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若松孝二監督の追悼上映に井浦新たちが登壇、「若松監督は怒りを力にして映画を作った」

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若松孝二監督の追悼上映に井浦新たちが登壇、「若松監督は怒りを力にして映画を作った」

10月17日に不慮の事故で亡くなった若松孝二監督の追悼上映が、10月26日に第25回東京国際映画祭で開催。上映作品は第20回東京国際映画祭で日本映画・ある視点部門の作品賞を受賞した『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(08)だ。井浦新、大西信満、地曵豪、撮影スタッフの辻智彦が登壇し、追悼の辞を述べた。

3人は本作の他、寺島しのぶが第60回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した『キャタピラー』(10)、『11・25自決の日三島由紀夫と若者たち』(12)、若松監督の遺作となった『千年の愉楽』(2013年3月公開)など、近年の若松孝二監督作の多くに出演している。

井浦は、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』の撮影を振り返り、こう挨拶をした。「この作品から若松監督の現場を初めて経験し、その後も5作品、参加させていただきました。今、思うと、この作品が若松監督との出会いとなり、かけてる時間も、監督のモチベーションもすごかったなと。監督は怒りを力にして、この作品を撮っていました。監督がこの作品にどれだけ情熱を注ぎ込んでいたのかが後から思い起こされます。監督の情熱がそのまま映像に焼き付いている作品です」。

大西は、若松孝二監督の舞台挨拶への思い入れを語った。「若松監督は声をかけていただいたら、どんなに小さな劇場へも行く。というのも、映画は見ていただいて初めて完成するから。それは徹底していた。必ずお客様の目の前に立ってご挨拶するというのが若松監督のやり方だった。今日もこのような場を設けていただいて感謝します」。

最後に登壇したスタッフの辻が「若松孝二の肉体は消えてなくなったけど、魂、精神は映画の中に刻まれています」と語ったのが印象的だった。短い舞台挨拶だったが、亡き若松孝二監督への思いにあふれる内容だった。

若松監督の遺作となった、寺島しのぶ、高良健吾、高岡蒼甫らが出演した『千年の愉楽』は2013年3月に公開される。【取材・文/山崎伸子】

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