【今週の☆☆☆】アカデミー賞3冠を獲得した『1917』や綾野剛&松田龍平の共演作『影裏』など週末観るならこの3本!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
【今週の☆☆☆】アカデミー賞3冠を獲得した『1917』や綾野剛&松田龍平の共演作『影裏』など週末観るならこの3本!

コラム

【今週の☆☆☆】アカデミー賞3冠を獲得した『1917』や綾野剛&松田龍平の共演作『影裏』など週末観るならこの3本!

Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、2月14日(金)から今週末の公開作品をピックアップ。第92回アカデミー賞で3部門を受賞した歴史スペクタクルや、大友啓史監督が描く2人の男のヒューマンミステリー、一大スキャンダルの裏側を映しだす実録ドラマなど、バラエティあふれる作品ばかり!

週末に観てほしい映像作品3本を、MovieWalkerに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MovieWalkerに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

若き兵士が仲間を救うため命懸けで敵陣を走り抜く『1917 命をかけた伝令』(公開中)

ワンカットで撮影された迫力の映像による体感型作品『1917 命をかけた伝令』
ワンカットで撮影された迫力の映像による体感型作品『1917 命をかけた伝令』[c]2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

『アメリカン・ビューティ』(99)のサム・メンデス監督がワンカット撮影という野心的手法で、第一次世界大戦の現実を描いて見せた戦争ドラマ。部隊を敵の罠から救うため、若き兵士たちが伝令を持って最前線を駆ける。負傷兵がぐったりしている塹壕(ざんごう)から、死体が転がる平原、不意のアクシデント、そして真夜中の市街戦へ。主人公たちを追う視点は、常に彼らに張り付いており、観客も一緒になって砲弾が飛び交う中を走ることになる。そんな没入感こそが本作の最大の魅力。こういう映像体験は、なかなかできるものではない。米アカデミー賞では撮影賞に加え、視覚効果賞や録音賞を制したが、高度な技術に支えられた臨場感は、とにかく劇場で味わうべきだ。(映画ライター・有馬楽)

突然消えた親友の足跡をたどり、見えたものは…『影裏』(公開中)

2017年に第157回芥川賞を受賞した同名小説を大友啓史監督が映画化した『影裏』
2017年に第157回芥川賞を受賞した同名小説を大友啓史監督が映画化した『影裏』[c]2020「影裏」製作委員会

愛や信頼は期待や幻想の産物だし、個々の人間の思考や価値観、物事に対する尺度や深度が違う以上、相思相愛なんてことは厳密にはあり得ない。なのに、人は相手に自分との差異を感じたときにイラッとしたり、失望したり、怒りを感じる身勝手な生き物。沼田真佑の芥川賞受賞小説を「るろうに剣心」シリーズの大友啓史監督が映画化した本作は、まさにその人を愛すること、信頼することの深淵に迫ったヒューマンミステリーだ。今野(綾野剛)は会社の転勤で移住した盛岡で同い年の同僚・日浅(松田龍平)と出会い、同じ趣味を通して距離を縮めていく。だが、些細なことで気まずい関係になり、日浅は会社を辞めて失踪。今野はそこから初めて自分の知らない日浅の裏の顔を知ることになる…。日浅が夜釣りの場で今野に言う、「人を見るときは、その裏っかわ、影のいちばん濃いところを見るんだよ」という言葉が胸に突き刺さる。私たちは本当に相手のことを理解しているのか?どこまでも信じられるのか?これは観る者を繊細に、鋭く試す、真の“愛”に関する映画なのだ。(映画ライター・イソガイマサト)

世界を欺いた美少年作家J・T・リロイとは?『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』(公開中)

架空の”天才美少年作家”はなぜ誕生したのか?(『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』)
架空の”天才美少年作家”はなぜ誕生したのか?(『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』)[c]2018 Mars Town Film Limited 

2004年に小説「サラ、いつわりの祈り」が映画化された当時は、J・T・リロイという美少年作家が一世を風靡している真っ最中(日本公開は05年)。その映画の制作秘話としても観られる本作は、かのリロイが実は2人の女性――小説を書いた中年女性と、リロイを演じた少女――によって作られた架空の人物だという事実が暴露されるまでを、演じた少女側から描いたドラマだ。リロイを演じるのは、クリステン・スチュワート。彼女の中性的な魅力が、まさにドンピシャ。中年女性作家に、ローラ・ダーンが。相変わらずノッてる演技派2人の演技が、それこそ白眉!終始ハラハラさせられ、彼女らの複雑な感情が観る者の心に侵食する。色んな感慨を脳裏に残す、人間を深く洞察した忘れ難い一作だ。(映画ライター・折田千鶴子)

週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!

構成/トライワークス

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