『英雄の証明』監督&主演レイフ・ファインズ「本作で描いている問題は現代のそれと変わらない」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『英雄の証明』監督&主演レイフ・ファインズ「本作で描いている問題は現代のそれと変わらない」

インタビュー

『英雄の証明』監督&主演レイフ・ファインズ「本作で描いている問題は現代のそれと変わらない」

『ハリー・ポッター』シリーズのヴォルデモート役で知られるレイフ・ファインズが映画監督に初挑戦した『英雄の証明』(2月25日公開)。レイフ自身主演も兼任し、シェイクスピアの悲劇「コリオレイナス」を現代に甦らせた。ジェラルド・バトラー、ヴァネッサ・レッドグレイヴほか、演技派キャストの重厚な演技と、緊張感あふれるストーリー展開に要注目だ。今回、本作の日本公開を直前に控えた監督・主演のレイフ・ファインズにインタビュー。初監督の思いから次回作まで色々語ってもらった。

――本作『英雄の証明』は初監督作品ということで感慨深いものがあると思います。まずは監督をすることになったきっかけと、実際に監督&主演として本作を完成させてみての思いを聞かせて下さい。また本作で監督として一番こだわったのはどこでしょうか?

「長い間、映画に出演し続け、数多くの才能ある監督と仕事をしていると、自然と監督業に対する興味が湧いてきたんです。7年前に本作の舞台版に出演し、この物語の虜となってしまいました。是非、映画化したいと思いました。監督と主演を同時に行うことは大変でしたが、素晴らしいチームに支えられて何とか完成まで持ってくることができました。この物語の中に描かれている問題は現代の我々が抱える問題と変わらないと思いました。現代の観客に共感してもらえるよう注意して作りました」

――相手役のオーフィディアスにジェラルド・バトラーを抜擢した理由を教えてください。また、その他のキャスティングにもヴァネッサ・レッドグレイヴ、ジェシカ・チャステイン、ポール・ジェッソンなど、そうそうたる俳優陣ですね。監督の意向はキャスティングにどの程度反映されているのでしょうか?

「ジェラルド、ヴァネッサ、ジェシカ、ブライアンはみんな私がキャスティングしました。オーフィディアス役には『この人物ならコリオレイナスを倒してしまうかも』と思わせることのできる、カリスマ性のあるスターが必要でした。ジェラルドはまさにふさわしい俳優です。ヴァネッサのような才能ある俳優に対して、監督ができることはただ彼女が自由に演技することを勇気づけるだけです。彼女は本当に素晴らしい俳優です。ジェシカには『ツリー・オブ・ライフ』のプロデューサーに薦められて会いました。その時はまだ彼女のことを良く知りませんでしたが、すぐに彼女がヴァージリアのように愛情あふれる人であることを感じ取りました。彼女自身にその要素があるので、演技をしなくてもヴァージリアになりきれると思いました。ブライアンとは共演したことはありませんでしたが、彼のことは以前から尊敬していました。彼は撮影中、とても協力的で、私のことを支えてくれました」

――今回のロケ地にベオグラードとセルビアを選んだ理由を教えてください

「この作品は資金を集めるのが大変で、予算も限られていました。なので、費用があまりかからないロケ地を探す必要がありました。セルビアはこれまでにも多くの映画が撮影されており、優秀なクルーがたくさんいます。また、実際に官庁で撮影させてくれる国なんて他にないと思います」

――これまであなたは様々な作品で本当にバラエティに富んだ役柄を演じていますが、今回演じたコリオレイナスに最も近いと思うのはどの作品のどのキャラクターでしょう? ある意味、強力な個性と権力を持った面では、ヴォルデモートにも似ていると思うのですが

「ヴォルデモートに似ているなんて考えてもみませんでした。ふたりとも自己陶酔的なところは似ているかもしれませんね。ヴォルデモートとの大きな違いは、コリオレイナスは葛藤しているということです。彼は母親の存在と葛藤し続けています。私はふたりの関係がとても興味深いと思いましたし、彼は大人の身体に住む少年なんだと思って演じていました」

――監督として次の作品の構想はあるのでしょうか?

「次回作では作家のチャールズ・ディケンズと27歳下の女優との恋を描きます。4月から撮影に入るので、今は準備で大忙しです」

――『英雄の証明』の公開を心待ちにしている日本のファンへメッセージをお願いします

「今回は来日できなくて本当にごめんなさい。日本のファンの皆さんにはとても感謝しています。よく素敵なお手紙や贈り物をいただくのですが、思いがこもっているのが伝わってきて、とても感動します。日本の皆さんに『英雄の証明』を気に入っていただけると嬉しいです」【Movie Walker】

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