『外事警察』で渡部篤郎は「負けても良い」、真木よう子は闘志むき出し!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『外事警察』で渡部篤郎は「負けても良い」、真木よう子は闘志むき出し!

インタビュー

『外事警察』で渡部篤郎は「負けても良い」、真木よう子は闘志むき出し!

渡部篤郎主演のサスペンスドラマの映画化『外事警察 その男に騙されるな』(6月2日公開)で、渡部篤郎と真木よう子にインタビュー。“公安の魔物”と異名を取る住本健司役の渡部と、捜査に巻き込まれる協力者役を演じた真木は、今回が初共演ながらも、緊迫感あるガチンコ演技合戦を繰り広げた。ふたりに撮影秘話と、役者としての今について尋ねた。

外事警察こと警視庁公安部外事課とは、“日本版CIA”とも呼ばれる国際テロ捜査専門の精鋭部隊のこと。ドラマから続投の渡部は「ずっとやってきて、(原案の)麻生先生やプロデューサーのことを信じているので、ドラマと映画では何も変わりはなかったです」と話す。真木は、重要な鍵を握るヒロイン・奥田果織役に扮した。「私にとっては初めての母親役。娘を救おうと強くなる女性を精一杯演じることで、育児に真っ直ぐに向かっている母親たちが見た時、何かしら重ねて見たり、希望を見出したりと、ポジティブなものを与えられたらと思いました」。

真木との初共演の感想について渡部は、「良い勉強になりました」と真摯に語る。「長くやっていると、シーンの組み立て方など、自分の中で合わせるようなやり方をしてしまうんですが、真木さんは今回、もっと枠を飛び越えて、自分の感情を出すお芝居をしていたんです」。真木は渡部について、「すごく頼もしかったです」と振り返る。「私がテストで、うん?と思ったシーンでも、渡部さんが全てをわかってくれて、監督にそのことを言ってくれたんです。そしたら、その後、すごくやりやすくなりました」。渡部の「僕は何でも言う方ですから」という言葉からも、『外事警察』組の座長的な男気が感じられる。

韓国ロケでは、軍事施設である釜山の地下壕での撮影も敢行した。真木は「一番驚いたのは、本物の警察の銃を使ったこと。私は防空壕の外で待っていたんですが、バキューン!って音がして。アクションの方もとてもこだわって、撮るのにすごく時間をかけたんです」と興奮気味に語った。渡部は「やっぱり文化が違う」と言う。「日本の場合、銃規制が厳しいですからね。でも、韓国では国を挙げて映画を支援している。僕はすごくやりやすかったです」。

かなり精神的な苦痛を強いられる役柄を演じたふたりだが、彼らが実際に大きな壁にぶつかった時、どんな処世術を使うのか? 渡部は「そんなのないですよ」と柔和な表情で答えてくれた。「僕はくじけても良いと思っていますし、くじけながらやっているような気もします。たとえば、海外で舞台(「La pluie d’ete a Hiroshima」)を一年やった時も、全てを克服したという気持ちにはならなかったですし。まだまだ大きなものってたくさんありますから、あまり戦おうという気持ちはないし、負けて良いとも思っています。もちろん、一生懸命頑張るのは当然なことですが」。

真木は、渡部の言葉にうなずきながら、「今聞いて、すごく素敵だなって思ったんですが、私はそれくらいになるまでに、がむしゃらに戦おうかな」と笑顔で宣言。「どんなライバルが現れたとしても、それをプラスに変えていきたいです。もう少しで30になるけど、今まで以上にもっと闘志を燃やしたいです。たとえば、芝居に疲れたと思っても、マインドコントロールして芝居するのが楽しいと思うようにするとか(笑)。いろんな努力をしていきたいです」。対照的な答えを発したふたりだが、どちらの姿勢からも潔いチャレンジ精神が伺えた。

核テロというタブーな内容に斬り込み、その脅威のリアリティーをとことん追求した本作。映画版でもドラマと同様に裏切り行為の連続で、見る者を翻弄していく。見どころは盛りだくさんだが、渡部と真木が対峙するシーンでみなぎる俳優力は、本作の肝だと言えよう。【取材・文/山崎伸子】

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