の姿だ。

『宮本から君へ』で見せた蒼井優の演技がスゴすぎる!
『宮本から君へ』で見せた蒼井優の演技がスゴすぎる![c]2019「宮本から君へ」製作委員会

本作は、1990年から94年にかけて連載され、いまでも俳優やミュージシャン、漫画家などから“オールタイムベスト”として挙げられている新井英樹による同名漫画が原作。映画では漫画の後半パートを描いており、熱血営業マンの宮本(池松壮亮)とその恋人である靖子(蒼井)が、2人の前に立ちはだかる“究極の愛の試練”を克服していく様を描きだしていく。

【写真を見る】『宮本から君へ』で圧巻演技の蒼井優だが、実は漫画とは無縁だった?
【写真を見る】『宮本から君へ』で圧巻演技の蒼井優だが、実は漫画とは無縁だった?[c]2019「宮本から君へ」製作委員会
宮本の恋人である靖子を蒼井は演じている
宮本の恋人である靖子を蒼井は演じている[c]2019「宮本から君へ」製作委員会

蒼井が演じる靖子は、宮本の会社の先輩で男勝りで自立した女性。宮本とも幸せな日々を送っていたものの、とある事件によってツラい経験をしてしまい…という心の揺れ動きが激しく描かれるキャラクターだ。そんな難役だが、池松が「バケモノ」と称賛するように、睨んでいたかと思えば、次の瞬間には笑っていたり泣いていたりと、靖子の感情の起伏を巧みな顔の表現…という言葉では物足りないような、熱のこもった演技以上の姿で体現。抜群の存在感を放っている。

公園のシーンでの原作への理解の深さには監督も舌を巻いたそう
公園のシーンでの原作への理解の深さには監督も舌を巻いたそう[c]2019「宮本から君へ」製作委員会

真利子哲也監督が「事件後に宮本と会うシーンで、脚本には靖子の第一声に『眠れた?』と書かれていましたが、原作に『よく眠れた?』と書かれている意味に触れて、宮本への皮肉も込められた『よく』をつけることを相談しくれて。その感覚に改めて驚かされました」と語っているように、原作キャラクターへの抜群の理解を感じさせる蒼井。

しかし、ナビゲーター役を担当した2018年のドキュメンタリードラマ「このマンガがすごい!」では、人生のほとんどを漫画とは関わらずに過ごしてきたことを明かしており、原作モノに出演する際も「台本を読んでから原作を読む」と、どこか距離を置いたスタンスを通してきたのだそうだ。そんな彼女だが、同ドラマでは、漫画を愛する11名の俳優たちの役作りなどを目の当たりにし、自分の漫画との関わり方や女優としてのあり方までに思いを巡らす様子も描かれており、その結果が演技という形で現れているのが、本作なのかも知れない。

ある辛い出来事に襲われてしまう靖子の感情の揺れ動きを、見事な演技で体現している
ある辛い出来事に襲われてしまう靖子の感情の揺れ動きを、見事な演技で体現している[c]2019「宮本から君へ」製作委員会

「全身で感情をぶつけ合うシーンの連続だったため、撮影3日目には既にヘトヘトでした。こんなに早く疲弊した現場は初めてです」とコメントするほどの熱演だったことを明かしている蒼井。漫画原作モノで女優としてのネクストステージに到達した、彼女の魂の演技は必見だ。

文/トライワークス

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