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発禁問題の『アシュラ』映画化!野沢雅子が「声優をやっていて良かった!」と感無量

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発禁問題の『アシュラ』映画化!野沢雅子が「声優をやっていて良かった!」と感無量

過激な描写から発禁問題を引き起こしたジョージ秋山の衝撃作をアニメ映画化した『アシュラ』(9月29日公開)。先行プレミアイベントが9月6日、新宿バルト9で開催され、声優を務めた野沢雅子、林原めぐみ、平田広明、島田敏、主題歌を担当した小南泰葉、さとうけいいち監督が登壇。これまでにも、ゲゲゲの鬼太郎、ドラゴンボールの孫悟空など、数々の大役を担ってきたベテラン声優の野沢が「アシュラのような少年には初めて会った。最高に幸せです。声優をやっていて良かったと思える作品になりました!」と胸を張った。

飢餓の時代を舞台に、本能のまま、ケダモノのように育った少年アシュラを通して、生きるための戦いを描く本作。メガホンを取るのはテレビアニメ「TIGER & BUNNY」で知られるさとうけいいち監督だ。ハイブリッドアニメーションを駆使して、アシュラの世界観を見事に作り出した。監督は「この作品を撮るという決断。その覚悟はヘビーなものだった」と語る。声優陣にも「常に予測している上を行ってくれた」と敬意を表し、続けて「収録前に皆さんに『生きよう!』と声をかけた。生きていることを叫び声のように絞り出してほしいと思った」と振り返った。東日本大震災にも影響を受けたといい、「ああいった現実を目の当たりにして、それを見ずして生死を扱った映画はできない。綺麗事にしたものにはしたくなかった」と熱い思いを語ってくれた。

野沢はアシュラ役への抜擢について、「人を食べてしまう話だと聞いて。『嫌だったら止めて良い』と言われたんですが、子供が人を食べるなんて、単純な話じゃない!絶対にやらせてほしいと思った。演じられて、最高に幸せです」と感慨深け。そんな野沢を見た平田は、「雅子さんは、テストから全力でかっ飛ばしていた。その現場にいられて幸せでした」と微笑んだ。

林原が演じるのは、アシュラが心を開く少女の若狭。「“優しい”ということは必要であり、不可欠だけど、同時に冷酷なものだと思った。中途半端な優しさは自分も他人も傷つける。ずっと自分のどこかに残る作品になりました。ここまで衝撃的な作品は見たことがない」と吐露。若狭の父親役の声を演じた島田は、「若狭と僕の演じた父親は普通の親子。でも、戦争や天災で極限状態に追い込まれてしまう。彼は『生きるためにこの選択をしたんだ』という思いで、何とか演じきることができた。思い出しても、胸をかきむしられるほどに辛い」とうっすらと目に涙を浮かべた。

野沢も「シーンを思い出すと泣いてしまいそう。ここで泣いてはいけないとこらえている」と告白。「お客さんに媚びたカットは1カットもない。人間、世の中って素晴らしいという、底辺に流れるものを感じてほしい」とメッセージを贈った。キャスト陣が“生涯、自分の中に残る作品”として胸に刻み込んだ『アシュラ』。生きる意味、善悪、そして人間らしさとは。アシュラは強烈な痛みをもって、人間の根源を問いかける。永遠のテーマが、今こそ人々の心を打つに違いない。【取材・文/成田おり枝】

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