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「家族を作る事ほどクリエイティブなことはない」染谷将太が『最初の晩餐』で見つめた“食と家族”

インタビュー

「家族を作る事ほどクリエイティブなことはない」染谷将太が『最初の晩餐』で見つめた“食と家族”

様々な形で、食卓を囲むシーンが幾度も登場する
様々な形で、食卓を囲むシーンが幾度も登場する[c]2019「最初の晩餐」製作委員会

最初の晩餐』というタイトルからも想像されるように、映画のなかには、家族で食卓を囲むシーンが何度も登場する。あまり広くはない台所で、誰かと肩を並べて料理を作り、それを一緒に食べることで、次第に距離が近づいていく。

「ご飯を食べるシーンって、もともと観るのも演じるのも好きなんです。食べることは、まさに生きることだと思うので。この映画は長野県の上田市にある一軒家を借りて撮ったんですが、虫の鳴き声や風の音が聞こえてくるような、都会にはない、ゆったりとした時間が流れる穏やかな場所。カメラマンの山本さんが家のなかのすごく狭いところに入って、大きなカメラを振っていたのが印象的でした。食べ物の香りだけじゃなくて、お通夜のお線香の匂いであったり、上田という土地の空気感だったりとか。美術部や照明部の方々も、台本から立ち上ってくる香りや匂いを見事に再現されていて。僕には完成した映画にもちゃんとそれが映っているように見えて、すごく感動したんです」

映画の通夜ぶるまいでは「目玉焼き」や「すき焼き」が父の思い出の料理として登場したが、「それぞれの家庭の味はお雑煮にあらわれる」というのが染谷ならではの見解だ。

「お雑煮って、それぞれの家庭によって全然中身が違ったりしますよね。同じ家族間ですら、母親が作るものと、祖母が作るものでは味つけが違うし。そんな料理はほかにはあまりないような気がして。素敵だなぁって思いますね」

『最初の晩餐』より
『最初の晩餐』より[c]2019「最初の晩餐」製作委員会

映画で演じたカメラマンの麟太郎と同様、かなりの写真好きとして知られる染谷だが、意外にも「撮るという行為自体は単なる記録でしかないと思っているんです」と、てらいがない。

「でも写真って、何年か経ってから改めて見返した時に、その時々によってそこから受け取れるものが変わってくる。それこそが写真の面白さなんじゃないかって思うんですよね」

本作の撮影を通じ「自分にとっては家族を作ることほど、クリエイティブなことはないんじゃないか」と感じたという染谷にとって「家族は“帰るところ”であり、ある意味、ゼロからスタートするものでもある」そうだ。そしてさらに「お互い分かったつもりになっても、もっと分かり合うことのできるのり白があるところが家族の魅力なんじゃないか」と、感慨深げな様子を見せていた。今年また新たな家族を迎えたばかりの染谷は、きっと「分からないからこそ、とてつもなくクリエイティブ」な日々の真っ只なかにいるに違いない。

『最初の晩餐』は公開中
『最初の晩餐』は公開中[c]2019「最初の晩餐」製作委員会

取材・文/渡邊 玲子


●ヘアメイク:AMANO
●スタイリスト:清水奈緒美
●衣装:シャツ、パンツともにマルニ
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