【今週の☆☆☆】原発事故の知られざる真実を描く『Fukushima 50』やアカデミー賞主演女優賞に輝いた『ジュディ』など週末観るならこの映画!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
【今週の☆☆☆】原発事故の知られざる真実を描く『Fukushima 50』やアカデミー賞主演女優賞に輝いた『ジュディ』など週末観るならこの映画!

コラム

【今週の☆☆☆】原発事故の知られざる真実を描く『Fukushima 50』やアカデミー賞主演女優賞に輝いた『ジュディ』など週末観るならこの映画!

Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、3月6日から今週末の公開作品をピックアップ。ハリウッドスターの波乱万丈な人生を描いた伝記ドラマや、闇を抱える若者たちが主人公の国際映画祭グランプリ受賞作、アルコール依存症の父と家族の物語、東日本大震災の報道されなかった真実に迫る骨太なドラマなど、バラエティあふれる作品ばかり!

大地震発生時に福島第一原発では何が起きていたのか?『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』(公開中)

佐藤浩市や渡辺謙、吉岡秀隆など豪華キャストが集結(『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』)
佐藤浩市や渡辺謙、吉岡秀隆など豪華キャストが集結(『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』)[c]2020『Fukushima 50』製作委員会

東日本大震災時に起きた福島第一原発事故の実話に基づく人間ドラマ。未曽有のパニックを食い止めようとした、現場の作業員たちの奔走にスポットを当てる。上層部の独断に抵抗しながら、放射能被ばくの危険があるにもかかわらず志願して持ち場につき、最後まで諦めずに行動した最前線の人々。家族の身を案じつつ、職務をまっとうしようとする、そんな彼らの姿勢に、使命感や責任感などの人を突き動かす強い気持ちが浮かび上がり、観る者の心を熱くする。一刻を争う事態を捉えた緊迫の展開はもちろん、佐藤浩市や渡辺謙をはじめとする実力派俳優陣の熱のこもった演技にも目を奪われるに違いない。知られざるヒーローたちの実話を見届けよ!(映画ライター・有馬楽)

伝説のミュージカル女優の壮絶な人生にシンクロする歌声『ジュディ 虹の彼方に』(公開中)

スポットライトの下、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了し続けたジュディ・ガーランド(『ジュディ 虹の彼方に』)
スポットライトの下、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了し続けたジュディ・ガーランド(『ジュディ 虹の彼方に』)[c]Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

女優というのは凄まじい仕事だと思い知らされる映画だ。本作でアカデミー賞主演女優賞に輝いたレニー・ゼルウィガーが、往年のスター、ジュディ・ガーランドの晩年を演じ、ジュディの歌声まで自ら演じている。レニーの歌のうまさはミュージカル映画『シカゴ』(02)ですでに実証済みとはいえ、本作では歌声のトーンも発声もまったく違って聴こえることに驚く。そして重量感のある歌と低く潰れたような声が、ジュディ・ガーランドという人物の不幸に付きまとわれた生き様とシンクロするのが見事。ハリウッドで得た名声に足を引っ張られるように“つまずき”を繰り返し、それでもなおカリスマ性を失わなかったジュディ。これは映画である以上、現実そのままのジュディではないだろうが、業を背負った一人の人間の苦しみと輝きを演じ切ったレ二ーに拍手を送りたい。(映画ライター・村山章)

アルコール依存症の父と過ごした激動の30年間…『酔うと化け物になる父がつらい』(公開中)

【写真を見る】アルコール依存症の父親と、宗教にハマる母親…(『酔うと化け物になる 父がつらい』)
【写真を見る】アルコール依存症の父親と、宗教にハマる母親…(『酔うと化け物になる 父がつらい』)[c]菊池真理子/秋田書店 ©2019 映画「酔うと化け物になる父がつらい」製作委員会

毎日ベロンベロンに泥酔した“化け物”になって帰ってきて、週末は飲み仲間が押しかけて自宅が雀荘状態!そんなアルコール依存症の父を持った、菊池真理子の同名実録コミック・エッセイを映画化した本作。化け物になる父をどこか憎めない渋川清彦が演じていることもあり、次々に飛び出す漫画みたいな酔っ払いエピソードの数々に大笑いしてしまうし、お酒を飲む人は自分のお酒の失敗談を重ねてしまうかも。でも、これが実話で自分が渦中の人だとしたら笑ってなんていられない。そんな父がいる家庭で育った一人の女性が、どんな日々を送り、“化け物”とどう向き合い、どのように成長していくのか?を『わたしは光をにぎっている』(19)などの松本穂香が自然体で熱演。とりわけ、父親が病に倒れ、余命半年と告げられてからの佇まいと感情の爆発には息をのみ、原作者の本音でもあるヒロインの本当の気持ちが吐露されるエンディングでは多くのことを考えさせられる。“化け物”を自宅に飼っている人もそうでない人も、家族を見つめ直すきっかけになるに違いない。(映画ライター・イソガイマサト)

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