カメラの前でギャラ交渉、ガンの告白、徹底した自己管理…女優・樹木希林の晩年に迫る|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
カメラの前でギャラ交渉、ガンの告白、徹底した自己管理…女優・樹木希林の晩年に迫る

コラム

カメラの前でギャラ交渉、ガンの告白、徹底した自己管理…女優・樹木希林の晩年に迫る

不世出の個性派女優として、傑作映画や名作ドラマに次々と出演してきた樹木希林。そんな彼女の晩年の姿に迫ったドキュメンタリー映画『“樹木希林”を生きる』が本日10月4日より公開される。50年を超える俳優人生の中で生まれた、彼女の色褪せない“伝説”の数々を振り返ってみたい。

『“樹木希林”を生きる』は10月4日(金)より公開
『“樹木希林”を生きる』は10月4日(金)より公開[c]NHK

今回公開されるドキュメンタリー映画は、彼女の死の直後にNHKで放送され大反響を呼んだ同名番組に未公開シーンを追加した劇場版。全身をガンに冒されながらも、女優として淡々と役を生きていく彼女にカメラが密着。4本の映画撮影に同行する長期取材で彼女の実像を映像でひも解いていく。

【写真を見る】『万引き家族』(18)撮影に向けて是枝裕和監督に意見する一幕も…(『“樹木希林”を生きる』)
【写真を見る】『万引き家族』(18)撮影に向けて是枝裕和監督に意見する一幕も…(『“樹木希林”を生きる』) [c]NHK

映画の中では、カメラの前で堂々とギャラ交渉に挑んだり、彼女が自ら車を運転しながらインタビューに答えてみせたりと、多忙な日々を自然体にこなす樹木の姿が映しだされる。そんな姿も、時に“大胆”、“破天荒”と形容される彼女の半生を知っているとうなずける。巷では内田裕也との別居夫婦ぶりがおなじみだったが、実は内田は彼女にとって二番目の夫。1964年から68年の4年間は、俳優の岸田森と結婚生活を送っていた。

また1960年初頭に女優活動をスタートさせてから使用していた “悠木千帆”という芸名を、テレビのオークション番組で出品してしまったり、ドラマの打ち上げで番組プロデューサーだった久世光彦の不倫を暴露してしまうなど、伝説的なエピソードは枚挙にいとまがない。

メイク中でも気さくに話す樹木(『“樹木希林”を生きる』)
メイク中でも気さくに話す樹木(『“樹木希林”を生きる』) [c]NHK

そんな彼女の生き方は晩年になっても一貫しており、ガンが全身に転移していることを包み隠さず、取材やイベントの場でサラッと告白。悲観せず病気の進行を受け入れていく様子がファンを驚かせた。さらにマネージャーや付き人はなし。自宅FAXで仕事のオファーを一括管理したり、テレビ番組の撮影では収録中も手元に自身の荷物を置いていたりと、徹底した自己管理ぶりも気さくに語っていた。

遠出でなければ自家用車に乗り自らの運転で移動(『“樹木希林”を生きる』)
遠出でなければ自家用車に乗り自らの運転で移動(『“樹木希林”を生きる』) [c]NHK

昨年9月に逝去し、彼女の死を悼む人たちが劇場に詰めかけたことで、出演映画はたちまちロングランヒットを記録。さらに彼女の名言を集めた著書が次々と発売され、各地で開かれた企画展も好評を博している。

彼女が亡くなって1年を過ぎた現在も、遺作となった長編映画『命みじかし、恋せよ乙女』が公開中だ。本作では長い女優生活の中で初めて海外の映画に出演するなど、最後の最後まで表現者として攻めの姿勢を貫いていた。そんな女優・樹木希林のオンとオフを、2作あわせて堪能するのも良いだろう。

文/トライワークス

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