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二階堂ふみ、『生理ちゃん』赤裸々トーク!「生理が教えてくれることはたくさんある」とテーマに共感

インタビュー

二階堂ふみ、『生理ちゃん』赤裸々トーク!「生理が教えてくれることはたくさんある」とテーマに共感

『生理ちゃん』で主演を務めた二階堂ふみ
『生理ちゃん』で主演を務めた二階堂ふみ

「まさかの実写映画化!」というフレーズにふさわしい快作となった、二階堂ふみ主演の映画『生理ちゃん』(11月8日より公開中)。原作は“生理”をキャラクター化した小山健の同名人気コミックで、ウェブメディア「オモコロ」での連載時にかなりの反響を得て、第23回手塚治虫文化賞短編賞を受賞した。2次元から3次元に飛び出した“生理ちゃん”と共演した二階堂に、興味深い撮影秘話を話してもらった。

二階堂が演じるのは、恋人の久保(岡田義徳)とのデートよりも、仕事を優先させてしまう女性ファッション誌の編集部員、米田青子役。日々忙殺される青子の前にも、生理ちゃんは毎月容赦なくやってきて、下腹部に“生理パンチ”をお見舞いする。そのほか、SNSで毒を吐きまくる清掃スタッフの山本りほ(伊藤沙莉)や、青子の妹、ひかる(松風理咲)たちの前にも、大小様々な生理ちゃんが現れる。

「初めてお会いした生理ちゃんは、大きくてびっくりしました」

大きな生理ちゃんを背負って走る青子
大きな生理ちゃんを背負って走る青子[c]吉本興業 [c]小山健/KADOKAWA

二階堂は、初めて漫画を読んだ時「すごくおもしろい作品」だと思ったそうだが、それをどう実写化されるかは、台本を読んだ段階では想像がつかなかったと言う。「生理ちゃんのキャラクターも含め、漫画の画のタッチが優しくて柔らかいから、どうすれば生身の人間で表現できるんだろう?と思っていました」。

実写版の生理ちゃんは、CGではなく着ぐるみやぬいぐるみで作られたが、癒やし系の質感とフォルムがたまらなくかわいい。二階堂は「質感は想像していたものに近かったのかなと。ただ、初めてお会いした生理ちゃんは、思っていたよりも大きくてびっくりしました」と笑う。

ちなみに、人によって生理痛の重さや貧血、眠気などのつらさが違うように、生理ちゃんの大きさも異なる。特に青子の生理ちゃんはバカでかく、それを背負いながら仕事をすることで、青子の生理痛が重いことがわかりやすく可視化される。二階堂は「重かったです。特に、大きな生理ちゃんを背負って走るシーンがちょっと辛かったです(笑)」と苦笑いする。

「実は私、腰痛持ちなので、撮影が終わって3か月後に、ギックリ腰をやってしまいました。でも、私以上に、中に入られている方が大変そうでした。また一つ学びが増えましたね」。

そんな生理ちゃんとの撮影は、アナログな手法で撮影された。「CGではないので、撮影していると、うっかり生理ちゃんの足が見えてNGになることや、歩くと足の裏が汚くなってしまうということもありました(笑)。8日間というショートスパンで撮っていたので、現場のスタッフの方々が大変そうでしたが、そのスピード感が映画にも出ていて、そこは良かったのかなと思います」。

「生理が教えてくれることはたくさんあります」

『生理ちゃん』の撮影秘話を語ってくれた二階堂ふみ
『生理ちゃん』の撮影秘話を語ってくれた二階堂ふみ

生理ちゃんたちのほか、初潮ちゃんや、男性の前に現れる性欲くん、童貞くんなど、バラエティに富んだキャラクターも登場する。性欲くんや童貞くんは、ひかるのボーイフレンド、ゆきち(狩野貝恭兵)の前に現れる。「ひかるは、男の子と密室で一緒に勉強するのに、あそこまで短いショートパンツを履いたらダメですよね(苦笑)。私がもし10代なら、妹の気持ちがわかるかもしれないけど、親目線寄りで見てしまうので(笑)」。

初潮を迎える久保の娘、かりん(豊嶋花)のところには、初潮ちゃんがやってくるが、母親が亡くなっていて相談相手のいない彼女は激しく動揺してしまう。

「かりんちゃんの気持ちはよくわかりました。私も初めて生理が来た時、ものすごくショックを受けた記憶があります。なんだか少し嫌だなと思いました。それは、恥ずかしいというよりも、生理が“未知なるもの”な感じがして実感が湧かず、自分が変わってしまうような寂しくてせつない気持ちになったんだと思います。そういう意味では、過去の自分にも再会できるような作品になったのではないかと」。

青子の職場にもいる生理ちゃん
青子の職場にもいる生理ちゃん[c]吉本興業 [c]小山健/KADOKAWA

二階堂自身は、生理と上手く向き合ってきたほうだと言う。「自分の体調がわかるし、デトックスにもなるので、ちゃんときてほしい。私自身は生理を、あまり嫌なものだと捉えたことがないです。もちろん、旅行へ行って、プールに入れなくなり、残念だなと思ったりしたことはありますが」。

さらに本作さながらに「生理が教えてくれることはたくさんあります」と話す。「私は10代の時、生理がすごく重くて。布ナプキンに替えたらすごく改善されましたが、いまでも半年に一度は病院に行っています。若くても子宮頸がんや子宮体がんになる人もいるし、なにか不調なことがあったら、すぐ病院に行ったほうがいいと思います。もちろん、いまは女性にもいろんな生き方があり、結婚や出産だけが女性の生き方ではないと思うけど、自分の身体は1つしかないし、どういう生き方を選択するにしても、身体は大事にしてほしいと思います」。

【写真を見る】癒やし系フォルム!これがキャラクター化された生理ちゃん
【写真を見る】癒やし系フォルム!これがキャラクター化された生理ちゃん[c]吉本興業 [c]小山健/KADOKAWA

また、二階堂は、『生理ちゃん』が描くテーマについて「根底に描きたいのは、男性vs女性というところではなく、自分以外の誰かのつらさや痛みを、自分のもの差しで図らないでいたい、というものではないか」と捉えている。

「生理は、女性同士であっても個人差があるもので、そのつらさを理解はできても共感はできなかったりします。ましてや、男性に向けて『そこをわかってほしい』という気持ちで作ったわけでもないのかなと。ただ、女性の社会進出が進むなかで、きっとそれぞれがいろいろなものを抱えていることは間違いなくて。本作はたまたま生理をモチーフにしていますが、男性も働くなかで、それぞれつらいことがあるのではないかとも思っています。そういう意味でも幅広い方々に観ていただきたい映画です」。

取材・文/山崎 伸子

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